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藤井二冠は、土曜日の沼津での棋聖位防衛から、中2日で関西将棋会館(大阪)での対局です。対戦相手の久保利明九段は45歳の関西の強豪ベテラン棋士。両者の対戦成績は藤井二冠から見て「2勝3敗」と、実は久保九段の方が勝ち越しています。
ところで、将棋の戦法は、大きく分けて「居飛車」と「振り飛車」に分けることができます。藤井二冠や豊島竜王、渡辺名人もそうですが、男性プロ棋士の大半は「居飛車」戦法を指していて、「居飛車党」と言われていています。初形の位置から「飛車を横に動かさず」に活用するのが居飛車戦法です。
他方で、飛車を「横にスライドして」活用するのが「振り飛車」戦法です。ただ、男性プロ棋士には「振り飛車党」は「1~2割」しかいません。振り飛車は、攻めの方針が分かりやすく、玉の守りも堅くできる反面、「ある程度事前研究で対策をしやす」く、しかも最新のAIは振り飛車を評価しないので、プロでは少数派になっています。プロ棋士が公式戦で指した将棋の大半はデータベース化されるので、「勝たないと仕事にならないプロ棋士」にとって、「事前研究によって丸裸にされやすい」振り飛車は指しにくいようです。
もちろん、これはプロの世界の話であって、アマチュアの将棋愛好家には関係のないことです。アマチュアは圧倒的に振り飛車党が多く、実際、暗記量も少なくて済むので、私自身も振り飛車を愛用しています。
そんなプロ棋界で圧倒的に不利な「振り飛車」を愛用しながら、これまでタイトル7期を獲得してきたのが久保先生で、まさに「振り飛車党総帥」として振り飛車ファンの絶大な信頼を集めています。AIが何を言ってようが、信念を持って振り飛車を指しつづける所が、ビシっと筋を通していて、かっこいいじゃないですか。
他にも、久保さんといえば「さばきのアーティスト」と「粘りのアーティスト」という「二つの顔」を持つという特徴もあるんですが、これを説明すると長くなるので、今日は割愛します。
今回の将棋は、「居飛車vs振り飛車」の「対抗形」になることは確実ですが、展開自体はまったく予想できません。ただ、持ち時間は6時間で、昼食・夕食休憩が入りますから、てっぺん越えの大熱戦になることでしょう。とても楽しみな一戦です。
では、また明日!
Jun