お写真は「こちら」の記事から。先手の渡辺名人が、矢倉という戦型の最新流行形に誘導していって、持ち時間は終盤の入口まで名人がかなりリード。
「こりゃ、藤井二冠といえども今回は厳しいかな・・・」と思っていました。ところが、渡辺さんが長考に次ぐ長考で持ち時間を湯水のように消費していき、双方1分将棋になって、形勢は「最後まで正確に指せば、渡辺名人優勢」という終盤でした。
しかし、名人にミスが出て、最終盤に藤井二冠が放った7一飛という一手が印象的でした。これは飛車をタダで捨てる手なんですが、これがまさに毒饅頭のような一手で、それを取ってしまうと、渡辺玉に詰みが発生する勝負手。
比較的ライトな将棋ファンでも知っているのが、「飛車をいつも見殺しにするのが藤井将棋」で、他方で、「渡辺さんの好きな駒は飛車」という、その二つの「あるある」がピタっとハマった瞬間の幕切れでした。
スコアとしては、藤井二冠の3-0防衛ですけど、3局とも序盤・中盤は渡辺名人がリードしていたので、さすが名人の事前研究と感じました。それにしても、今日の藤井二冠は終盤の急所でずっと前傾姿勢で読みを入れていて、時間を余して投了した豊島竜王との王位戦第一局とは「別人」でしたね(笑)。
今期の棋聖戦五番勝負はこれで決着ですが、豊島さんとの番勝負は続きます。引き続き、体調に気をつけて、頑張ってもらいたいと思います。藤井二冠の次戦は、7月6日(火)の久保利明九段戦(順位戦・大阪将棋会館)が予定されています。
では、また明日!
Jun