JGPラトビア(男子SP)感想

JGPラトビア(男子SP)感想

リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。最初の方はライストで見ていて、三浦君のみアーカイブでチェックしました。

モザリョフ。78.42で首位。ロシアの16歳。昨シーズンのJGPでは、チェコ大会で優勝、アルメニア大会で6位でファイナル進出を逃しましたが、やはり今大会でも実力者ぶりを証明していますね。先月の「テストスケート」では身体が重そうに見えたんですが、おじさんのヴォーカルがねっとりしてるだけで、動きのクオリティは高いです。

3Loバッチリ、(ToshIさんも喜びそうな?)イーグルからの3Aも完璧(GOE+2.40)。3Lz-3Tはセカンドがちょっと危なかったですが、しっかりこらえてURも無し。このレベルの選手が、いまのロシアの男子ジュニアにはゴチャっと固まっているだけに、驚異です。PCSは「35.37」が出ていますが、参考までに、これまでの2戦のSPでのPCSを見ると、鍵山君が「36.67」、駿君が「35.16」、ゴゴレフ君が「36.40」となっています。

サムソノフ。72.28の4位。エテリ組の秘蔵っ子。14歳でJGPデビュー戦です。女子の教え子にやらせているスケートを滑る男の子が、いよいよ満を持して登場です。まぁ、知ってはいたことですが、やっぱり、かなり小柄ですね。

冒頭の3Aはステップアウト。タケノコ3Loは美しく成功。3Lz-3Tは、ルッツで大きく軸が傾いて、それを立て直せず、セカンドトウでお手つきからの転倒でした。いやぁ、もったいなかったですね。しかし、ジュニア男子ではほとんど見られない、ステップでのレベル4を含めて、さすがによく鍛えられています。

最近、女子の教え子のプログラムにおける「マイム」は控えめな印象ですが、このプロは、かつてのメドちゃんのようなマイムが満載で、マイムが3度のメシよりもスキな「オールドエテリファン」(そんなのいるの?)は、悶絶したんじゃないでしょうか?ミスがありながら、PCSは「35.64」が出ています。

ジョセフ君。74.09の3位。クリケットに移籍して2シーズン目。18歳になりました。振付はジェフです。

3AはSO。たっぷりイーグルが入って、スケートもよく伸びますね。3Loは成功。3Lz-3Tは、ルッツにタケノコがつきましたが、キレイに決まりました。ステップから曲調が激しくなって、最後、フッと息をついていましたが、よく頑張りましたね。ブライアンも元気そうです。

三浦君。59.94の11位。スコアと順位はともかく、まずは映像を見てくださいよ。シャープな身のこなしで、冒頭の3Aを難なく成功(GOE+2.06)。3Loもキレイに決めました。身体能力の高さを感じます。

しかし、ここから苦労が多かったです。足換えキャメルスピンがレベル2。フライングシットスピンもレベル2。ステップはよく頑張りましたが、3F-3T予定のコンボをフリップで転倒してコンボ抜け。これは、イタタタです。最後のコンビネーションスピンが、途中でつまづいてノーカン。うーん、スピンだけで6~7点は減点ですか。それでも、PCS「33.26」はもらえてる方ではないかと。

まだフリーがありますし、ジャンプの調子は良さそうですから、4Tを降りて、順位を上げていきましょう!スピンは練習さえすれば上手くなるはずなので、落ち込んでる場合じゃないですよ。

実況スレで話題になっていた、ジュベールのRise。バンクーバー五輪直後の2010年トリノのワールドですね。

いまの感覚で見ると、若干つなぎが薄くて、やっぱり一昔前のスケートという感じはしますが、4Tと3Aの質は高いし、25歳でこれだけスピードとエネルギーを爆発させるような演技をできるのは、歴史に名を残した一流の証ですね。記憶に残るスケートって、こういうものを言うのだと思います。

この頃はジャンプの評価が不当に低くて、その揺り戻しが、ソチ五輪のシーズンに向けて進行するわけです。しかし、この時に会場で大歓声を上げていたファンは、はたして今フィギュアスケートを見ているのだろうか?ちょっと気になりますね。

さて、ToshIさんの「マスカレイド・展」のニコ生も気になりますが、先にJGPのフリーのレビューを優先させる予定です。羽生君の最新情報の解禁がいつになるかによって、ニコ生の方はオータム後になるかもしれませんが、まぁ、そこはお許しいただければと思います。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ととちゃん より:

    モザリョフはノーミスですか。きっちりまとめた印象です。でも、サムソノフくんの方がPCSはやや高いんですね。後半に向けて盛り上がる曲調がいいですね。
    なぜか、私のスマホからはジョセフくんの動画が見られないのですが、久しぶりのブライアンの姿を見て 来週のオータムに思いを馳せました。

    そして、佳生くん。最初にプロトコルを見たときは、何が起こったのかとびっくりしました。去年のオータムでの羽生選手のスピンも
    よぎり、実際に動画を見ると、これは仕方がないな、と。スピン、苦手なんでしょうか。
    冒頭からスピードのある展開だったので、スピンでも魅せてくれるように頑張って欲しいです。でもまだ、14才ですからこれからですよね。佐藤コーチがついているので、基礎は身につけられると期待しています。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      モザリョフは、本来なら昨シーズンの段階でファイナルに残っていてもおかしくない実力者なので、やっぱりまとめてくるなぁと。

      三浦君のSP、「この曲、かっこいいじゃん!」とビックリしました。エテリ組のワンパターンな「詰め詰めプロ」だと(たとえ曲だけRiseを使ったとしても)きっとこういう爽快感は味わえないはずです。

      ただ、ジュベールの方のRiseを見ると、あのジャンプの達人のジュベさんであっても、しっかりスピンもこなしているので、三浦君もっと練習しなきゃ!という一言に尽きますね。

  2. Fakefur より:

    今時のジュニアはみんな、満遍なく技術を持ち、そつなくプログラムをこなすので、荒削りで、若さ溢れる佳生くんのGPデビューは非常に新鮮でした。

    冒頭のジャンプ二本が目が覚めるほど鮮やかでした。インタビューでスピンが苦手言っていましたが、最後にコンビのノーカンは残念でしたが、技術に凹凸があるのは、ジュニアらしいというか、大いに伸び代を感じました。

    FSは無欲で、伸び伸び滑って欲しいです。跳べ、佳生君!

    • Jun より:

      Fakefurさま

      三浦君を見ていると、「バットに当たれば場外ホームラン!でも、三振も多い」という「野性味」というか「潔さ」を感じます。

      ただ、野球だとチームメイトがカバーしてくれるからそういう一発屋バッターでも生きる道があるんですが、フィギュアは自分だけの戦いで、しかも採点競技ですから、「スピンできない」じゃ済まないのがツライ所です。でも、伸びしろいっぱいですから、成長を見守りたいですね。

      • Fakefur より:

        紹介してくださったジュベさんのRiseを見て、たった10年前なのに、荒々しさが懐かしくなりました。あの頃はプルさんジュベさんはじめ長身骨太なスケーターが重量級のジャンプ(つなぎは薄いが)を、半ば力任せに飛んで、ガンガン着氷していましたね。前半にジャンプが集中する分、後半のステップやスピンで見どころや遊びゴコロが多かった気がします。

        スケートスタイルでいえば、前時代に近いボロノフ兄さん、ロシアテストスケートをご覧になりましたか?相変わらず助走はたっぷりですが、ジャンプは絶好調でした。エテリのチートジャンプが跋扈しているので、彼のような大きくて正しいジャンプは見ていてスッキリしました。

        • Jun より:

          Fakefurさま

          やっと、ジュベさんのRiseに触れていただける方が、現れてくれましたか!ありがとうございます!

          4回転を成功させてその喜びを演技中でも爆発させている所が最高だし、コーチ陣もはしゃぎすぎ(笑)で、いい時代だったんだなぁ・・・と思います。

          たしかに、その古き良きスケートを体現しているのはヴォロノフさんだけと言っていいですよね。テストスケートはまだまともに見れていないですが、ヴォロさんだけでもチェックしておきたいと思います。

          • Fakefur より:

            バンクーバーの頃はライトなファンだったので、こういう過去映像を紹介していただけると、羽生さん世代のスケーターがどういう演技を見て育ったかがわかって面白いです。
            今は高難度のジャンプ構成に集中しないと勝てないので、オラオラと観客を煽る余裕のある選手は何人いるでしょうか。白人の屈強マッチョが勝てないと、西ヨーロッパの普通のファンは集まらないでしょうね。ジュベさん、ランビさん、トマシュと往年の名選手は、キスクラで現役選手と並んでもオーラがありますね。

          • Jun より:

            Fakefurさま

            しかし、歴史をいま振り返ると興味深いですよね。バンクーバー五輪の頃の男子の状況を調べたくなっている自分がいます。

            男子は、クワドの無いライサチェクを(アメリカが)勝たせたわけですけど、金メダリストになってもまったく人気が出ないまま、いつの間にか消えてしまいました。

            正しい技術があって、人間の限界に挑戦しようとした真のアスリートこそが後世にも語り継がれるわけで、ISUはまた同じ過ちを繰り返そうとしているのか?と、学習能力のない連中だなとウンザリします。

            しかし、羽生さんは、その壁を己の力で叩き壊そうとしている。真のアスリートでありファイターでもあったプルさんが、何か発言してくれるんじゃないか?と密かに期待しています。

  3. sennin より:

    三浦くんの「Rise」音楽が気に入ってしまい何回も観ました。Junさんこの振り付けルカ・ラノッテなんですよね。どのようなツテでお願いしたのか興味ありますね。なかなか難しいプログラムをリズムに乗りながら滑っていたと思います。彼はスケーティングの基礎がしっかりしていてジャンプも綺麗で豪快です。ただ、スピンが苦手なんでしょうね?いつもレベル2くらいなのでこれからの課題ですね?中1から4回転やってたのでジャンプが面白いのでしょう。最後のノーカンスピンはジャンプの失敗で間に合わなかったかんじでしたね。この曲は打楽器が主で面白い音やリズム音が聴こえて来るんですけど、結弦くんが滑ったら副旋律の音をとったりして凄い仕上がりになるんだろうなあと妄想しておりました(笑)。

    モザリョフのイーグルからの3Aは見事でした。ジョセフくんもジェフの振り付け素晴らしかったです。サマソノフくんはエテリ組の男子版そのもですね?仰るように顔芸が参りました!女子のフリー終わりましたけどとにかく吹雪の音が彼は好きですねえ〜。でもやはりフリーレッグも美しくスケート技術はピカイチです。

    今日ヒョッコリ駿くんが4ルッツ降りてる動画観ました。Junさんご存知ですか?男性が二人いて一人は日下先生発狂(笑)、八木沼さんの声が聞こえましたがTVだったのか?スケーターは駿くん一人でした。

    • Jun より:

      senninさま

      羽生さんがRiseを滑ったら・・・実は、ジュベールの映像を見ていて、ふと私も頭をよぎりました。でも、あのLet’s Go Crazyを完璧に演じた人だから、ノリノリで余裕じゃないですか?なんだか、もし今季Otonalを持ち越しするなら、レックレ復活の方がいいんだけど!と、勝手に脳内リクエストしている自分がいます。

      日下先生のリアクションは去年からすでに面白かったですが、先日のJGPアメリカ大会でもテッドにツッコまれてるし、今回のFSTVでも期待を裏切らないですね!駿君の4回転は高さも幅もあって、回転も速い。ホンマモンの4回転ですよ。「跳んだ!跳んだ!」ってフィーバーしてSNSにアップしている海外の質の低いのを見ると、一緒にすんなって感じですね。

  4. sennin より:

    連投すみません。
    もう一件です。私が知らなかっただけかもですけど、結弦くんのパリ散はゲイリー・ムーアだと思っていたんですが、前半がゲイリーで後半がジェフ・ヒーリーという方の音楽を使用しているというフアンの方のブログを読みました。2014年の記事なんですけど。振り付けのジェフに聞けばわかることではありますが、チョットビックリでした。真相の程はどうなんでしょうか?そして、ゲイリーは2008年の2月7日に亡くなったそうで、ソチオリンピックの団体戦の現地時間が2月7日だったとの事です。その日に羽生結弦は素晴らしいパリの散歩道を披露したという事になります。 どこの世界もフアン心理には叶いませんね

    • Jun より:

      senninさま

      いちおう私もメタル歴約30年なので、ゲイリー・ムーアのことはよく知っています。若い頃はゴリゴリに弾きまくるギタリストだったんですが、その後ブルーズ親父路線に転向しました。Parisienne Walkwaysはブルーズソングなんですけど、ゴリゴリ時代の名曲も多く、とても多才な人です。

      羽生君の「パリの散歩道」が、Parisienne Walkwaysだけではなく、後半部分がジェフ・ヒーリー・バンドの曲というのは、いとうやまねさんのプログラム解説で詳しく書かれています。以前、livedoorブログ時代にいとうやまねさんの解説を集中的に紹介したことがあるので、ウチのブログの古い読者さんはご存知だと思います。