JGPオーストリア(女子フリー)感想

JGPオーストリア(女子フリー)感想

リザルト関係は「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。滝野さんから。いやぁ・・・彼女にとっては試練ですね。冒頭に、コンビネーションジャンプが2本続く構成ですが、どちらもセカンドトウを刺されています。ちょっと厳しいかな?という気がしないでもないですが、これが、いわゆる「1/4以上~1/2未満足りないとUR判定」という新ルールの影響でしょうか。セカンドトウが危ない選手というと、宮原さん、樋口さん、あるいは本郷さんあたりが思い浮かびますが、シニアのCSが始まってから、どういうジャッジがなされるのか注目ですね。

その後もジャンプで苦労がありましたが、ここは切り替えて、全日本ジュニアに照準を合わせてトレーニングを積んでほしいと思います。外見が大人っぽくなっただけでなく、演技も成熟して品が出てきた印象です。心折れることなく、成長できるチャンスだと思ってリスタートしていただきたいです。

つぎにカニちゃん。このフリーは、個人的にかなり好きです。ティアラのような髪飾りとヘアスタイルがかわいいですし、曲はチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」。比べちゃいけないけど、この後のコストちゃんのロミジュリと比べたら、趣味の良さが天と地ほど違うなと。

ジャンプも高くていいですね。とくに3Lz+3Tは、高いだけでなく回転も速いので、かなり余裕を持って降りています。13歳にして、ジャンプはアテンションすらつかない完璧なクリーンさで決めていますが、スケーティング自体にもうちょっとスピードが欲しいかな・・・という部分もあります。

最新鋭のジャンプ技術に、これぞロシア!という「古典芸能」を融合させた、見ていて安心感のある演技でした。すでにジャンプやスピンは十分に上手いので、試合を重ねて、滑り込んでいく中で、もっとよくなると思います。

ちなみに、キスクラで隣に座っている、革ジャンのブロンドの女性がスヴェトラーナ・パノワコーチです。今週末の第3戦リトアニア大会にも、シニツィナという「パノワ組」の14歳の女子選手が登場します。カニちゃんのプロがよかったので、プログラムにも注目しています。

さて、問題のコストちゃん。本人に否はまったくないですよ。ルッツのアテンションと、3S+3Tのセカンドの着氷がちょっと危なかった以外は、しっかり実力を出し切りました。ただ、すでにいろんなところで言われてますし、ロシアテストスケートで見ているとはいえ、やっぱりこの編曲はなぁ・・・と。ディカプリオの映画版と1968年の映画版と、その間にもうひとつ入っていて、つまり、ゆづファン的には新旧ロミジュリの融合と言えなくもないんですが、それが「良いとこ取り」になっていないのが残念です。後半のコンビネーションスピンが終わって、ステップに入る所で、ニーノ・ロータの有名なフレーズが始まりますが、「ここでそれなの?」と、あまりのパッチワーク感に苦笑。世界屈指のスケーターが滑るのだから、どちらか一方の曲を選んだとしても、名前負けならぬ曲負けすることは無いんですから。

このオフに、エテリ組からけっこう選手は抜けましたけど、このチームの選手の振付はほぼすべてグレイヘンガウスが作っていて、どうもネタ切れというか、やっつけ感というか、彼の仕事量を減らしてあげないと、選手にしわ寄せが来るような気がして仕方ありません。

そもそもロミジュリである必要がないというか、BGMに合わせて4回転だけを跳ぶ男子選手じゃないですが、こちらもこちらで、「曲はなんでもいい」という状況になっているのは、いかがなものかなと。1シーズン、このロミジュリを見続けて、好きになれる自信がないです・・・。まぁ、ショートは個人的に好きなので、そっちを楽しみにしたいと思います。

最終滑走に吉岡さん。カニちゃん、コストちゃんの直後でよく頑張りました。勝負強いというか、ミスも最小限に押さえて、見事な3位入賞です。

すでにコメ返でも私の意見を書きましたが、ジャンプの前の「かがみこむような」姿勢はたしかに気になりますが、本人がそれでやりやすいなら良いと思います。おそらく本人もコーチも、そして連盟の人たちも承知しているはずで、でも、回転不足やエッジエラーのような、早急に矯正すべき「悪癖」じゃないのであれば、そのままで良し、という判断なのでしょう。

ジャンプの安定感もそうですが、スピンもすべてレベルを取れている所も見逃せません。吉岡さんのプログラムは、ショートもフリーも元気系なので、個人的な好みは第1戦に出場した川畑さんの方なんですが、今季のJGPデビュー組は、いずれも関東所属選手なのは嬉しいです。

名古屋や大阪の有名チームの選手ばかりが活躍しても面白くない。チームの規模関係なく、地域関係なく、日本代表クラスのスケーターが誕生する土壌が広がっていくというのは、歓迎すべきことだと思います。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ととちゃん より:

    莉子ちゃんの後、詩果ちゃんを見ると、ジャンプが安定しているのが分かります。莉子ちゃんの表現の仕方はいいと思うので、また是非見たいです。

    カニシェワ→コストルナヤの順で見ると、やはりダイナミックさ、引き込む力は後者に軍配が上がるかなと思いました。

    衣装は当時のジュリエットを意識しているのでしょうね。曲の方は…?? これでは どう 気持ちを込めていけばいいのか難しいのでは?BGMになっているという junさんの感想に同意です。

    実はまだショートを見れていないので、 junさん推しのプロを帰宅後ゆっくり見てみます。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      コストちゃんは、演技もスケーティングもやっぱり最高です。この年齢にして成熟というか円熟味すら感じるし、ジャンプを着氷した時の「指が反り返る所」はポゴちゃんを彷彿とさせるものがあって、エテリ組っぽくないところが気に入っています。

      莉子ちゃんは、これにメゲることなく、しっかりジャンプを戻していってもらいたい。織田君がついているし、しっかりケア&アドバイスしてくれることでしょう。

  2. sennin より:

    コストルナヤちゃんのロミジュリは確かに私的にはなんだかわからない感じで終わったという印象でした。junさんの記事を読んで勉強になりました。振付け師を変えないというのは限界が来そうですよね。選手も自由が無さそうです。それはそれとして、やはりスケートはすばらしいですね。他のエテリ門下生と違ってコストルナヤちゃんは痩せすぎてないのが見ていて安心です。カニちゃんは可憐で素敵でした。ジャンプも凄いです、これから厳しいロシアでどう成長していくのか楽しみが増えました。それにしてもこの子の髪飾り、テイアラっぽいですね!すごーく似合ってます。日本人選手もこういうセンスのあるものを身につけて欲しいものです。
    さて、吉岡さんてほんとーに可愛いですね〜。なんていい子なの?って感じが伝わってくるそんなスケーターですね。名前だけ知ってましたが昨年は140点位で上位には上がれなかったんですね。川畑さん達から比べると点数が低くて台乗り、運がいいとも言えますがこれがスポーツですね?立派な結果で次に繋がるでしょう。キスクラでの小山コーチの泣きそうな姿に心うたれてしまいました。関東近辺の選手が上位には大賛成です。
    話は変わりますが、今週のリトアニア大会に出る予定だった菜那ちゃんが欠場と知ってガッカリの私です。怪我でもしたのかなあ心配です。楽しみだったのに〜。

    • Jun より:

      senninさま

      たしかに、シェルバコワがあまりに細すぎるので、コストちゃんを見て安心している自分がいます(それでも十分に細いですが)。ジャンプは相変わらず高いし、唯一の懸念材料のルッツもエラーではなくアテンションに留めているのだから、致命傷ではない。エテリも、かつてのメドちゃんがルッツをフリーの1本だけに留めていたような判断には、至っていないんだと思います。

      吉岡さんと川畑さんはおそらく2戦目もアサインされると思います。荒木さんは「病欠」ということなので、故障じゃなかったことはホッとしていますが、一日も早くまた元気な姿を見せてほしいですね。

  3. おの より:

    何故かな?昨日は吉岡さんの動画が高志朗君の動画になっていて見れませんでした

    Junさんの仰る通り、二人が滑った後で、よく頑張りましたね
    良い方に成長して欲しいです

    • Jun より:

      おのさま

      いま再確認してみましたが、SP・フリーともに、記事の中に埋め込んだ吉岡さんの動画は、ちゃんと見られています。

      吉岡さんは、あんな明るいキャラでいて、度胸のある子なんでしょうね。2戦目も楽しみです。