昨日の記事では、トゥルソワはフリーのみのご紹介だったので、今日はSPの方も。こっちが「キル・ビル」で、昨日のフリーは「フィフス・エレメント」ですから、ロック調の迫力のある映画音楽をチョイスして、「ジャンプを見てくれ!」って感じのメッセージが伝わってきます。去年の子どもっぽいSPよりは、彼女の技術に釣り合っているなと。
セカンドループはちょっと軸が傾いていますが、相変わらず上手いです。ただ・・・、この「キル・ビル」は、同じフレーズがループされる若干単調な曲でもあるので、ジャンプの成否により注目が集まってしまうような気がします。ただ、この曲がフリーだと多少ダレるはずなので、SPに選択したのは正解だと思います。
初めて見る選手です。アリョーナ・カニシェワ。2005年6月15日生まれの13歳。コーチは、以前ソツコワを指導していた、スヴェトラーナ・パノワ(Svetlana Panova)。つまり、エテリのチームの生徒ではありません。今年3月にロシアのノービス選手権で、ノービスAに相当するカテゴリーで優勝。今季ジュニア1年目です。
上のテストスケートの映像は、観客のお姉さんの頭でかなり隠れていますが、見える限りでの印象は、指先まで柔らかな所作と、上半身の姿勢も美しいですね。ジャンプもそつなくこなしています。スピードは若干足りない気もしますが、全体としては品のある動きで、個人的に嫌いではありません。それにしても、この子に限ったことではないですが、とても13歳の演技には見えないですね。
こちらは、前述のノービス選手権の動画です。上がSPで、下がフリー。つまり、12歳の時の演技ということになります。どちらかというと、トゥルソワよりもコストルナヤに近い系統ですが、この子の方が荒々しさがありますね。テストスケートの演技と比べてもけっこう激しいので、丁寧さ・洗練度を上げる努力をしているのかもしれません。
この年齢ですが、SPは当たり前のように後半にジャンプ固め打ち。ジャンプは一本転倒がありましたけど、2Aのタケノコ(両手タノ)は相当難しいはずですが(シニアの選手でも2Aは片手上げのタノがほとんど)、ラストにビシっと決めています。冒頭のスピンも荒削りながら、なかなか迫力がありますね。
そしてフリーも、大人びていて、つなぎも濃いし、恐るべき完成度。仮定の話ですが、この内容の演技を、もし彼女が先日のアジアンオープンで披露していたら、シニアでもぶっちぎりで優勝しそうな、クオリティの高さです。これは認めないわけにはいかないですね。
ちなみに、JGPは第3戦「リトアニア大会」(9/5-9/8)にアサインされています。ロシアからは彼女とトゥルソワが出場。日本からは、荒木菜那ちゃんと岩野桃亜ちゃん。いやぁ、たいへんな強敵が相手ですが、頑張ってほしいです。
一日遅れでコストルナヤのSPの方も上がってきました。曲はMax RichterのDeparture(Lullaby)です。
いかにもエテリ組の選手が滑りそうな「定番の暗い曲」ですが、フリーのロミジュリに比べると、圧倒的に滑り込んでいますね。新しい動きも随所にありつつ、昨シーズンのSP「アディオス・ノニーノ」(3F+3T 3Lz 2A)と比べると、ジャンプの順番をいじっています。
まず、2Aから入って、単発のトリプル、最後にトリプルのコンビネーションという並びのようです。単発とコンボ、どっちがフリップでどっちがルッツかはこの映像からは分かりません。もしかすると試合でまた変更があるかもしれませんが。
JGPは第2戦「オーストリア大会」(8/29-9/1)に出場予定。編曲が各方面で散々な評判のロミジュリも、しっかり仕上げてかっこよくなっていることを期待しています。
では、また明日!
Jun
コメント
更新ありがとうございます。
若い人の演技、気持ちいいですね。体格の変化やモチベーションでこれから変わっていく選手もいるでしょう。
いい環境にいるのだから頑張ってほしいです。
甲子園に出場した選手は99パーセントが野球以外の職に就くけれど、甲子園にかけた時間はその人だけの永遠のものです・・・他の競技もそうですよね。
特にフィギュアスケートは現役でいる時間が短い競技です。まさに時分の花。
おばさん的感想ですいません。きっと保護者もいま、この時にかけているんだろうな。
みつばちさま
ロシアのジュニア選手の演技は、すでに昨シーズンの時点でシニアの選手を上回る部分がかなりありました。そして、今季ジュニアに上がったカニシェワは、ノービスの時点ですでに高度なスケートを披露していたことも分かりました。
ロシアの女子は、子どもの頃から、シニアトップレベルのスケート、つまり、「こういうスケートをすると勝ちやすい」という部分を吸収し、それを忠実に実践しています。将棋で言うと、藤井聡太七段が「最新の『勝ちやすい』流行型を指し、研究の際には積極的にコンピュータソフトを活用する」部分がかぶりますね。
このスポーツの競技生活は短いので、日本の指導者もよく考えてほしいと思います。
今日はカニシェワにびっくりしました!
テストスケートは、ちょっと分かりにくかったのですが、(あと、個人的にあまり盛り上がらない曲だなと思いました 汗) ノービスの演技、素晴らしいですね。
衣装がまたいいです。 12歳であっても、世界観を伝える衣装を選んでいて、さすが芸術の国だなあと思います。
それにしても、ロシアは人材の宝庫ですね。彼女のコーチは知りませんが、せめて22歳ぐらいまで(大学生の間は)、トップクラスのまま、競技続行していて欲しいものです。
ふと思ったのですが、続行を目指して、
エテリ→プルさまのアカデミーや外国のクラブ といったコースが、今後 主流になってくるかも知れませんね。
ととちゃん さま
カニシェワのこのノービス選手権の演技は、私も衝撃を受けましたね。完全に大人のスケートを叩き込まれていて、だからこそのこの衣装なのでしょうね。
たしかに、トゥルソワやシェルバコワのような派手な大技は無いですけど、確かな技術とロシア仕込みの所作、しかし、それでいて、荒々しさ・激しさがあるのが面白いなと。
JGPでどんな演技を見せてくれるのか、今から本当に楽しみです。
カニシェア選手の紹介ありがとうございます。言葉がありませんね。ノービスでこの演技ひれ伏したくなりますね。菜那ちゃんと一緒に出るんですか?トゥルソワも?厳しいですが思いっきりやって欲しいです。
カニシェアはトゥルソワより1歳下で、ソツコワの元コーチってことですね?二人ともどんな演技をしてくれるのか 今から楽しみです。少々ため息…。
senninさま
昨シーズンのJGPも本当に面白かったですけど、今季は昨シーズン以上にメンバーが熱いですよね!菜那ちゃんは厳しい試合にアサインされたと思いますが、どれだけ成長したのか、そしてどこまでロシア勢と戦えるか、本当にワクワクします。
カニシェワは、このノービス選手権の演技を見ると、実は今季のダークホースになるんじゃないかと思っています。ただ、ミスをすると勝てない競技でもあるので、本番できっちりノーミスできる正確な技術の持ち主なのか。その辺り、しっかり見てみたいですね。
こんばんは
動画ありがとうございます。
トゥルソワやっぱりタノが多いんですね。
最後のクリムキン男子並の低い体勢で、びっくりしました。
女子にも出来るんですねっていうか若いからでしょうか。
カニシェワは若さがはじけてるって感じでパワフルですね。
コストルナヤ柔らかな素敵なスケートですね。
ロシアはやっぱりすごいですね。
日本人選手達も頑張って〜
マリィさま
トゥルソワのクリムキンすごいですよね。羽生君のイナバウアーのように、これが本当のクリムキンじゃねぇの?と言いたいです。
カニシェワとコストルナヤはけっこう違いますよね。カニシェワは、端正な顔立ちとは対照的に、動きはワイルドな所が魅力かなと感じています。