ファイナル(女子Sr.ショート)感想

ファイナル(女子Sr.ショート)感想

リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。金曜のお昼にライストで視聴していました。女子シニアのショートから、滑走順に振り返ります。

サモドゥロワ。68.24の5位。つなぎや、ジャンプの入りと出の部分にギチギチに技を詰め込むのではなく、音楽との調和を大切に、良い意味で力の拔けた「表現重視の演技」というのが、彼女のスケートの特徴ですね。この後に、実績および実力の面で彼女を上回る選手がズラっと続くなか、このように伸び伸びとクリーンな演技を披露できるのですから、さすがファイナルに残るだけありますね。心臓の強い選手だなと思います。

リーザ。70.65の3位。3AはURを取られましたが、両足着氷にはならず、オーバーターン気味にこらえきった所に、今季の好調さを感じます。残りのジャンプは全て決め、スピン・ステップともにレベルを落とさない「手堅さ」が、坂本さんをわずかにかわして、3番で折り返す原動力になっているんじゃないでしょうか。

紀平さんとはまた違った意味で、「3Aだけじゃない」選手ですね。ジャンプの調子自体は良さそうなので、フリーでアクセルをビシっと決めてくれることを楽しみにしています。

紀平さん。82.51の1位。現地からの報道では3Aの調子がかなり良いということで期待感はあったんですが、本当にスパっと決めてくれましたね。GOEも男子並みの+2.51を獲得。今季の彼女は、むしろ3A以外のジャンプでミスが減ったので、「これは期待できる!」とドキドキしていると、TESカウンターで、フライングシットスピンがまさかのレベル2判定。まさに、「あっちがうまくいけば、こっちがうまくいかない」的な感じで、こりゃジャンプをすべて成功しても75~77点辺りかなと思っていました。

参考までに、NHK杯のPCSは「32.19」で、フランス杯では「32.13」でした。いずれも3Aでミスが出ましたが、それにしてもいきなり約3点増(35.15)というのは、しかもシニア1年目の選手にちょっとやりすぎかな・・・と感じました。

ただ、昨シーズン、同じくシニア1年目だったザギちゃんはどうだったか。中国杯のPCSは「31.43」で、フランス杯では「31.19」。そして名古屋ファイナルでは「35.06」と急上昇しています。ザギちゃんの場合、昨シーズンのGP計3戦のショートはすべてミスがあったので、紀平さんのPCSは「ファイナルで高めに出す近年の傾向と、ノーミスしたことも併せて考えると、高すぎることはない」ということになりますね。

宮原さん。67.52の6位。紀平さんのもの凄い演技とスコアで会場がどよめいた直後でしたから、彼女ほどの選手でも、少し動揺してしまいましたかね・・・。

冒頭のルッツはもちろんコンビネーション予定なんですが、かなり軸が傾いてしまって、単体のトリプルルッツに変更。やはりURを取られていました。2Aを無難に降りて、さあリカバリーはどうか?と思っていると、なんとかセカンドにはダブルトウ。ジャンプ矯正中に、なかなか自由自在にリカバリーをするわけにはいかないですよね。6位とはいえ、上は団子状態ですから、フリーは表彰台を狙って貪欲に攻めていってもらいたいです。

坂本さん。70.23の4位。実は、動画で見直す際に、音楽をミュートしてみたんですが、スケーティングスピードの速さとジャンプの迫力が、「音楽アリ」と比べて、ぜんぜん違うことに気づきました。もちろん、ウィルソンのプロが彼女のスケートと合っていないと言うつもりはなくて、やはり彼女の強力な武器は「そこ」なんだなと。今季は表現の幅を広げるシーズンと位置づけているはずですから、これでいいと思います。

しかし、坂本さんがほぼベストに近いパフォーマンスを披露しても、紀平さんとは12点も開きがある。「3Aの暴力恐るべし」ですね。これでまた、「3Aの魔力」に魅せられる女子選手が増えてくるのでしょうか?

ザギトワ。77.93の2位。オリンピックで金メダルを獲り、身長が7センチも伸びながら、休まずにそのままシーズンインして戦いつづける姿は、本当にリスペクトに値します。ただ、冒頭の3Lz-3Loにしろ、3Fにしろ、着氷に余裕はなく、回転も「いっぱいいっぱい」という感じはあって、なんとかノーミスでまとめた印象です。

昨シーズンの彼女は、ショートでのミスをフリーでの完璧な演技で挽回するという展開でしたが、今季GPシリーズは、ヘルシンキでもロステレでも、フリーでミスが出てしまっているのは気になります。

ザギちゃんがフリーでノーミスしても、3Aを2本跳んでくる紀平さんがノーミスすれば、紀平さんが逃げ切ることになるでしょう。ザギちゃんは4番滑走、紀平さんは最終滑走ですから、ザギちゃんの出来次第では、もしかすると、紀平さんは冒頭の3Aを降りたら、「2本目は無理して狙わない」という「プランB」に切り替えることもありそうですね。

3位以下は混戦ですが、1位と2位は二人の一騎打ち。紀平さんには、ぜひこの大一番をモノにしてほしいです。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. おの より:

    何故か安心して見ていました
    紀平さんは、たとえ失敗しても引きづらないので大丈夫!って(^^)
    落ち着いているように見えました
    着氷してからスーッと伸びるスケートはいいですね
    余談ですが織田くんの解説はいいですね
    ほんとに色々勉強してます
    全部の試合の解説をお願いしたい
    無理ですが(笑)
    フリーはどんなドラマがあるのでしょう?
    楽しみです。

    • Jun より:

      おのさま

      織田君は、修造さんとのコンビの場面と、解説とでは完全にキャラを変えていますね。

      修造さんのテンションに合わせたマシンガントークのイメージがあるので、その先入観を持ちながら解説を聞くと、かなり抑制している印象です。

      完璧に成功したジャンプであれ、回転不足のジャンプであれ、演技中は技の名前をコールする程度に留めて、採点中のVTRで論評するというスタイルです。かつての稔先生のように、「いいいねぇえええええ」「いったあああああ」っていう居酒屋スタイルも、たまに聞きたくなるんですけどね(笑)。

  2. ごろ寝 より:

    記事には相応しくなくて、ごめんなさい。

    家人がつけたTVで女子を二人ぐらい見ました。織田さんの解説が嬉しい驚きで。

    地上波は見ないことがほとんどなのです。何でも「カウンター」にしたり、「色気」がPCSに反映されるとかのたまわれては、ね。

    織田さん、語彙豊富になりましたね。冷静、的確、一般の試聴者が聞いても理解できる。元より信頼度は随一でしたが、喋りの上手さに磨きがかかりましたね。

    選手の注目度だけではなく、メディアに関わるOB.OG等の意識の向上がフィギュアスケートを競技として向上、定着させる為に不可欠だと思わせていただきました。

    • Jun より:

      ごろ寝さま

      フィギュアスケートの競技映像は、ネットでタダですぐに見られますし、プロトコルも読める。誰がおかしなジャッジをしているかもすぐにわかる。おそらくソチ五輪後からこのような「観戦スタイル」が確立してきたと思います。

      たとえオリンピック出場経験者であっても、的外れなコメントをしたらすぐにネットで拡散されますよね。織田君がしっかりしてるのは、やはり関大のスケート部の監督として教え子を指導している責任感からだと思います。最近は稔先生も踏み込んだ発言をするようになっていて(12月10日更新の「4回転トーク」を参照)、彼らのような解説がスタンダードになってほしいですね。

  3. マリィ より:

    おはようございます。
    紀平さんのSP見惚れました。
    お昼寝もしてばっちりのコンディションだったんですね。
    インタがまだ16才って感じでかわいいですね。
    筋肉のコンディションがわかるのってすごいですね。
    ザギトワ自分でも言ってましたが表情から固い感じに見えましたね。
    やっぱり身長が伸びたのが影響してるのでは?
    宮原さんはジャンプ矯正中だし仕方ないですね。
    しかし、3A跳べばこんなに違ってくるってよくわかる試合でした。
    来季のトゥルソワはみんなが4回転跳ぶなら5回転跳ぶとか言ってますけど可能かも?と思わせるジャンプ力ですね。
    まぁ女子は体型変化がネックですからわかりませんけどね。
    そんなこんなで紀平さんはここは是非優勝して欲しいです。

    • Jun より:

      マリィさま

      すでにフリーのレビューでも書きましたが、紀平さんやリーザの躍進は、3Aだけが理由ではなく、3A以外の要素をほぼパーフェクトにこなせる安定感にあると思っています。ここが、かつての女子のトリプルジャンパーと決定的に違う所ですね。

      私は、紀平さんにとっての3Aというのは、羽生君にとっての4Tや4Sのようなジャンプだと思っています。羽生君が4Loや4Lzの習得を目指したように、紀平さんも全日本後には4Sや4Tの練習を再開するという話です。

      ただ、すでに紀平さんや濱田コーチもトータルパッケージの重要性を認識しているはずで、北京五輪のシーズンにどういう構成で挑むのかは興味深いですね。なんとかの一つ覚えのように最高難度のジャンプをズラリと並べただけで勝った気になるのではなく、「確実に勝つための構成」を導き出すと思います。戦略的に世界のトップで戦える女子選手が出てきて、楽しくなりましたね。

  4. ととちゃん より:

    女子、レベルの高い試合だったと思います。
    サモドゥロワだって、とても良かったですし
    トゥクタミシェワの存在感も感じました。花織ちゃんも 初めてのGPF、ノーミスでまとめられて、やはりOPの経験なども生きているんだろうと思いました。

    知子ちゃんは、やはりあの滑走順が少なからず影響したと思います。それでも、小雀、綺麗でした。フリーまで1日空きますし、きっと挽回してくれると思います。

    ザギトワは表情が固かったですね。紀平さんの得点は知っていたのかどうか…。16才で大きなものを背負って良く頑張っていると思います。そういう点に羽生選手も共感を覚えているのでしょう。

    紀平さんは見事としか言えません。初出場、初優勝を期待しています!

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      宮原さんについては、ショート・フリーともに、URが取られましたが、これが現行ルールでのジャンプの判定ということなんでしょうね。

      ただ、ルッツに関しては、ショートもフリーも大きく軸が傾いていたので、ここの修正は急務のような気がします。すべてのジャンプが良くなるまでには何年もかかりますが、まずは全日本に向けて、不安材料を一つずつ克服していってもらいたいです。