「フィギュアスケート・マガジン 2019-2020 Vol.1 オータムクラシック特集号」(1)

「フィギュアスケート・マガジン 2019-2020 Vol.1 オータムクラシック特集号」(1)

2019年9月28日発売。「1,194円」+税。

まず、最初に読み始めたのが、リニューアルされた「記者座談会」です。朝日新聞の後藤さんから、スポニチカメラマンの小海途神にバトンが渡され、カメラマンの視点が加わったことで斬新な仕上がりになっていると感じました。その象徴的な部分が、SP・フリーともに持ち越しになったことについての見解ですよね。

カメラマンとしての見方になりますが、「難しくなった」と感じました。シーズンの仕事をイメージした時に、これまである程度撮ってきたものに、新しいものをプラスさせることが難しくなるかなと。昨シーズン、いろんな角度から撮ってきた写真がある中で、既視感のある写真にならないようにしないといけない。カメラマンにとっては、今シーズンは難しい戦いになると思いました。

持ち越しプロとはいえ衣装は変わったわけですけど、振り付けの大枠やジャンプ構成もそこまで大幅に変わるわけじゃないですからね。また、新しい衣装についてのカメラマン的意見もとても興味深く読みました。ツカミから「グイグイ読ませる内容」になっているなと。

もうひとつ、今回の座談会で「羽生結弦の発言の意味」というものが、かなり深く掘り下げられていましたよね。特に、報知の高木記者と他メディアの「新米記者」とのやり取りが印象的でした。

高木:今回、記者の中に初めて羽生選手を取材した人がいたんですよ。その記者から「高木さんはもう何年も羽生選手を取材しているから、彼がどういう質問に対してどう答えるか、全部想像できるんじゃないですか」と言われたんですが、それに対して「羽生選手は常に私たちの想像を超えてくる。あらかじめ想像しても意味はない」と答えたんです。実際、取材が終わってから、その記者がこう言っていたんですよ。「高木さんが言っていた通りでした。私の想像をはるかに超えていた」と。

吉田:いつも自分のキャンバスを真っ白にして、固定観念を持たずに取材しないといけませんよね。そして、彼の言葉を変に細工すると、かえって面白くなくなる。

高木:まさに、そこが羽生結弦取材の面白さですよ。今回も、まさか5回転の話が出てくるとは思わなかったし(笑)。

捏造・加工するあのメディアとかあのライターとか、わかってんのか?だからおまえらの仕事はダメなんだよ!という、冷ややかな批判が込められているような気がしてなりません。長年、現場で羽生さんの生の声を真摯に伝えてきた彼らの主張ですね。

報知の高木記者が昨年のロステレを回想する特別寄稿「あの日、モスクワで。」も素晴らしい出来でした。断片的に知っていた内容ではあったんですけど、特に、最後の段落は迫真の記述です。これはぜひお読みいただきたいなと思います。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. みつばち より:

    こんにちは 更新ありがとうございます。

    リンクサイドがいろいろと騒がしく、いろんな方が情報をあげてくださるのですが、特に驚くようなことはなく、「あ、やはりそうなのか」

    「全員が素晴らしい演技をしてその中で勝ちたい」
    こういうことですね。
    マガジンと通信の執筆者はそのことよくご存じだわ。

    ジャッジも権力者も出版社も民意を無視してはいけません・・・というかそういう時代ですね。
    プレロテも目視できないようなただのおばちゃんにも理解できるように見せてくださる方もいて、これはほんと恐ろしいです。エゴサなんかしなくても目に入るんだろうと思います。

    • Jun より:

      みつばちさま

      ISUが、プレロテだろうがグリ降りだろうが、助走たっぷりだろうが、「見た目成功なら認定してGOEをつけますよ!」という方針なので、羽生さんもその修羅の世界で戦ってやると、ある意味で割り切ったシーズンになるんだと思います。

      男子はそれにより「羽生だけに勝たせない」という意向が具現化されたわけですあ、女子はどうするんでしょうね?ますますロシア有利になりませんか?と。女子については、北米ジャッジのロシア選手(および日本選手)への嫌がらせがどんな感じで現れてくるのか、注視したいと思っています。

  2. ととちゃん より:

    マガジンのレビュー、ありがとうございます!junさんの読む順番が自分と同じだったので、勝手に嬉しくなりました。更に、印象に残った箇所も一緒でした。
    小海途氏の視点はとても興味深く、スケカナを終えた時に「難しさ」をどう克服したのか、また聞いて見たい気がします。
    記者諸氏は、羽生選手の言葉を「ねじ曲げ」てはいけないことを ちゃんと分かっていますよね。こういうメディア関係者ばかりだったらいいのですが。

    高木さんのロステレ回想は本当に良かったですね。見開きページのスコアを改めて見て、
    グッと胸に迫るものがありました。

    フィギュア界、騒がしいですが、良い方向に向かうように願っています。なんだかとても疲れてしまって、クリーンな選手がクリーンな演技をして結果を取っていく様を早く見たいです。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      試合のレポートは、「完全収録」と重複する部分もあるので後回しにして、ココ最近はやはり座談会から読むようになっていますね。

      フィギュア界の「騒がしさ」については、彼が、男子シングルから尻尾を巻いて逃げてくれてせいせいしましたよ。鍵山君と駿君があれだけ結果を出していることが少なからず「転向」の理由ではないかと。いくらPCSでお膳立てしてもらっても、TESの暴力でボコボコにされるのが目に見えてますからね。

      一方で、本職のアイスダンスカップルにも、北京なんて行かせねーぞ!と、発奮してもらいたいですね。

  3. sennin より:

    マガジンはAmazonで購入してて今は田舎にいて不在なので友人宅に届けてもらってます。それで見れないので地元のTSUTAYA書店にはTULLY’Sがはいっていてお茶しながらTSUTAYAの雑誌を読んでいいので、昨日は大分読ませて頂きました。
    あの座談会、小海途カメラマン目線が入ってとてもいい内容でした。今までで一番よかったかも知れません。高木さんたちも結弦くんのこと凄く詳しくて驚きました。
    毛受カメラマンの記事がこれまた良かった。ハエのような虫をもっている写真が1ページですよ。虫好きの結弦くんらしいショットですよね?私なら割り箸でつまみます(笑)上手に持っているから虫好き少年だったことがわかりますね?やっぱりカメラマンの視点てスゴいなあと感服です。これだから田中さんや能登さんの講座についつい行ってしまうのです。
    売れる写真=ファンが喜びそうな写真を撮りたいと以前田中さんは話していました。
    まだオータムです。スケカナではどんな写真と記事がこれからも披露してくれるのか?楽しみでなりません。
    山口さんと、高木さんのモスクワの記事は自宅でゆっくり読みたいと思っています。

    雑誌で盛り上がっているなか今週はイタリア戦が目前ですね。

    • Jun より:

      senninさま

      虫の写真は、けっこういろんな所で話題ですね。それとともに、改めてカメラマンの皆さんのご苦労が分かりました。分かってはいたことですが、練習時であっても、羽生さんに対しては一瞬たりとも気を抜かずにレンズを向けているようです。これぞプロの仕事ですよ。

      今シーズンの羽生さんは、例年に比べて仕上がりが速いので、スケカナでいきなりやってくれそうな期待感があります。ただ、まだまだシーズン前半ですから、あまり無理しないでもらいたいですね。