「未収録」の基準。「フィギュアスケートDays vol.14」(リライト企画)

「未収録」の基準。「フィギュアスケートDays vol.14」(リライト企画)

有料サーバーを借りてブログを運営することになったので、この機会に「常時SSL化」してURLが「http」から「https」となりました。「保護された通信」と、「グーグル様」からお墨付きをいただいたわけですが、閲覧自体は以前と特に変わらないと思います。

あと、画像をクリックするとちゃんと拡大して開けるようにしました。仕様を少しずつ覚えながら記事を書く日々なので、しばらくの間はご不便をお許しください。

「フィギュアスケートLife」の前身にあたるのが本書。本号は、2012年5月31日発売。新品を置いている書店は日本全国探し回っても皆無でしょうが、税込価格「1,944円」です。

読者の方から「ニースワールドを取材した本を」というリクエストをいただいたので、こちらをチョイスしてみました。すでに無い雑誌なので、画像もバンバン貼ります。

インタビューは長谷川仁美さんによるもの。取材はワールドのEX練習後に行われました。実は、ニースロミジュリの「自戦解説」的な内容になっています。

(1)PCSについて(リザルトは「こちら」)

よく83点も出ましたよねー。全部8点台っていうのは初めてです。スケーティングスキルは8点台が出たこともあったけど、それ以外が8点台ってなかなかなかったので。・・・パフォーマンスは8.39で、インタープリテーション(曲の解釈)なんか8.43ももらっているし。ほんと高いなーって。だって、ディダクション(転倒による減点)ですよ、僕。思いっきりあれで演技止まりましたよね?それでもトランジション(要素のつなぎ)で8点台がもらえたっていうのは、すごく嬉しいです。

(2)「あの転倒」の意味

(4分半の演技の中での肝は)コケたところですね。コケて、会場に来ていた全世界の方々に、もうほんっとうに拍手をもらえたじゃないですか。がんばれーって。・・・あそこが1番拍手をもらったと思います。4回転よりもあそこのほうが盛り上がっていた(笑)。ほんとにあのおかげで、最後までがんばれたと思いますね。・・・あんまりコンディションもよくなかったんです。(演技が終わって)まず「よく足、もってくれたー」って足に感謝して(右足を捻挫していた)。

いや違う、まず、(演技直後に)右手をあげた時は「よしやった!」って思ったんですけど、(手が頂点にある時に)「あれ?これ、オレの力じゃない」って思って。歓声を聞いたりスタンディングオベーションしてくださっているのを見て。で、手がだんだん下がってきて。・・・やっぱり、コケた後の拍手がなかったらあそこまでできなかったし、そのまま帰ろうかなっていうくらいだったし(笑)。演技が終わって観客の皆さんの歓声を聞いた時に、やっとパワーを全部受け止められたのかなって気がしました。

この「右手あげ」のくだりは、『蒼い炎II』(45頁)に再録されています。上に貼った写真のいくつかも『蒼い炎II』の巻頭部分に掲載されていますね。私自身は、羽生君のこの発言が完全に記憶から抜けていました。本書でこの部分を目にして、慌てて『蒼い炎II』も確認した次第です。

ニースロミジュリの「右手あげ」は、あのヘルシンキのホプレガに受け継がれたと勝手に思っていたんですが、そもそもニースに関しては、ぜんぜん、ドヤっ!って意味ではなかったようです。ちなみに、先に引用したPCSのくだりは『蒼い炎II』ではなぜか省かれています。すごく率直なコメントなのでかなり新鮮な印象を受けました。

(3)僕の方が支えられている。

(支えられていると考えるようになったのは)全日本のあとです。いろんなショーに出させていただいて、そこで沢山手紙をもらって、でもいっぱいありすぎて読みきれなかったんですよ。全日本のあとに時間があったので、そこで全部読んでお返事を書いたりしていました。その時にすごい、なんか泣きそうにもなったし、そのあとに被災地の特集とかを見たら泣いちゃったし、そういうことはありました。(震災後のファンレターには)福島の方からのもありましたし、いわきとか岩手県の沿岸のほう、大船渡とか、石巻の方からの手紙もありました。僕の知っているファンの方の中にも、津波に遭われた方もいらっしゃいましたし。(震災に遭ったファンが震災後)何回か自分のリンクに来てくださったり、八戸でショーがあった時に見に来てくださったりとかもありましたね。ほんと大変だったのにそれでも応援してくださった方々の力が、今回の結果に繋がったなって思います。

ここもカットされています。特定の地名がけっこう出てくるので、書籍化するには具体的すぎるという判断だったのでしょうか?『夢を生きる』では基本的にジュエルズのインタをそのまま掲載という形だったので、私は一部の章は読んでいません。ただ、ここまでバッサリと削られるのであれば、そのまま再録の方がいいのでは?という疑問が・・・。なんだか、「Ice Jewels」という雑誌が創刊されたことと、そのインタが完全収録された『夢を生きる』という本が、平昌五輪後すぐに出版されたこと。他方で、『蒼い炎II』の続編の『蒼い炎III』が出ることはなく、むしろ内容的に、『夢を生きる』は『蒼い炎II』の続編的な位置づけになっていますね。最近とくに「Life」の羽生君のインタも記事も薄いことを考えると、例のポスター問題がまだ尾を引いているのかなという気がします。

(4)いち高校生として、恋やときめきは?

恋(苦笑)。恋は全然ないです。はははー。全然。ときめき?ときめきはありますよ。なんかねー、なんだ、なんだろう、何にときめいているんだろう?なんかフィーリングはあるんですよ、日々いろいろ。あるんだけど、何?って言われたらわからないけど。だから結構、青春はしているかも(笑)。いや、恋はしてないけど(笑)。恋……まったくしてないんですけど~。

まだまだ、のどかな時代でしたね。いまだったら質問自体がNGでしょう。こんな発言がいま公になったら、女性週刊誌やらゴシップ誌に雇われたブラックジャーナリストがゾンビのように群がって、妄想・捏造記事をこしらえるに決まってます。もちろん『蒼い炎II』には未収録です。

個人的に目を引いた他の写真もいくつか。悲愴の衣装は、今年春のCiONTUでも披露されましたけど、今の感覚で見ても素晴らしい出来だと思います。そして、今年のFaOI組がけっこう選出されていますね。イタリアの3人が今とあまり変わっていないというのは凄い。

6年前の雑誌なので、変わった人も、あまり変わっていない人もいるんですが、この方の王子然としたビジュアルにビックリ!いまや、一流のスケーターとして、さらに振付師としても世界に名を知られるほどの存在になりました。この甘いマスクの頃を知るスケオタの方々は、彼がそこまでの大物になるとは想像していなかったんじゃないでしょうか。

引き続き、リクエストを募集いたします。羽生君に限らず、例えば、今年のFaOIやCiONTUのゲストスケーターのかなり懐かしい写真も出てくるので、色々と新たな発見がありますね。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. マリィ より:

    こんばんは
    懐かしい記事をありがとうございます、って私は初見ですけど(笑)
    羽生くんのインタの文章が10代らしいなぁって微笑ましくなりました。
    どこかで見た文章と思ったら悲愴のほうに掲載されてたんですね。
    ソチ後の書籍しか持ってないので、それ以前の本に興味があります。
    どの本って特定出来ませんがソチ五輪から以前が見たいです。
    どなたか、特定していただけないかなぁ。

    • Jun より:

      マリィさま

      この頃の「フィギュアスケートDays」とか「Cutting Edge」のような雑誌は、高校生時代の羽生君の口語調のコメントをほぼそのままテキストにしてくれてるんですよね。いま読んでみるとなかなか新鮮です。

      ソチ五輪以前のものだと、上記2誌のバックナンバーはそこそこありますので、面白いものがあったらご紹介しますね。

  2. みつばち より:

    こんばんわ 
    今日は突然、ショッキングなニュースがはいってきて、私も呆然としております。
    若い人の死は悲しいです。しかもこうした事件で亡くなるなんて・・・

    しかもその死を利用して愚劣な連中が湧いてることにも腹がたちます。

    6年前の記事はまだほのぼのしていますね。まだ先の事は誰も知らない・・・
    羽生さんもファンレターを読んで、感謝の気持ちを抱いたことを素直に語ってます。
    彼が多くの人に感謝するのもこの時期から鮮明になってますね。

    いそがしい中、更新ありがとうございました

    • Jun より:

      みつばちさま

      わけのわからないアンチはともかく、日刊の記事には私もさすがに不愉快でツイートしましたが、声を上げて怒って当然ですよね。

      そこに来て、さらに悪質と思うのは、いわゆる「全員応援系」の方々。「マスコミ(つまり日刊)の報道なんて相手にするな」と、我々のような怒っているオタを上からたしなめているわけです。その割に、国内の新聞社発のニュースを山ほどRTしている矛盾。こういう偽善者がいるから、スケオタは舐められるんですよ。おかしな記事は「おかしい!」と共有・拡散して記憶しないといけません。

  3. ととちゃん より:

    junさん、早速リクエストに答えて頂いて、ありがとうございます!
    しかも、写真満載で!かつての貴ブログを思い起こしました。

    羽生選手が、何というか、まだまだ青くて、それがインタビューにも表れていて、微笑ましいです。PCS、8点台が高得点だと思えた頃があったんですね。時の流れを感じます。

    また、被災地の地名が具体的だから余計に、いつも言っている、逆に支えられた立場だ、という言葉の重みを感じます。色々な意味で、羽生結弦のターニングポイントとなった試合だったことが分かりますね。

    昨日は思わぬ訃報に接しました。彼の年齢、そしてGPSにエントリーしたことを思うと、本当に悔やまれます。
    ただ、それとは別に、ナンバーの追悼記事で田村氏は何故再度ボストンの件に触れるのか、理解しかねています。他の三流メディアとは違って、彼の演技の振り返りだけで記事を構成するストックを充分持っている人間であるにもかかわらず、そして、あの件は終わっているにもかかわらず、です。

    多分、これを使ってまた、騒ぐ人が出るのでしょう。そのうち収まるとはいえ、頭が痛いことです。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      そうなんですよ、PCSについて具体的かつ率直に喜びを爆発させているのが新鮮で、しっかり引用しました。なぜこんなに生き生きとした青春時代の発言を『蒼い炎II』から省いたのか。もったいないですね。

      田村さんの文章読みましたけど、「当時激怒したファンたちも、どうか許してあげて欲しいと思う」って、はぁ?あんた何様?って感じですよね。許すも何も、あの出来事は「アクシデント」にすぎない。そもそも我々が騒いだところでどうにもならないことはわかっていて、当時私たちは、一刻も早く乗り越え、忘れようと努力したことなんです。

      「羽生のファンは未だに根に持っている」と彼女が思っているとしたら、ゆづファンのことを何もわかっていませんね。こんな方に羽生君の通訳をさせているのは、スケ連の嫌がらせじゃないのか?という気までしてきましたが、まぁ、平昌五輪で頑張ってくれたことは評価しましょう。その事実は変わらない。でも、がっかりですね。

  4. おの より:

    こんにちは!
    ときめきの質問で、どぎまぎしている羽生くんが目に浮かびます
    正直な受け答えですね
    ミーシャさんの若いこと!
    品のある感じがしました

    夕べは悲しいニュースでびっくりしました
    テンくんの事は色々ありましたが、こう言う終わり方は悲しすぎますね
    日刊の酷さも情けなかった
    羽生くんはSNSやらないので、オーサーコーチの気を使ってくれて嬉しく思います。
    マスコミは、羽生くんを巻き込まれないで欲しい
    折角彼が気づき上げたものを、変な風にしてほしくないです

    • Jun より:

      おのさま

      ブライアンが自身のインスタで、クリケットのメンバーの連名で声明を発表していましたね。内容も簡潔かつ適切でした。

      当然ながら、羽生君のコメントを欲しい連中が世界中にいることを(もしかしたら実際に電話やメールが殺到していたかも)彼もわかった上での対処です。さすがブライアン。彼の行動・発言はいつもブレないし、どんな時であろうと信頼できる人です。

      ミーシャのお写真にはビックリしました。こんなお宝がウチの本棚にまだ眠っている可能性がありますので、機会を見つけてローラー作戦で調べてみたいと思います。

  5. マリィ より:

    テンくんのニュースびっくりしましたが、羽生くんとのトラブルも解決していたので良かったです。
    これからも頑張っていこうとしていた選手、残念でしたね。
    安らかな眠りである事を祈ります。
    羽生くんアンチが何かとケチをつけたそうなのが腹立ちます。
    マスコミも変なところに絡まないでいてほしいですね。

    • Jun より:

      マリィさま

      アンチが何を言ってるのかはまったく興味ないですが、上のコメでも取り上げましたけど、日刊と田村さんはちょっとひどいなぁと。

      こういうものをしっかり記憶して、その後この方々が「しれっと」口当たりの良いことを書いても、過度に信用しないことが大事ですね。