JGPリトアニア(女子フリー)感想

JGPリトアニア(女子フリー)感想

リザルト関係は「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。まずは、横井さんから。序盤から中盤にかけて、3Aを除けば、よく頑張っていたと思います。問題は最後の3つのエレメンツなんですが、シングルに抜けたループは、映像で見ている限り、ちょっとフェンスに近かったことが原因かな?という気がしました。その後のフリップのパンクと、最後のスピンで足が持ち上がらなかったのは、スタミナ切れでしょうか。総合得点は126.98で14位。

でも今回、急遽出場が決まって、しかもバルト三国まで派遣されるわけです。単に遊びにいくだけでも大変なのに、13歳の女の子に代打出場でこんな遠くまで行かせるのは酷だったのでは?と。きっと日本のスケ連は、ロシア方式を模倣しているのでしょうが、選手層・実力、そして物理的な距離が、ロシアとはあまりに違いすぎます。より多くの選手にJGP出場の門戸を開くという方針は一見すると立派ですが、せっかくの才能を発揮できなかったら意味ないよ!と言いたいです。

ショート6位で最終グループに残った岩野さん。冒頭の3Lzは軸がかなり傾いてしまって、激しく転倒したように見えました。大丈夫だったでしょうか。ただ、続く3連コンボはキレイに決まって、スピン・ステップともに質が高くて、いわゆる「ジュニアっぽさ」を感じさせない、成熟した演技です。

2A+3TのセカンドのURは、従来の感覚で見るとちょっと厳しい感じはあって、でも、それが今シーズンの採点基準ということなのでしょう。そして、二本目の3Lzは、一本目ほどではないにしろやはり軸が明らかに傾いてのDG。他のジャンプではこんな傾き方はしていないので、早急に改善してもらいたいですね。2本のルッツの所でゴッソリと減点されているので、最後のスピンが美しかっただけに、本当にもったいないです。本人はもっとスコアが出ないと思っていたようで、キスクラでは驚いていましたね。153.94で総合5位。

岩野さんは、現時点で、第6戦スロベニア大会にアサインされていますが、第1戦のスロバキア大会で、5位の川畑和愛さんが173.84、6位の横井ゆは菜さんが173.15だったことを考えると、エントリー変更はあるかもしれません。

見事に総合順位を2位に上げてきた、韓国のキム・イェリム。現在15歳で、JGPは3シーズン目。シニアに上がっていてもおかしくない実力者なので、まだジュニアで頑張るんだ?と少々意外でした。今季シニアに上がったイム・ウンスも細いですけど、この子も細いですね・・・。日本の選手だったら関係者が叩かれるんじゃないか?ってぐらい細いです。

「タイスの瞑想曲」は、最近では三原舞依ちゃんやミーシャでお馴染みですね。162cmと長身ですが、ジャンプに高さがあるだけでなく、回転も速くて、そりゃタケノコを難なくつけられるわけです。スケーティングに伸びを感じない部分もあるので、長身を生かしきれていないようにも見えるんですが、ジャンプをこれだけ完璧に決めれば、スコアは出ますよね。このような安定感は、ジュニアで粘り強く頑張ったからこそ出てくるのでしょう。191.89の2位。立派です!

さて、シニツィナです。やたら賑やかだったSPとはうってかわっての物静かな入り。しかし、ステップに入ると、イェリムと比べて、「なるほどねぇ・・・」とつなぎの面白さとスケーティングの軌道の複雑さに目を奪われました。3Lz+3Loで転倒があって、もしここがクリーンに入っていて、時間超過の減点も無ければ、おそらく2位を堅持できていたと思います。

ただ、ミスがあっても、その後のエレメンツで崩れない所が素晴らしい。単純に物理的な練習量だけでなく、ミスが起きた時のメンタル面のキープの仕方など、そのような部分もコーチから指導されているのかもしれません。

187.91というスコアは決して悪くないですが、順位が3番なので、ロシアの熾烈な状況を考えると、2戦目をもらえるかどうか・・・。SP・フリーともにジャンプで一つずつミスがあったので、ぜひもう一試合見たいなと思っています。

SPとフリーの両方を見て、エテリコーチが何を意図しているのかよく分かりました。「ジャンプだけを見なさい!」というコンセプトを、選曲と衣装の両面から、意図的に作り上げているように感じます。もちろん、スケーティングスピードもシニツィナとは段違いですし、スピンも上手い。でも、実際、高難度ジャンプを決めさえすればスコアはこのように出るので、コーチ・振付師ともに完全に開き直っている感があります。

昨シーズンの男子で言うと、ネイサンに対しても「ツナギのような衣装を着て、BGMに合わせてただクワドを跳んでいるだけ」との批判がありましたが、それでもベンジャミン・クレメンティンの曲を選んだシェイのセンスはさすがだなと思っていました。ところが、トゥルソワの場合、曲がまずつまらないし、今季のフリーもしゃがんだ状態でのスタートだったり、ある意味で徹底していると思いますね。

以前も書きましたが、「北京五輪の前に体型変化が来て、ジャンプが跳べなくなったらどうするの?」と誰もが心配しているはず。普通の感覚なら、コーチはそこを見越して、選手には様々なスタイルの選曲や振付にトライさせて、表現力を磨くわけです。でも、エテリコーチの頭の中には選手の将来を考えるという発想はまったくなくて、いま持っている武器でいかにスコアを稼ぐかということに集中している(させている)ように見えます。

実を言うと、すでに日本でも、3Aを中学に上がる前の女子選手にやらせている現状を見ると、こういう考え方は実践されているのかもしれません。それが良いか悪いかという議論に、私自身はまったく興味はないですが、少なくともジャンプだけを跳んでいる(跳ばされている)スケーターに魅力は感じませんね。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ととちゃん より:

    動画アップ、ありがとうございます!
    今日は全て視聴出来ました。

    きな結ちゃん、表情も演技も まだ幼いですね。今回の経験が プラスになればいいのですが。

    今日の動画で1番好きな演技は桃亜ちゃんです。膝が柔らかいのでしょうか、とても女性らしい雰囲気を感じられました。ジャンプに
    矯正が必要なようですが、時間をかけて直して、全日本Jで完成形を見せて欲しいです。

    シニツィナとトゥルソワだと、前者に面白みを感じました。これでも第2戦が確約されないロシアJは、本当に高レベルですね。
    トゥルソワの衣装…いずれ慣れるのでしょうが、現時点ではちょっと受け付けません。
    例え冒頭ジャンプが決まっても、あまり面白くないな、という印象でした。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      きな結ちゃんは、急遽の代打出場で気の毒でしたが、JGPで戦うには、もうちょっとレベルアップが必要なのかなという気はします。でも、まだ若いのでこれからどんどん成長できることでしょう。

      岩野さんは、ジャンプの安定感が課題ですよね。新ルールで減点の幅も大きくなったので、ここへの対策が急務だと思います。

      トゥルソワについては、エテリが「私がクワドを無理にやらせているわけじゃない」なんて言ってますが、なにを今さら本人に責任転嫁しているのか・・・。あの選曲・プログラムと衣装から、ジャンプを抜いたら何が残るの?ってぐらい、無機質じゃないですか。

      もし彼女がジャンプを跳べなくなったら、そこで用済みなんでしょ?と思いつつ、まぁ、でもトゥルソワ本人もそれを分かった上で、いまのスタイルで突っ走るしかないと腹をくくっているように見えます。

  2. sennin より:

    junさんすみません、夕べのフィギュアスケートTVの映像で一気に結弦君に気持ちが行っちゃってます!
    申し訳ない…。
    さてさて本題、トゥルソワちゃんの衣装はまあ論外ですね!4回転のためなのかな?と感じます。ジャンプは2016年のネイサンを思い出しました。端から端まで滑っていってはジャンプをしているだけに見えます。でもこの子ホントにジャンプ好きなんですね?ニコニコしてますね。終了したあとハアハアして倒れないかと心配しました。本当に選手の将来のことは考えてないのか?今、勝てればいいのかな?
    先日ツルスカヤのインタの記事読みましたが胸が痛かった。
    動画ではそのあと韓国の選手が映ってそれみただけでこれがフィギュアスケートだわと心が安らぎました。
    横井さん頑張りましたね!私はお姉ちゃんのスケートより好きかな?お疲れさまって言いたい。
    岩野さんはジャンプの強化ですかね。

    • Jun より:

      senninさま

      フィギュアスケートTVは私も見ました。「Origin」をかなりしっかりやってくれてましたね。ただ、あの放送回のもうひとりの主役は鍵山君という印象でした。ゴゴレフ君が出場するJGPカナダで台乗りできたら大変なことです。

      トゥルソワについての「懸念」は私も同感です。そして、エテリのチームを抜けた選手のプログラムが徐々に判明してきて、プログラムのクオリティがはっきり良くなっているのがなんとも・・・。ザギちゃんのオペラ座とか、「なに、あのブツ切れフィナーレは?」とビックリでした。これについては、明日の記事でやりたいと思います。