リザルトは「こちら」。お写真は「スポニチ」さんの記事から、もちろん小海途神撮影のものを拝借。
話は、土曜朝の曲かけ練習から始まります。最近では、特に国際試合だと曲かけの映像もライストで観ることができるんですが、いままで見てきた羽生さんのフリー曲かけを思い返しても、ここまでパーフェクトに近い内容は記憶にありません。この曲かけでは、唯一3Loの所がダブルに抜けていますけど、他のジャンプ、特に4Loの着氷の安定感、そして他のクワドも、SPよりかなり余裕を持って降りているので、一年前の全日本のような、ミスを連発する光景がまったく想像できなかったです。かなりの好記録が期待できる予感はありました。
夜の放送はずっと観ていたんですけど、宇野選手や鍵山君の演技を見た上で、4Loと4Sで大きなミス(パンク)が無ければ、勝てるかなと思いました。しかし、予想を遥かに上回る出来に、「よもやよもやだ!」ですよ。
この「天と地と」の凄さをどう形容すればいいか。少なくとも、羽生さんのフリープログラムの中でも、2017年ヘルシンキワールドのホプレガに匹敵するクオリティを誇ると思いました。つまり、平昌五輪のSEIMEI以上ですよ。ただ、ヘルシンキではSPでミスがあったので、正直ノーミスできる予感はなかったし、ヒヤヒヤしながら祈るような気持ちで見ていたんですよね。
しかし、今回は、SPもほぼノーミスに近い内容でしたし、前述の曲かけのコンディションから考えて、ヘルシンキホプレガとは、見ている私の心境も、まったく違ったなと。そして羽生さんは、ヘルシンキでは、周囲の雑音をシャットアウトするような「無我の境地」だとすれば、今回は周りのすべてを飲み込んだ上で、一つひとつのエレメンツを自信と確信を持ってこなしていたように思います。
フリーが始まる前にフォロワーさんと少しやり取りをしていたんですが、曲かけでのコンディションの良さから、NHKの「アナザーヒストリー」の中での、プルさんの発言が頭に浮かんだんですよね。
日本のスケート界が彼をオリンピックに集中させてあげられれば、少なくともオリンピック4連覇までは可能だと思う。5連覇だって無理じゃないね。
これに対して、ディック・バトンさんが「おい。誰だそんな事言ってるのは。もう彼は別格なんだから好きなようにやらせてあげなさい!」とツッコミを入れてたのは微笑ましい。でも、プルさんの言う通りだなと。
「日本のスケート界が彼をオリンピックに集中させてあげる」とは、すなわち「出場試合を選ぶ」ことが許されるということ。今回のコンディショニングの完璧さから言って、例えば、仙台を拠点にして、1シーズンに全日本を中心に計3試合ぐらいに制限するとか・・・。ただ、テレ朝さんに懇願されるのは目に見えていて、義理堅い羽生さんのことだから、GPシリーズ2戦、ファイナルの計3試合は出るだろうし、NHKから「出てほしい」と思われているのも間違いない。結局は、「全日本の日程を1月にしろ!」ということなんですよね。
試合後のインタビューの中で、羽生さんは「4Aへの意欲」を語っていましたが、ならば、なおさら1シーズンをフルに試合を出ていたら無理でしょ?と思います。もう十分にスケート界に貢献したのだから、自分の身体と相談しつつ、無理しないでほしいと願っています。
おそらくワールドの開催は無理だと思いますし、もちろん国別も厳しいでしょうから、MOIの後は、しっかり休んでください。今回の試合内容を踏まえて、クリケットのコーチ陣と今後についていろいろと相談するんだろうなと思います。
それにしても、「今回の2つのプログラムでもオリンピックで勝てる!」と思ったのは、私だけではないんじゃないでしょうか?名プログラムの誕生を目の当たりにできて、本当に幸せな二日間でした。
では、また明日!
Jun
コメント
こんにちは 更新ありがとうございます
余裕でしたね。ご贔屓のみに忖度するジャッジなどものともしないパーフェクトな演技。
コーチがいないのももちろん、すべてを理解した上で完全に勝つ。
SEIMEIのときから感じていたのですが、羽生さんはポピュラーな曲を選ばなくても自分の世界観を造り上げ、それを多くの人に分け与える、人々もそれに納得する。
押し売りゴリ押しにウンザリした私にはそう感じられます。
羽生さんは歴オタですよ、きっと。息子に「誰でもかれでも仲間認定するなよ、おばちゃんの悪い癖」
と言われてます。
みつばちさま
曲かけを見ていた時に、ちょっと大人しい曲なのかな?と思っていたら、いやいや、そんなことはまったくなかったですね。
特に3Loを降りた後、フライングキャメルに入る所のメロディが気に入っていて、ゾクっときます。
結局、振付師に選んでもらった楽曲とプログラムを言われた通りにただ滑っているだけでは、こういう演技にはならないんですよね。
楽曲の歴史的背景について、そこまで突き詰めているからこそ、すべての動きに意味があって、魂が込められている。
本当によいものを見せてもらったなと感激しています。
ほんとに素晴らしい演技でした
羽生結弦選手はどこまで登り続けるのでしょうか?
まだまだ戦いは終わらない
世の中が困難であれば救いの人となって現れた人なのかと…
発言も含めて素晴らしい人です
目の付け所が違います
このプロは羽生くんにとって伝説のプロになりますね
さてMOIは何が来るのか楽しみです
おのさま
2つの新しいプログラムに対して自問自答しながら、精魂こめて作り上げて、技術とコンディションも磨いてきた。そして、やっぱり、あそこまで考えている人なんですよね。
ここ最近、軽率な行動・言動の政治家たちを見てきて、しかも内輪でかばいあっている姿が、あまりに理不尽で不愉快極まりなかったですが、やはり、自己を戒めて、自分のやるべき事に打ち込むと、こういうものが出来上がる。こういう発言が湧き出てくる。
真っ当に生きていくことの大切さを痛感しました。日々辛いことが多いですが、そういう時は羽生さんの演技を見て、頑張っていきましょう。
こんにちは!
本当に観るのが怖いほど緊張の2日間でした。自分の実生活ではこんな体験することはないですね! それというのも全日本という特殊な大会で、ここは絶対勝ってほしいと思っていたからです。本当に良かった。これで安心して演技を見返すことができます。
少し前にNHKで、上杉謙信の番組があり、石坂浩二さんが出演されていました。川中島の戦いって、謙信が20代、今の羽生さんくらいの年齢なんですね。領土拡張を目指さなかったので、家来に不満を持つ者もいたりで、いろいろ葛藤もあったようです。「信長も案外弱い」って言葉には笑ってしまいました。
それにしても、やはり4Aの練習をすると、他のジャンプに影響が出るんですね。4Aに挑戦する時は、他の4回転をセーブしてもいいのに、と思いますが、そもそもその挑戦の試合すらあるのかどうか・・国際大会が開かれるのがいつのことになるのかわからないですしね。
雪女さま
石坂さんはサタデーステーションの方では拝見しましたが、ニコニコしながら羽生さんを褒めてくださっていましたね。上杉謙信というと、私は↓のサイトの「70勝0敗」ぐらいという説の印象が頭に残っています。でも、せっかくなので明日、手ごろな本を探しに行こうと思っていますよ。
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/6643/
4Aの練習により3Aの質が上がったという点は、羽生さんが、フリー後の武史さんと宮司アナを交えた「自戦解説」(*将棋では「自戦解説」という言葉を使うんですが、フィギュアでは言わないかな・・・)で語っていましたね。
おっしゃる通りで、4Aを入れる場合、他のクワドの本数は減らしてもいいですよね。なにも五輪やワールドだったり、シーズン通して毎試合4Aを跳ぶ必要もないですから。調子の良い試合で一本入れることになるんじゃないでしょうか?
基本的には、今回のような4A無しの構成で「天と地と」はブラッシュアップしていくような気がしますね。
MOIも終わりましてなんか楽しかった全日本でした。ここ2年間くらいの理不尽な採点や
昨年の全日本で負けた時に「レジェンドなんだからと言われるけどまだ闘っていいですか?」とインタした言葉も思いだしました。色んな葛藤で今の自分に合うのが天と地とその中に人(じん)それは自分ということで選んだ。最初の会見は心が痛みました。が終わってみたら元気になって他の選手特に知子ちゃんや宇野君なども試合があることで目標持てて元気になれるんだな〜と実感した全日本でした。結弦君は本当に支障のない試合に出れば私もいいと思います。体調さえ良ければ最高の演技をしますからね!
それより変異種のコロナがトロントにも出ましたね?ワールドは難しいとして、もう結弦君は日本を拠点にしたらどうですかね?クリケットでも必要なのはジスランくらいでしょ?4Aがそうなるとどう練習するかでしょうかね?いずれにしてもカナダには行けない状況です、今後の事は本人と家族で考えるでしょう。
三浦佳生くんがフリーの後のインタで結弦のことを絶賛してましたね?ジャンプは世界でもピカイチ特に僕はサルコーとルッツが好き、羽生選手の4ルッツは最後までアウトエッジで跳ぶと言ったので驚きました‼️流石元都築先生の弟子、現役選手でここまでハッキリいう人はいません。佳生くんも世界に出て行くでしょう!
Senninさま
明らかに疲れ切っていた、昨年のあのOrigin直後を思うと、やはり試合は「選ぶべき」だと思うんですよね。
納得のいく完璧な演技を披露するために出場試合を限定するのは、決して手抜きではない。むしろ大多数のファンは(現地ファンもテレビのファンも)支持してくれると思うんです。ましてや、4Aを組み込むのであれば、なおさら余計な負担をかけるべきではないですよね。
カナダに自由に戻れるような状態というのは、もしかすると来年夏以降になるかもしれません。いずれにしても、しばらくは仙台を拠点にせざるをえませんから、今回の結果を踏まえて、マイペースで調整してもらいたいですね。