「フィギュアスケート・マガジン 2020-2021 Vol.5」(3)

「フィギュアスケート・マガジン 2020-2021 Vol.5」(3)

マガジン」のレビューのラストです。今回は毛受亮介カメラマンのコラム「SKATE & JOURNEY」から。

毛受さんは、ストックホルムの地に降り立った「神カメラマン」のお一人で、帰国後はその代償としての「隔離生活」を強いられました。しかし、「隔離めし」ツイートを通じて、私たちに明るく情報発信してくださったのも、すでに4カ月も前になります。そんなユーモア溢れる「SKATE & JOURNEY」も、いまやマガジンに欠かすことのできない企画になっていると思いますね。

僕がフィギュアスケートの撮影を始めて4年が経ったが、それまでと今とで、自分の中ではっきり変わった部分がある。それまでの僕は、編集者やライターの人が「こんな写真を求めてはんのやろな」と思いながら写真を撮っていた。でも、今は違う。「読者の皆さんが見たいのは何なんやろ」「この方向から撮影したら喜んでもらえるやろか」。編集部やライターの人のさらに先、読者の皆さんを頭に入れて撮影するようになった。

自分の仕事を見てもらうこと。それについての反応をいただくこと。それがどれだけ大きな力になるかを、僕はフィギュアスケートを通じて学ばせてもらった。帰国後、ウェブで展開した隔離中の弁当リポートへの反応も、ホテル生活を乗り切る上でどれほど力になったか。

私は前身ブログから数えて5年余り情報発信をしてきましたが、フィギュア雑誌・書籍における「写真の見方」も自分の中で年々変わってきたなと感じています。

5年前というと、ゆづ尽くしの雑誌は「応援ブック」と「通信」ぐらいで、その「ゆづ成分」の濃さに圧倒された記憶があります。他方で、大ボリュームの写真を誰が撮ったかはあまり意識していませんでした。実際、この二誌は相当売れたはずで、その後、二番煎じ、三番煎じの雑誌が出てくると、某闇の勢力により「通信」が一時休刊となります。あれにより、二番煎じ・三番煎じ雑誌の多くが消えました。

その後、スケ連の「お墨付き」を得ることで「通信」は復活し、「分冊」形式でモデルチェンジを行った「キスクラ」、そして、大判サイズ&分冊形式と独自の企画力が光る「FIGURE SKATERS」の3誌が、「写真系」雑誌で生き残ったと言えるでしょうか。

そこに、SNSでの情報発信・情報共有がさらに進化したことで、能登さん田中さんのような先駆者たちに加えて、小海途さん矢口さん若杉さん、そして毛受さんのような若手カメラマンにも注目が集まり、そんな「神カメラマン」たちとスケートファンが直接交流する機会を得ることで、「誰が撮ったか?」という質の部分にも光が当たるようになったと思います。それが、昨年6~7月の「写真集3冊発売」という形になり、その流れは今年も続いていますよね。

毛受カメラマンが「読者の皆さんに」ということを念頭に入れられるようになったのは、雑誌・書籍を買い続けてきたファン目線からすると、こんな背景もあるような気がします。

まずは、新シーズンも羽生さんが現役を続けてくれることで、神カメラマンたちの素晴らしいお写真の数々を楽しみに待ちたいと思っています。コロナによる取材現場への制限が少しでも緩和されることを祈りつつ・・・。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. Sennnin より:

    Junさんまず昨夜の対局遅くなりましたね?予想通り疲れますよねえ。騎士は強い人こそ体力、知力、免疫力、回復力等がないと勝てませんね?若いといっても藤井くんお疲れ様としか言えません。羽生先生の実績は何十年と健康だったからと解説で聞いたのが納得です。その羽生先生昨夜所沢市を聖火ランナーやられたようで若杉さんの写真でわかって見たかったけどもう遅かったです。

    写真部 め さんですが記事よむと泣けちゃいます。カメラマンじゃないけど山口さんの
    姿勢も受け継がれているのでしょうね?また結弦くんの気持ち代弁してくれてるような内容ですよね?隔離生活から毛受さんのツイがないので寂しいです。あの時は面白くてバンバン返信してました😂
    マガジンの81ページ面白いですね、待ってろ世界だったのが ついてこい世界になりました。読み応え、写真とじっくり観れる雑誌です。
    カメラマンなんですが私はそこに毎日新聞の北海道支部 貝塚さんも好きです。NHK杯で知ったんですが…。

    • Jun より:

      Senninさま

      順位戦の久保戦は案の定てっぺん越えでしたが、最終盤、藤井二冠は29手詰を一瞬にして寄せ切ったので、疲れ知らずの脳の持ち主ですよ。私は何度も意識を失いながら、なんとか終局に立ち会うことができました。

      羽生先生の聖火リレーは私も特設サイトで観ましたが、「右手に聖火、左手に将棋を指すポーズ」と、サービス精神旺盛でした。けっこう雨が降っていたので、体調を崩されていないか心配です。

      大手紙のカメラマンさんも、特に全日本ではTwitterで精力的に発信してくださってましたよね。貝塚さんもそうですが、ウチのブログでも以前ご紹介した朝日新聞の遠藤啓生カメラマンは、高橋成美ちゃんとのコラボなど、フィギュアについて熱心に取り組んでくださっている印象です。