「フィギュアスケート・マガジン 2020-2021 Vol.5」(2)

「フィギュアスケート・マガジン 2020-2021 Vol.5」(2)

今日は、「マガジン」のレビューの続きです。先日ご紹介した「座談会」は、皆さんも真っ先に読まれたかと思いますが、それ以外で興味深かったものは、まず、共同通信ジュネーブ支局の井上将志記者によるストックホルムワールドの振り返りリポート。そして、毛受亮介カメラマンによるコラム「SKATE & JOURNEY」でした。今日は、井上記者の記事を取り上げてみます。

世界選手権の開幕前夜、3月23日のことだ。この日は、羽生結弦がストックホルム入り後、初となるメインリンクでの公式練習が予定されていた。・・・リンクサイドの記者席で、今か今かと羽生の登場を待ちわびていると、赤いダウンジャケットの男性が1列前に陣取った。

トーループ、サルコー、そしてループ。4回転を鮮やかに決める日本のエースを、その男性は熱心に、特に興奮気味にタブレットで撮影していた。・・・いったいどこの国の記者だろう。顔をのぞき込んでハッとした。アレクセイ・ヤグディンさんだった。・・・2002年ソルトレークシティー冬季五輪王者の目に、羽生はどう映っているのか。優勝争いをどう展望するのか。思い切って話しかけてみると面白い答えが返ったきた。

「自分の立場(ロシア人)としては、本当はちょっと言いにくいんだけどね…。でも、羽生とネイサン・チェン(アメリカ)、この2人は別格。言ってみれば、オールインクルーシブの旅行プランみたいなものだね。豪華な食事も、飲み物も、広いホテルの部屋も、飛行機もマッサージも、それにレクリエーションも、すべてが揃っている。他の選手は宿泊だけ、食事とホテルだけって感じ。それくらい違うよ」

・・・(羽生にとって「五輪」、4回転ジャンプの原点は、ソルトレークシティー五輪の金メダル争いだったという)エピソードをヤグディンさんに伝えると、「当時と今ではレベルが違いすぎるから」と謙遜し、最後はいたずらっぽく笑ってこう言い残した。

「でも、ユヅルは俺じゃなく、プルシェンコ(派)なんだよね?」

ストックホルムで現地取材をされた神カメラマンたちのご苦労は我々もよく知る所ではありますが、実は、日本からペン記者は現地に行けていません。ジュネーブ(スイス)在住の井上記者だけが、日本人でたた一人のペン記者として現地で取材をしてくださいました。彼のレポートはマガジンの「2020-2021 Vol.3」号でも読めますが、今回のヤグディンさんとの会話は「初出」のエピソードです。

ヤグディンさんは、上の動画でも分かりますが、タラソワさんとコンビでロシアの試合映像でよく見かけますよね。その意味で、羽生さんのスケートについてはよく知っているはずで、あれだけタラソワさんが羽生さんのことをよく言ってくれるので、評価はしてくれていると思います。「プル派」って言っても、あなた、日本のショー来ないから、羽生さんと共演する機会ないじゃないですか?とツッコミたくはなりますね(笑)。

「オールインクルーシブ」というのは、まぁ「トータルパッケージ」という意味で解釈しますけど、この二人を一括りにすることの是非はともかく、彼のようなレジェンドが熱心に羽生さんのジャンプを見てくれているというエピソードを聞くと、間違いなく羽生さんはフィギュアスケートの歴史に大きな足跡を残しているんだなと、改めて感じます。

もちろん、採点のアレコレやら、必死なアメリカとか、不愉快なこともありますが、そのすべてが、羽生結弦という存在があまりに大きいからこそ、「偉大な歴史」と「負の歴史」が混在して、歴史を形作っているのだなと。

羽生さんの現役時代に立ち会えていることに感謝すると同時に、いつかこういう諸々も笑って振り返られたらと思います。もちろん、羽生さんには4Aという大きな目標がありますから、引き続きその挑戦を応援したいですね。

では、また明日!

Jun

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