『羽生結弦の言葉』感想(2)

『羽生結弦の言葉』感想(2)

2020年10月26日発売。定価「1,540円」。

前回の記事」から、3か月ほど経っていますので、改めて最初から読んでいます。今日は前半の3つの章から、あの年末の全日本を踏まえて、印象的だった言葉をピックアップしてみました。

・修行僧のような日々(100頁)

まあ、修行僧みたいな感じ。だからパパラッチの方とかが来ても面白くないんだろうなと思う。リンクに行って、練習して、帰ってきて、ご飯を食べて、トレーニングして、お風呂に入って、寝る、みたいな」(2019年9月、オータムクラシック優勝後)

意外にもけっこう最近の発言なんですね。もちろん19年秋は「コロナ前」の時期です。それこそ、コロナ禍での実家とアイリンの往復も「修行僧」のような生活で、パパラッチもあの辺りを夜な夜なうろついていたんだと思いますが、もちろん「面白いもの」は一切出てきませんでした。人間、いきなり変われるものじゃなくて、羽生さんは、このようにもともと「不要不急の行動」をしない人ですから、コロナ禍でも自己を律することができたのだなと思います。それでも、トレーニングや振付を自分でやらなきゃいけないというのは、トロントでの「修行僧」的生活とは違いますから、精神的にきつかった部分を、全日本の記者会見で語っていましたね。

・残酷な努力のテーゼ(125頁)

「スポーツはとても残酷だと思います。一番努力した者が、必ず一番の結果を出せるものではありません。しかし、努力しなければ、結果は決して残すことはできません」(2014年8月、「上月スポーツ賞」表彰式でのスピーチ)

「残テ」なんてタイトルがついているので、最近かと思ったら、ソチ五輪の後のスピーチでした。この映像は初めて見たかもしれません。この羽生さんのスピーチは「努力は報われないこともある」という主旨の内容ですが、結論としては「努力しなきゃいけない」ということを言ってるんですよね。

そう考えると、将棋の永瀬拓矢王座の「努力論」と少し通じる所があると、私は思います。

彼(佐々木勇気・現七段)を見ていて思ったのは、「勉強しなくても勝てるんだな」ということです。「これを天才と呼ぶんだな」と。自分の中での天才の定義は、勉強しなくても将棋で勝てることなんです。勇気さんの勉強しなさ加減はすごかったですね。でも、なぜか勝つんですよ(笑)。

でも逆に思ったのは、勉強していない彼が天才だとして、自分が対極にいていい勝負なら、アンフェアだとしても実はそこまでアンフェアじゃない。天賦の才がある人に対しても、地道に一歩一歩進めば肩を並べることはできるというのは大きな発見でした。

才能のある人って私の知人にもいます。私の10分の1も勉強してなくても、久々に受験したTOEICで簡単にハイスコアを取ってしまう。じゃ、自分はその才能のある人と同じことをやってそのスコアを出せるのかというと、出せるわけがないので、自分は努力するしかない。人は人。自分は自分。自分自身を知り、自分のできる努力をすることが大切ですよね。

・闘争心について(53頁)

自分が発した言葉って、自分に残るじゃないですか。だから「落ち着け」って口に出して自分に言い聞かせるのは、ある程度大事。でもね……。口に出さないで、内に秘めていることの大事さにも、気づき始めたんですよ。昔はあえて言った言葉に追いつけ、追い越せでやってました。フィギュアスケーターには「納得できる演技が出来ればいい」という傾向があるけれど、実際はアスリートだから本当は勝ちたいでしょ。でもね、その闘争心が剥き出しの人もいるし、見せない人もいる。最近の僕は半々になったんです。(2012年春、クリケット移籍後、自分自身の変化について)

最後はこちら。2012年のNumberでの発言のようです。羽生さんがいまも「半々」なのかは本人に聞いてみないと分からないですが、私は、羽生さんが「SNSをいっさいやらない」という行動や、独占取材にほぼ応じなくなったメディア対応が、「口に出さないで内に秘めていることの大事さ」を表していると思うんですよ。

アスリートでも芸能人でも政治家でも、Twitterで不用意な発言をする人は、どうせ後で削除すればいいと思っているか、「誤解があった」と人にせいにするんですよね。だから言葉がとにかく軽い。羽生さんは、SNSはやらないけど、先日のマガジンの「完全収録」でも明らかなように、公式の場ではよく語ってくれている。「口から発した言葉は拡散して残ってしまう」ということを分かっているからこそ、日頃から考えに考えて、語るべき言葉を蓄えて、しかるべき場でしかるべきタイミングで言う。

特に、全日本での、コロナ禍における様々な状況への配慮について、ファン目線を抜きにしても、羽生さんの言葉は際立っていました。こんなブログをやっていて何ですけど、言葉を発する前に、しっかり考え抜くことの大切さを痛感しますね。

では、また明日!

Jun

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