マッシさんのワールド女子評（惑星ハニュー 4.1.2021）

マガジンもAERAも一通り目を通したので、「惑星ハニュー」さんをチェックしてみると・・・4月1日更新のマッシさんのワールド女子評についてのエントリー（Figure2Uより「バブルについて～女子シングル総評」）にぶっ飛んでしまいました。いやぁ・・・容赦ないですねぇ（汗）。

ネガティブなことが山のようにあった。ポジティブな面とネガティブな面があった。・・・間違いなくシェルバコワのショートプログラムは素晴らしかった。・・・ヘンドリックスのフリーもよかった。・・・ヘンドリックスの素晴らしい演技もポジティブだったことのリストに加えよう。

僕にとっては、それ以外は全てゴミだった。まずは採点だ。考案当初のコンセプトからここまで逸脱したこの採点システムはもはや機能していない。女子シングルでは完全に崩壊していた。勿論、選手のせいではない。選手達はこの方法で勝てると思ったら、試合に向けて然るべき戦略を取るだろう。

3位に入った選手はクワドが5本入ったフリーを滑った。プログラムの中で彼女がやっていたことはリンクの端から端までの助走とジャンプだけだった。彼女のスケーティングスキルは上達したとソーシャルに書き込む者がいるが、僕の意見では、そんなことを書くのはスケートの知識が全くない人間だけだ。僕はここ数日間、僕と一緒に試合の実況を務めた解説者（世界選手権の表彰台に選手を送った振付師）を始め、様々なコーチやスケート関係者と話したけれど、全員がトゥルソワのスケーティングの上達はゼロという意見で一致した。彼女のスケーティングスキルは以前と全く変わっていないし、むしろこの世界選手権では高難度ジャンプを実施するために更に乏しくなった。僕はショートトラック出身のスケーターだけれど、クロスオーバーで左右に滑走するだけならトゥルソワより上手い自信がある。

・・・フリープログラムでクワドを何本も跳ぶことはルールで許可されている。だから、5本でも7本でも好きなだけクワドを跳べばいい。そして彼女がもし7本のクワドを降りたなら、高い得点で報われるのは当然だ。しかし、実質、PCS6.5~7.00程度にしか値しないスケーターが全項目で8.5を獲得するのはあり得ない。

一応、「リザルトサイト」も貼っておきます。最近、日本のネット専門のニュースサイト、「THE DIGEST」や「THE ANSWER」では、マッシさんを「欧州名物解説者」として、彼の「ゆづ評」を紹介していますが、マッシさんの女子評も取り上げないとダメでしょう（笑）。そこをスルーしてロシア女子アゲアゲしてるのは、まったくもってフェアじゃないですよね。

トゥルソワについては、ある意味ネイサンと同じで、「ジャンプで生きていくしかない」ということなんですよね。きっと、プルさんも「キミのやりたいようにやれ！」という方針なんだと思います。もちろん、マッシさんも彼女を全否定しているわけじゃなくて、「高難度ジャンプを跳べば自動的にPCSも上がる」という謎システムは、男子のネイサン限定じゃなくて、女子もおかしいぞと。でも、ここまで激しく怒っているとは、正直ビックリでした。

さらに、今回のワールドが「プレ五輪として意味はあったか？」と、もう一人の出演者から訊かれると、マッシさんは、これまた手厳しい・・・。

全く意味はない。意味のない世界選手権で、開催しなくても良かったと僕は思う。まず、この大会に出場したロシア選手を五輪で見ることはないだろう。おそらくシェルバコワは出場出来るだろうがトゥクタミシェワは無理だろう。トゥルソワの状況もトゥクタミシェワに近い。おそらくロシアのライバル達にとっては重要な世界選手権だったかもしれない。自分達が何をすべきかが明確になっただろう。

しかし、客観的に見て「ロシアと勝負する」と言うことの出来る唯一の選手は紀平梨花だけだ。勿論、適切な準備と然るべきプロセスを積み重ねて五輪に挑まなければならない。紀平には最強のロシア選手に対抗出来る資質が全て揃っているが、ストックホルムで見た紀平ではダメだ。ショートプログラムにおける回転不足判定が議論を巻き起こしたが、確かに彼女のコンビネーションは客観的に見て回転不足だった。

そして（シェルバコワについて）プレロテが酷い、踏切がクリーンでないという批判があるが、この点については10時間の番組を組んで議論しなければならないところまで来てしまっている。何故なら、これはこのようなジャンプを跳ぶ選手の責任ではなく、このようなジャンプを長年何のペナルティも与えずに放置してきたISUの責任だからだ。

ロシアの女子で、北京五輪に間に合う「下の世代」はワリエワぐらいだと思いますが、そこまでジャンプが安定している印象が無いので、いきなり先輩たちをぶち抜くかどうかは未知数かなと。コストちゃんも3Aを完璧に戻せるかどうかはまったくもって不明。だとすると、やっぱりシェルが金メダル最有力だと思うんですが、いきなりルールが変わる可能性もありますからね・・・。来季、プレロテをめちゃくちゃ厳しく取るようになったり、女子フリーのクワドの本数を制限したり・・・。アメリカもそろそろ女子でメダルが欲しいと思っているはずなので、どうなることやら。

もう一つ。北京五輪実施の可能性についてもコメントしています。

10か月後だね。それまでに皆がワクチン接種を済ませる、というのが地球全体の政策だと僕は思う。選手達はワクチン接種が推奨される。選手と接する可能性のある関係者についても同じだ。時間はある。

その前に7月末から8月初めにかけて夏季オリンピックが開催されるから、重要なテストになるだろう。夏季五輪と冬季五輪の規模の差は３：１以上だから、東京五輪で何が起こるか見てみよう。僕は数週間前まで懐疑的だったけれど、来シーズンに向けてテストイベントの予定が規則的に組まれている。だから僕は北京五輪は開催されると思う。

東京オリンピックが、海外のお客さんを入れないことで決まりましたから、IOC（およびアメリカの放送局）としては、北京はガッツリとやりたいと思ってるはずなんですよ。北京に実際に海外の客を呼べるかどうかは不明ですが、コロナによる延期・中止とか、ボイコットとか、まぁ・・・無いでしょう。アメリカも人権問題でチャイナと本気で喧嘩するとも思えないので。

東京五輪で何が起こるのか・・・。日本のお客さんを50%入れて普通に開催すると思いますね。ただ、観測気球的にチラっと報じられた「日本の五輪代表選手へのワクチン優先接種」というのは、すでに反発が大きいですからね。ただでさえ、スケジュール面で遅れの出そうな高齢者の方たちの分を、五輪用に横流しして、さらに遅らせるんですか？そもそも、代表選手だけでなく、コーチや関係者含めて、選手村に入る全員が打つことになるはずで、足りるんですかねぇ。

では、また明日！

Jun

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