リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。すでに大会は終わっているので、雑談メインとなります。
真凜ちゃんSP。65.37の4位。プロトコルをチェックする前に、演技とスコアを見た段階では、「ほぼノーミスなのでは?」と思っていると、冒頭の3Lo-3Tで両方刺さっていたとはビックリです。どこが回転不足なのか、私の肉眼では判別できないですし、ドイツジャッジ(J2)がGOE-4をつけるというのも、納得がいかないですね。ただ、スケアメでミスのあったスピンで全てレベルを取れていますし、スケーティングスピードもかなり出ています。
同世代の日本選手と比べて、身長が高くて手足も長く、やっぱり華のある選手です。ジャンプのミスが減ってくると、どこで滑っても70点を安定して超えられる実力者になるでしょう。「もっとちゃんと言ったように練習をやれ!」とラファはやんわり注文をつけていますけど、それでも早くも効果が出ているように見えます。個人的に、このフランス杯のSPでは彼女の演技が一番でした。
真凜ちゃんフリー。123.24の6位。合計188.61で6位。フリーの「Lovers」の方は、ゆったり系の曲なのでネット上ではやや賛否両論のようです。個人的には、ポップでキャッチーなSPとは対照的という意味で、バランス的には良いかなと思っています。衣装もカワイイですしね。高画質動画が、ロシアのMatch Arenaしかヒットしなかったので、コメンタリーがうるさくてスミマセン(YouTubeのコメにも「うるせー」って言ってる人がいます)。
前半から細かいミスがちょっと出ましたね。3Fのセカンドがダブルになったり、3S予定がダブルに拔けたり、後半のジャンプにも回転不足がありました。ただ、転倒は無かったですし、ジャンプ自体は形になっているので、修正すべきポイントはそんなに多くないんじゃないかと。スピンもしっかりレベルを取れています。スケアメでの負傷の影響も無く、さらにパワーアップしていますね。
昨年の全日本では、実力に相応しくないのに五輪代表のプレッシャーをマスコミからかけられて気の毒でしたが、今年は伸び伸びやればいいと思います。宮原、坂本、紀平、三原、4選手が充実しているので(樋口さんは間に合わないか?)、ワールドの代表は厳しいですが、ミスを減らせば200点超えを見られそうです。
テネルのSP。61.34の6位。無理して3Lz-3Loを入れる必要あるのかな?と思うのですが、プロトコルを見ると、なんとトリプルが全部刺さっていたのでした。そりゃ、スコアが伸びないわけです。今季スケアメのヴィンセントのクワドが刺さりまくった所から、ようやくここに来て、ある程度の基準が定まってきたのかな?という気がします。もちろん、その基準が全ての選手に平等に適用されるとは限らないですがね。
アメリカもカナダも、今季は女子選手が物足りなくて、テネル一人が「シニアの北米女子」を引っ張っている感があります。ただ、彼女を見ていると、「20歳でこんなに細いってありえるの?」ってぐらい、とにかく細い。腕や脚だけでなく、顔の骨格が浮き出ているようにも見えるので、まさかアメリカのチームでいわゆる「食事は粉だけ」ということは無いでしょうけど、ちょっと心配になります。
テネルのフリーは136.44の2位。合計197.78の3位。「こんなに逞しくてアグレッシブなジュリエットがおるんかい!」と、もはやその点はネタになっていますが、彼女のどこかロボット風な動きは、リショーさんの振付の影響もあるのかな?と想像しています。リショーさんは、坂本さんのことを高く評価していますが、彼の考える「モダンなプログラム」というのは、いわゆるナヨっとした所作を廃したものなのかなと。
今季テネルはショート・フリーともにリショープロ。坂本さんは、フリーのみリショープロで、ショートはウィルソンですが、おそらく中野コーチはスケ連幹部とも意見交換しつつ、坂本さんの方向性については「模索中」ということなのかもしれません。
テネルのフリー自体は、トリプルのURを2本に留めて、出来は良かったと思います。転倒をしない所も彼女の強さです。ファイナルは逃したので、この後の彼女の出番はアメリカナショナル、四大陸、ワールドということになるでしょうか。URを修正してくると強い選手ですから、もっと上位に来てもおかしくないですね。
メドちゃんSP。67.55の3位。散々な言われようですけど、叩いている人たちで、彼女のスケカナのSPのスコアを記憶している人がいるでしょうか?60.83だったんですよ。あのSPでは、後半のフリップトウのコンボのファーストで乱れてセカンドが付けられなかったわけです。それと比べれば、今回ダブルとはいえセカンドは付いたわけで、その点で進歩があることは認めなきゃいけません。ジャンプは少しずつ良くなっていると、私は見ています。
むしろ、ラストの足替えコンビネーションスピンがレベル3判定で、しかも「V」がついてしまっている点が気になります。スケカナのフリーでもそうでしたが、このフランス杯ではショート・フリーともにこのミスが修正できていないので、ここは何か問題がありそうです。
「表情が硬い」という批判は、それは後付けで言ってるのであって、もしノーミスで75点の演技をしていたら、「いつも以上に気合いが入っていた!」とか「今回は意気込みが違った!」という論調になってるんじゃないですか?みんな好き放題言ってるだけですね。
メドちゃんのフリーは125.26の5位。合計192.81の4位。動画&プロトコルは、上から、オータムクラシック、スケカナ、フランス杯と並べてみました。
まず、上記3試合、冒頭のジャンプがすべて違います。今回のフランス杯は冒頭に2Aで転倒しています。一方、スケカナの冒頭は3Lz-2T-2Tで成功(ルッツにアテンション)。オータムは単発の3Lzでした(フェンスギリギリだったので、予定は3連コンボだった可能性アリ)。
ちなみに、3連コンボはスケカナがルッツからの3連だったのが、フランス杯ではフリップからの3連になっていて、スケカナではルッツ2、フリップ1だったのが、フランス杯ではルッツ1、フリップ2とやや構成を落としています。これは明らかにエラー対策で、今回ルッツを1本にしたことでエラー・アテンションの判定を受けていません。ルッツへの負担を軽減するために、フランス杯の一本目を2Aから入ったと考えることもできますが、それで転倒しているわけですからね・・・。
前半のジャンプ構成が、オータムも含めると3試合すべてバラバラの試行錯誤という段階で、それでいて、ジャンプとスケーティングを矯正中の彼女にノーミスの演技を求めるのはあまりに酷かなと感じます。
後半の3F-3Tのセカンドの着氷でグニャっと乱れてDG。3Sと3Loはキレイに決まったんですが、「コンボ券が1枚残った状態」で終わってしまったので、もったいなかったですね。
フリーを比較してみるとざっとこんな感じです。食事を含めた生活環境の変化や、練習量の変化、ジャンプ・スケーティングの矯正はすでに言われていましたけど、それにプラスしてジャンプ構成が定まっていないのも、彼女がフリーで苦労している理由のようです。フリーの構成の中で、ジャンプが一本でも変われば大変なプレッシャーになるというのは、先日のロステレ杯のフリーの例を挙げるまでもなく、ゆづファンの皆さんなら理解できることだと思います。今回、この点を発見できたことが、個人的には収穫でした。
さて、話をガラっと変えて、貴乃花の話題を。・・・と言っても離婚の話ではなく、貴景勝の優勝を受けてスポニチに特別寄稿した文章で、印象に残った一節があります。
「誰かに理解してもらうことは、いらない。誰かにすがることは、いらない。ただ、ひたすらにその道を開け。ただ、ただ、まっすぐに扉を開けよ」
「持ちこたえたら、持ちこたえた分の器ができる。思い込めば、それだけ近づける。思い込み続ければ、願いにかわる。願いを叶えるのは理解されるようなものではなく、切なく貴く儚いもの。信じこんでやれるだけやれば死んだ気分になれる」
対人競技であるはずの相撲に生きる人が、「自分との闘い」を宿命づけられる個人競技のアスリートのように考えているというのは、ユニークですよね。
誰かに反応してもらいたくて、あるいは理解してもらいたくて仕方ないのがネットのアンチの方々。しかし、トップアスリートがめざすべきゴールとは、他人の理解を求めるようなルートの先にはありえない。自分自身が理想として描いたもの「だけ」と向き合って、そのために努力していかなきゃ、願いは叶わない。
メドちゃんには、なぜエテリの所を拔けて、クリケットに来たのか。そのスタート地点に立ち返って、周囲の雑音は一切遮断して、理想とするスケートを目指して一直線に進んでほしいと思います。
では、また明日!
Jun
コメント
羽生さんの試合以外では唯一、ライストで少し見た試合。移籍した二人は、これからの試合に期待が高まります。試合ごとに改善されているのですから。
貴ノ花さんの言葉、ありがとうございます。賛否のある、というか拒否反応起こされがちな言動の方ですが、プロアスリートとしての情熱、思考は賛同します。
真っ当な理論など、アンチには理解できないか敢えて無視する。嘘でも感情論でも、世間に拡めるだけで目的は達成できているとでも考えているのかな?それで自分の感情に折り合い付けているのでしょうか。
ごろ寝さま
ネットで意見したい人は、私も含めて基本的には「語りたがり」なんですよね。ただ、自分のブログなり、SNSのアカウントなりで発言するのは自由ですけど、わざわざ本人に凸する神経がわからない。何かあるとすぐにテレビ局に苦情の電話を入れるようなクレーマーに近い、「心の病んだ方」と思った方がいいですね。
アスリートという方々は、実績があって有名な方であればあるほど、自分のパフォーマンスで「感動を与えた」という「成功体験」がある。だから、そんな自分の言葉はどんな人にも伝わって「改心」してくれるだろうと思っているフシがあるんじゃないかと。
それは無理な話。世の中いろんな人がいるということを、周りの大人はちゃんと教えないといけないですね。とくに子どもがネットに手を出す場合は、必須ですよね。まぁ、ブライアンは昔からSNS反対派ですから(たまに更新するインスタの垢は持っていますけど)、今回の件を受けて、彼もメドちゃんにアドバイスするんじゃないでしょうか。
私も、真凜ちゃんは やはり華があると思います。スケーティングが良くなってきているのも感じますし、本人も手応えがあるんじゃないかと思います。当初、どうなることかと心配していましたが、明るく頑張っているようで良かったです。
一方の移籍組筆頭のメドベですが、こんなに毎試合構成を変えているなんて、知りませんでした。滑り込めていないのですから、ミスが出て当然ですが、公で誰かそれを指摘していましたか?根本的に違うベクトルで非難が起こっている気がします。
今の若い世代ならSNS好きでしょうし、メドベの場合拠点を変えた不安を ああした形で払拭しようとしていたのかも知れません。
それも、本人発信はやめるようですね。
10代の子が1から変わろうとしたが、なかなか結果が出ないなか、試行錯誤している真っ最中の段階、それが今だと思うので、ゆっくり待ってあげたいですね。
ととちゃん さま
真凜ちゃんは、スケアメでの怪我からどれぐらい戻しているのか不安でしたが、予想以上によくなっていましたね。もともと体格に恵まれて見栄えの良い選手でしたけど、朝からラファがつきっきりで監視している筋トレの効果なのか、力強さも加わった印象です。以前ほどマスコミも粘着しなくなっているので、集中してトレーニングに打ち込めているんじゃないでしょうか。
非難する人は、結論ありきで、自分の都合のよい材料だけを拾ってアレコレ言うわけです。私は、そこまでメドちゃんのスケートに思い入れがあるわけではなく、単純にどう進化していくのか、いまどのような過程にあるのかに興味があるので、今回色々と調べてみてよかったですね。
こんばんは
リショーさんは例えば、そうすると真凛ちゃんの振り付けする事はありえないって話ですね。
柔らかな表現が出来ない坂本さんだからこそ個性的な振り付けを滑りこなせるんですね。
真凛ちゃんラファコーチにも、もっと練習をって言われてるんですね。
華のある人だし出来るだけ努力して良くなっていくといいですね。
テネル、カツ丼がダイエット食と言われるアメリカで痩せすぎって凄い。
どれだけ苦労して体重管理してるんでしょうね?
まさか拒食症?
しばらく見ないと思ってたらグレイシーゴールド拒食症だったんですね。
知らなかったです。
貴ノ花さんのコメントはアスリートならみんなうなづくでしょうね。
アスリートでなくても夢を追いかけている人にもうなづけるでしょう。
number、通信届きました!
numberは記事をまだパラパラ見ただけですが、最後の清塚さんの記事だけ読みましたが、サラオレインとのコラボの時にも僕が音楽に合わせますから自由に歌って下さいって羽生くん言ってましたね。
音楽にいつもピタリと合った演技を披露してくれる羽生くんのこんな研究熱心なところから出来上がってるんだなって思いました。
34ページ以降のドアップがストレスでしたが(笑)
まぁその後の体操も割と好きなので良かったです。
それに対して通信は文句無しですね。
ストレスフリーの上、細かく見れて羽生くんのプーさんティッシュってはちみつ入りのいいやつ使っててお鼻に優しくてかぶれないなって思いました
(笑)
うちは鼻炎の時しか使いません。
マリィさま
リショーさんは、ネイサンのEXを振り付けたことがあるので、ラファのチームとのつながり自体はあると思いますよ。ただ、実際に真凜ちゃんのプロを振り付けてもらうかどうかの決定権は、当然ラファにあるでしょうね。
Number、通信ともに楽しんでいただけて何よりです。まぁ、たとえ我々が「ストレス」に感じる部分があるとしても、例えば雑誌に限らず、テレビの情報番組で「羽生ばかり」だとアンチを生む可能性もあります。ほどよく幅広く報じてもらっていい。でも、「混ぜたり便乗させる」のはやめてもらいたいですね。その点、キスクラからはじまった「棲み分け出版方式」が浸透してきたのは良い傾向だと思っています。
真凜ちゃんは今回はよかったですね。ジャンプもしっかり跳んでました。よくなってると思います。私はショートもフリーも彼女らしさが出ていて観るのが楽しみなくらいです。
貴乃花さんのメッセージ有り難うございます。対人競技とはいえ最後は自分だからの言葉なんでしょうね、そういう横綱でしたから、昨日TVにでていてしことは何を意味しているか?相撲の原点のような話をしていて私はとても魅力をかんじました。
メドちゃんは、ロシアではいろいろあるみたいですね?確かに構成がかわってましたけど、今日ヤグデンがメドちゃんに寄せたインタをよみました。あれが全てなのかなあと感じました。ヤグデンは本当に素晴らしい人格ですね。メドちゃんがメンタルやられないかとそれだけが心配です。
senninさま
貴乃花は、以前からHPで独特な表現で彼の相撲哲学を披露していましたが、今回ひろく一般層の目に触れる機会があったのはよかったと思います。必ずしも「政治」に長けた人ではなかったですが、彼の言葉はアスリートだけじゃなく、個人の生き方に対しても訴えかけるものがあるような気がします。
ヤグディンのコメントはまだ読んでいないのでこれから探してみますが、アスリートはやはり結果を出してナンボです。メドちゃんもそこに意識を集中して、トレーニングに励んでほしいですね。