リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。すでに順位は確定していますが、上位5人を滑走順にレビューします。
住吉さん。フリーは111.85。合計171.65で4位。カナダ杯で成功していた冒頭の3F-3LoはセカンドループがSOとURで残念でしたが、全体としてはミスも少なく、良い演技だったと思います。所作の部分で多少ジュニアっぽさは確かに残りますが、大舞台でもミスが少ないというのは彼女の長所になると思います。これから、全日本ジュニアから全日本へと、国内のビッグゲームが続きますが、多くの人に知ってもらいたい選手の一人です。
イ・ヘイン。フリーは117.47。合計180.48で4位。決して身体は大きい選手ではないですが、ジャンプに癖がなく、冒頭の3Lz-3T(+1.52)は高さもあってキレイに跳びますね。ファイナル進出を決めたイェリムよりもジャンプ自体は巧いんじゃないかと。
ただ、モヤがかかっていて表情がよく分からないのもありますが、「ウェストサイド・ストーリー」は彼女の実直なスケーティングスタイルと合っていないですよね。こういう曲を滑るなら、もっとグイグイとくるような表現、日本でいうと樋口さんのような圧の強さが出てこないと、曲に負けてしまう。その辺りの表現の幅も出てくると、この選手は認知度も上がって、もっとスコアが上がってくると思います。でも、まだ13歳です。韓国女子は優秀なスケーターがどんどん出てきていますよ。
タルシナ。フリーは122.50。合計188.24で2位。ミスらしいミスは後半の単発の3LzのアテンションとURだけですが、特に最終盤のステップは凄まじい運動量を要求される激しさながら、見事に最後まで滑りきりました。よく鍛えられています。こんなに素晴らしいタルシナですが・・・。
スロバキア大会で186.68の2位だったので、ファイナル進出は厳しくなりました。ポイントで争っているカニシェワは、オーストリア大会で191.84の2位だったので、次戦のアルメニア大会では(トゥルソワが1位であると仮定すると)2位の183.09以上のスコアを出せば、カニちゃんがファイナル進出です。まだ次戦が終わってみないと分かりませんが、なんというレベルの高さでしょうか。
タラカノワ。フリーは126.07。合計190.05で1位。2年連続でファイナル進出決定です。練習環境を変えたのに、よく頑張りました。さあ、カナダ大会でも話題になった、このド派手な月光をどうぞ。
結果を知っていて、動画での後追い視聴だというのに、最後のステップの所で泣きそうになりました。彼女のジャンプは、まぁタルシナに比べるとドタバタした感じではあるんですけど、そこをなんとかこなした後の、叩きつけられる鍵盤の音と彼女の爆発的な突進力がぶつかりあって、ものすごい雰囲気になっています。これが14歳の女子選手のスケートなんでしょうか?最後の高速スピンなんて、メタルやロックのライブでのアンコール最終曲、かきならされるギターと嵐のようなドラムとヴォーカリストのシャウトでフィナーレを迎えるような、あんな光景がダブります。
エテリのチームを抜けて辛かったとは思いますが、この月光は、彼女のワイルドでロックなスケートにピッタリのプログラムですよ。ファイナルにはプルさんが当然来てくれるんでしょうね?頼みますよ!今大会はSPのコンビネーションの2ndがダブルになるなどミスがあったので、ビシっとノーミスを揃えられれば200点超えも十分にあると思います。
川畑さん。フリーは100.64。合計167.49の5位。結果を知ってから動画を見ました。冒頭の3Lzの転倒は仕方ないとして、そこからは持ち直しているように見えたのですが・・・。3Sの前に一瞬つまづいていましたが、ジャンプ自体は成功。問題は、2本目のREPになった3Lzですよね。うまく降りたので、ここでセカンドトウはつけられなかったのでしょうか。その後の、3Fのエラー、3Loのパンク、ステップの転倒と、ゴッソリと減点されてしまいました。
全体として、特別ジャンプの調子が悪いとか、どこか怪我をしたという感じには見えないので、最終滑走のプレッシャーか、あるいはリカバリーの練習がまだ足りないかの、どちらかですかね。でも、YouTubeの英語のコメントが温かいですよ。「良いものは良い!」と世界のマニアックなスケオタの心をSPの演技で鷲掴みにしたわけです。今季がJGPシリーズ1年目です。もっともっと強くなれる選手です。
話かわって、ファイナルに向けてひとつデータを確認しておきます。ルール変更があったので単純比較はできませんが、昨シーズンのファイナル進出者で、合計190点以上をシリーズで2試合揃えたのはトゥルソワとコストルナヤの二人だけでした。それが今季は、(かりに次戦、トゥルソワ&カニシェワが190点以上を出してワンツーだと)6人全員が190点以上を2戦連続で出しているという恐ろしい状況になります。そもそもトゥルソワが220点台、シェルバコワとコストルナヤが200点超えを果たしているんで、その下のレベルも上がって当然かもしれませんが。
明日はフィンランディア杯の注目選手をピックアップして、すぐにJGPアルメニア大会です。日本からは、荒木さん、横井ゆは菜さん、木科君、鍵山君が出場予定。頑張ってもらいましょう。
では、また明日!
Jun
コメント
JunさんのTwitterで川畑さんがテッドさんのをあげてくたさってるやつですか?荒れたときもあったけどなんて泣けてきます。Junさんのお陰でみれました。それとも演技中なんですかね?英語がわからない私にはマジで悔しい、いつも思うけど(笑)英会話教室にいこうかと考えるくらいですが身に付きそうにもないので…。今回のように解説の方のメッセージを紹介していただけるとありがたいです。
川畑さんはいい選手です。得意のルッツも失敗してしまいライストでみていたのでガックリしたのですが(笑)私も緊張したのかなあと感じました。
りおんちゃんはこれからもっと伸びそうで体型も恵まれてますね?2016シーズンで駿君とノービス優勝者でエキシに度々でていたので直ぐに覚えました。
タラカノワちゃんもライスとでみてましたが、なんというか?この子にあったプログラムのように見えました。あと素直な性格らしく嬉しさを爆発させてるところが私好みです。本当にファイナルではプルシェンコ様見たいですね!!
senninさま
私もテッドさんの英語を全部完璧に聞き取れるわけじゃないですよ。まず大前提としてある程度の語彙力がないとリスニングというものは不可能なので、テッドさんのツイを読んだり、お好きなスケーターのYouTube動画の英語コメを読んで、フィギュアスケートの定番語彙をストックしておくといいです。単語の発音・アクセントもGoogle翻訳ですぐにチェックできます。
先日のオータムはテッドさんが解説してましたし、OtonalとOriginでとりあえず練習しておくのもいいですね。もしかすると、日本語訳を作ってくれている方もいるかもしれません。地道にやると、少しずつわかるようになります。
タルシナとタラカノワ、違った強さがありますね。今回はタラカノワの月光に持って行かれました。曲のインパクトに負けない後半の演技、息を詰めて見ていました。これでジュニアですか…。
和愛ちゃんは、終わった瞬間悲しそうでしたね。色々と歯車が合わなかった印象を受けました。彼女の日ではなかったのでしょう。
優しいコメントがあるとのこと、認めて下さる人は世界中にいますね。次に繋げて欲しいです。
ジュニア世代もロシア無双。見る分には綺麗で上手で強くていいのですが、勝負という面では なんだかつまらない気がします。急ぐ必要はないですが、じっくりと実力をつけて、いつか互角に勝負して欲しいですね。
ととちゃん さま
川畑さんは、演技直後、力が抜けたような表情をしていましたね。それでも、すぐに笑顔をつくって観客に応えていました。健気でした。これも彼女にとってはいい経験ですよね。
たしかにロシアは強いですね。まるでマラソン界におけるケニア勢のように、記録の上で飛び抜けていると同時に選手層も厚い。ただ、陸上競技のように純粋なスピード勝負ではなく、フィギュアスケートはジャッジの主観が入りまくる採点競技なので、一定数の他の地域の選手も出てくる(ageられてくる)ことでしょう。