「Quadruple Axel 2020 シーズンクライマックス」(3)

「Quadruple Axel 2020 シーズンクライマックス」(3)

また、Quadrupleに戻って、佐藤駿君のインタです。まず、羽生さんについて語ってくれた部分をご紹介しましょう。

――ファイナルには、羽生結弦選手が一緒に出場していましたが、何かアドバイスをもらいましたか?

試合が終わってから、「4回転は後半で跳べるような練習をしたほうがいいよ」とか、「フリップも、ルッツの感覚でやれば絶対いけるよ」という感じで言われました。

――全日本選手権のフリーの練習でも羽生選手と一緒でした。何か学んだことはありますか?

最終グループで一緒に滑って、練習からすごく勉強になって、あらためてすごいなと思いました。学ぶべきところがたくさんあって、たとえば4回転トウループは、加点のつくようなとてもきれいなジャンプでした。自分は、まだそこの域には達していないので、そんなジャンプを跳べるように頑張りたいです。それから、スケーティングがとくに勉強になりました。ひとつひとつの滑りがきれいで、大きくて、自分もそれを真似できるような選手になりたいと思いました。

実を言うと、4Fについて、駿君は、「練習はやっていません。いまやると、3回転がおかしくなってしまうので」と答えています。この部分を読んで、「なるほど!」とニヤリとしてしまいました。尊敬する羽生さんに4Fのアドバイスをもらってはいるけれども、それをただ取り入れるわけじゃない。いまの自分にはまだ早いと判断して、「4Tと4Lzの確率を上げて、来季は4Sを入れるようにしたい」と語っています。いずれ日本男子を背負って立つ逸材ですから、しっかり自分の頭で考えて、優先順位をつけてトレーニングしている。頼もしいです。

もうひとつ注目すべきは、羽生さんのスケーティングを見ている点です。「自分もそれを真似できるような選手になりたい」とむしろこちらを「真似」という言葉を使って、学ぼうとしている。ジャンプはある程度手応えを感じているからこそ、自分の足りないものはスケーティングと位置づけているのでしょう。スケーティングは、やっぱり海外の専門家のアドバイスを受けるべきだと思うのですが、いまはこんな状況なので、なかなかそれが叶うのは先の話になりそうですが。

また、日下匡力コーチが語る駿君の資質、特にジャンプ練習の具体的な取り組みの部分もたいへん興味深かったです。

――ジャンプを高確率で成功させる要因は?

彼の特性だと思うんですけど、集中力ですね。「絶対に跳ぶ」というときは、絶対に跳ぶ。そして、無駄な回数をやらないというのが、成功率につながっているんだと思います。

――佐藤選手の試合の持っていき方で、何か感じることは?

先ほどもお話しましたが、無駄な回数を跳ばないんですよね。なので、変な失敗の仕方をしないので、ケガにつながらないというところは大きいですね。やっぱり、試合が近づいてくると練習量も増えてきますし、そこで「ダメだ」と思うと、もっとやりたくなるじゃないですか。そこのコントロールの仕方がうまいと思います。練習の仕方として、試合に持っていく流れは上手です。

――ケガ対策は、どのようにされているのですか?

練習前後のウォーミングアップとクールダウン、それから跳ぶ回数が多くならないように、あえて話をする時間をつくったりして回数を制限しています。やはり4回転は、ものすごく負担になると思うので。

――集中力は、もともと備わっていたのですか。それとも、徐々に育っていったのでしょうか?

今シーズン、(JGP)アメリカ大会に行ったときに、ほかの選手の練習の仕方を見て、ものすごく学びましたね。ファイナルの練習でも、羽生選手が無駄なパンクをせずに、締める回数、降りる回数をものすごく詰めているのを見て、学んだこともあって。4回転の確率は、試合に行くたびにどんどん上がっていきましたが、試合のときの練習も、回数はほとんど跳んでいません。集中力です。

日下コーチご自身は、現役時代は3Aの練習まではしたけど、降りたことはないとおっしゃっていました。だから、駿君とは、「ひたすら動画を見て、本人と話をして、こうじゃない、ああじゃないと、お互いの意見を取り込んでいる」そうです。

「ケガをしてしまったら何にもならない」ということを、コーチも選手も実によく理解していて、日頃の練習でも本数を制限して、集中して跳ぶ。フィギュアスケーターにとって足は消耗品ですから、「身体を壊すような長時間の猛練習では勝てない」という考え方が、国内でも浸透することを願いたいですね。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ととちゃん より:

    記事の紹介、ありがとうございます!

    駿くんが羽生選手から学ぼうとする姿勢を知るたび、微笑ましくなります。自分に合わせて咀嚼しているのが素晴らしいですね。
    また、日下コーチが、怪我をしないという大事なところを押さえつつ、駿くんと一緒になってジャンプを研究している様子に 安心感を覚えます。2人はきっと相性がいいんでしょうね。
    勝手にクリケットに行けば?などと言っていましたが、こんなに一生懸命に寄り添ってくれるコーチと、このまま一緒に戦っていくのが一番ですね。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      おっしゃる通り。クリケット行け!と言いたくなりますが、コロナもいつ収束するか分からないですし、日本でトレーニングを積むことは、現段階では、彼にとって良かったなと思います。

      このインタは世界ジュニア前のものですが、世界ジュニアでの悔しさを教訓として、さらに進化してくれることでしょう。