これは買ってもいいんじゃないかと。「フィギュアスケートLife Vol.15」(1)

これは買ってもいいんじゃないかと。「フィギュアスケートLife Vol.15」(1)

2018年10月10日発売。定価「1,800円+税」。

この雑誌については、ゆづファンの間でいろいろと意見がありますが、今年のトロントメディアデー特集は「比較的頑張ってくれている方」かなと思います。それよりも、Vol.11までは全144ページを維持していたのが、本号含めてVol.12以降は全128ページと薄くなり、しかし価格は「1,800円+税」のままなので、ここは残念ですね。

ところで、今回、宇野選手の扱いに若干の「違和感」を感じました。表紙には名前が無く、羽生君のこのインパクトのある写真。一部のネット上の意見では「どうせまた、ゆづの表紙で釣って、宇野大特集だろ?」と言われていたのですが、誌面での扱いも実際にこの表紙の通りで、非常に薄い。そもそもインタの並びとボリュームが、巻頭の羽生君は別格として、その後に続くのが、刑事(6ページ)→友野(6ページ)→草太(4ページ)→須本(4ページ)→宇野(4ページ)となっています。しかも宇野選手に関しては、単独インタではなく、フレンズオンアイスとロンバルディア杯での発言を挿入したレポートとなっており、こりゃ宇野ファンはぜったいに買わないわ・・・と、オリンピック銀メダリストに対する扱いとしては、ちょっとどうなの?と、軽く同情してしまいました。

もうひとつ、懸念されている大ちゃんのインタですが、72~77頁の中盤に配置されていて、読もうと思わなければ目に触れない「好位置」になっています。で、実際に読んでみると、これがわりと面白い(笑)。「生活のために自炊している」「今日は1000円以内、とか決めてやっている」「スープを飲むとお腹一杯になるから、食べ過ぎ防止になる」「牛肉が高いことを改めて知った」とか、そっかぁナビさんのお仕事はあまり稼げてなかったのか・・・と。現役復帰を発表した後、後輩から何か言われたかについては、「ないですねぇ。元々話しかけてこない……(笑)。『びっくりしました!』とは言われました。あと『やめてくださいよ』『何ですか、嘘でしょ』って」とのこと。「この自虐路線は彼にけっこう合ってるんじゃないか?『しくじり先生』にぴったりじゃないか!」と思ったんですが、テレ朝の番組でフジでの話を「しくじりネタ」として暴露する度胸はさすがに彼には無いですかね。やってくれたら最高なのになぁ・・・。と、まぁ、こちらもまた、ちょっと同情してしまう内容でした。

さて、本題にいきましょう。トロントメディアデーの取材は山本夢子さんで、写真は浅倉恵子さん。写真は、表紙の他にもこのANAの白ジャージのショットで良いものが揃っています。ただ、それよりも、山本さんの、公開練習のレポートが印象的です。初日(8月30日)の公開練習でOrigin、翌日(31日)にOtonalの曲かけ練習が披露されたわけですが、羽生君の身体の動きや振付の特徴など、非常に細かく記述されています。例えば、Originについては、「ジャンプのキレが例年通りなことはもちろんだが、羽生の身体の使い方が昨シーズンより良くなっているように見える。特に伸びやかな部分はストレッチしていて動きが美しくなっていた。それにより、動きのコントラストがよりはっきりして目が離せない」と、実に真っ当な評価を与えています。

で、そもそもフィギュアスケート雑誌は、高いわりに大会レポートやインタの鮮度が完全に過ぎていて、そこが私も不満ではあるんですが、今回ばかりはむしろ「腐りかけている」ことが読者にとってプラスになっています。なぜなら、オータムでのOtonalとOriginをすでに私たちは鬼リピして見まくっていて、テレ朝で佐野先生の解説を聞き、フィギュアベマで織田君のコメントも聞いているので、このレポートを評価するための下地ができているからです。そして、実際、なかなか優れた内容になっているので、立ち読みだけでもしてみると良いと思います。

ブライアン、トレーシー、ジェフのインタは、「フィギュアスケート日本代表ファンブック2018」とかぶっているので割愛。そして、羽生君の個別インタは、「ファンブックよりちょっと多いのでは?」と感じました。内容は、OtonalとOriginが中心になっています。軽く引用しておきます。

Otonalについて。「特に最後のステップがすごく盛り上がるところなので、すごく静寂なところでジャンプをバンバンと跳んでいって、そこからステップで盛り上がる。・・・『バラード』もそうだったんですけど、プログラムとして完成させるためにジャンプはすごくきれいに決めなきゃいけないと思っていますし、ジャンプを跳ぶ時のエッジのシュッていう音とか、ランディングのパッていう音すらも、表現の一部として感じられるようなものにしたいです」。

Originについて。「自分がスケートを滑っていることの意味とか楽しさみたいなものが詰まっていて、点数になるものだけじゃなくて、いろんな形のジャンプがあるので、そういったところにも一つ一つ違ったニュアンスをつけているので見ていただきたいなと思っていますね」。

個別インタでは、4Aの状況や、プルさんやジョニーに対する熱い想いも語ってくれています。また、「ここ」でのジョニーとのやりとりを羽生君に投げている部分も必見です。

他にも、佐野先生やジェイソンのインタや、男を上げた(?)小塚君の連載も興味深い内容になっているので、試合のレビューの合間を縫って、またご紹介したいと思います。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. みつばち より:

    更新ありがとうございます。

    Goingで宮原知子さんがジスランコーチについてジャンプをやり直している、というニュースを見ました。
    ジスランコーチは「肩から下半身にかけてきちんとした長方形をつくるように指導している。知子は早く回ろうとしてねじれてしまう事が多い、それで着地も乱れる」

    これってようするにプレロテのことですよね?
    ジスランコーチはジャンプコーチだったわ。クリケ以外の選手については言いたいこともあるんじゃないかしら。なによりもジャッジにね。

    高橋さんの「自虐」は若いころからこういう感じな人ですが、言葉にするのが苦手なのではないかと思います。織田さんの自虐とちがって甘えというか忖度してほしい、という気分が底にあるような・・・若いころはほほえましかったんですけど。
    そこはもう卒業しないと、自分のために。

    羽生さんは忖度を求めない人ですね。たぶんこういうところがかわいくないんでしょう。でもそこが最高!

    • Jun より:

      みつばちさま

      勤勉な知子ちゃんのことですから、ジャンプの低さや回転の危なさを自覚しつつも、だからこそ「はやく跳ぼう、はやく回ろう」という意識が強すぎて、それが悪循環となって、「悪い癖」がついてしまったのかもしれません。

      この件を以前からチームの中で相談していたようですが、バランスが崩れてしまうことを懸念して、やむを得ず先延ばしにしていたようです。そして、「変えるなら今シーズン!」と決意した旨を、インタの中でも彼女は語っています。ぜひ頑張ってほしいですね。

  2. おの より:

    毎日の更新ありがとうございます
    この本は近所の本屋さんには1冊も無いのです
    最近改装してから、スケート本の扱いが悪くなった気がします
    あまり置かなくなってガッカリしています
    名前は超有名な本屋さんなんですよ
    Amazonで酷い扱いの本が届くので、地元の本屋でって思っていたのに…
    なので、junさんが内容を語って下さるのはありがたい!

    高橋さんのくだりはちょっと笑ってしまいましたが、彼は今満足してる事でしょうね
    注目を浴びたい人ですから(^^;
    大フィーバーとか言われてますが、そう言わないといけない雰囲気なんでしょうか?

    所で、YouTubeのホフレガが、削除されていますね
    何故でしょうか?
    DVDが出るのかしら?
    と、いい方に考えていますが、本当の所は何なのか?
    不信感が募ります。

    羽生くんの写真集、2冊とも素晴らしい!
    仰る通りコメントはありませんが、この忙しさ、かなりの数のオファーがあったようです
    あの短い滞在中に沢山の事をこなしていたようで、これでは競技プロの練習は出来ませんね
    次の大会から、いよいよって事ですね!

    • Jun より:

      おのさま

      ホプレガ削除の件は初耳でした。お知らせいただきありがとうございます。

      そうなると調べてみたくなるのが、「覚醒の時」の発売日ですが「2014年7月16日」とありますね。

      https://www.amazon.co.jp/dp/B00ILRUIH4/

      発売元が「ポニーキャニオン」なので、フジテレビ系列ですが、たしかに「内容紹介」を見ると、ソチ五輪以外の試合の映像は、フジが放送している試合に限定されています。

      さて、はたして出せますかね?昨年は全日本に出場していないし、今年のワールドも出ていない。しかも、この4シーズンのうち、バラ1は3シーズン、SEIMEIは2シーズン演じていますから、ちょっと無理かもしれないなぁ・・・と個人的には思います。

  3. 名無しの猫 より:

    Lifeのご紹介ありがとうございます。
    書店でぱらぱらっと見て、いいな、とは思ってました。
    写真集2冊続けて購入、カレンダーもキューピーもクリアファイルもお迎えした今の時点
    では、お腹いっぱい、お財布空っぽ て感じですので、二千円近いLifeはちょっと・・・と
    思っていたのですが、Jun様の書評を見て、再検討することとしました。
    表紙のインパクトと、内容も良いなら、持っておきたいな、と思いますので。

    写真集2冊なんですが、当然両方買うというコアなファンばかりではないのですね。
    お若い学生さんで、お小遣いからどちらか1冊と思い先に出た魂プロにした、というのを
    身近で見ました。能登さんのを買わないなんてあり得ない!とは私からは言えません。
    そうなると、発売日をYUZURUⅡ の直前にした魂プロの作戦勝ちと言える訳で、
    私としてはなんかちょっとモヤったのでした(^^;

    • Jun より:

      名無しの猫さま

      私も、もし自分一人でそんな学生さんを書店で見かけたら、「お嬢さん、能登さんの方にしときなさい」とはとても言えないですねぇ。

      ただ、もし同行者がいたら、それとなく「写真集どっち買ったんだっけ?」とわざと学生さんに聞こえるようにこの話題を話したりするかもしれません・・・。まぁ、その学生さんがこのブログを見ていることを祈りましょう。

  4. sennin より:

    どんな内容かみようと書店に行きましたが、売り切れてみあたりません。紹介していただいて助かります。
    エッジの音まで作品にするってことなんですね?そこまで考えていてジャンプは全部前半なのか?等々また改めて羽生結弦のスゴさに驚きました。テレビではそこまでわからないし現地観戦でもアリーナ席でないと感じる事が出来ない、となるとジャッジに?それにしても、奥が深い…。こっちはついていくのが大変だけど物事を深く考える機会になるので面白いしスケートが益々好きになり結弦君も益々好きになる私です。アナウンサーにはジャンプのときは静かにしていただきたいものですね(笑)

    大ちゃんについては誰かがいつもやってくれるという甘えがあると元ファンさんのブログをなぜかみた記憶があるのと、アイスショーで結弦君が花になれでしたか?その最中に控え室で「でていってみる?」だったか考えられないことを面白がって言っててノブ君がお願いだから止めて!町田君が結弦怒るよ!と必死で止めてるフジテレビの放映をみて、大ちゃんてマジで頭悪いわ、これを映すテレビ局も常識外れてるわとあきれた位で、演技以外は詳しいことを知らないので一寸興味津々で読ませていただきました。しくじり先生、いい案ですね。ウフフ

    他も読みごたえありそうですので懲りずにさがしてみたいと思います。といいながらフィギュアスケーターズ出そうですね?我が家の近辺ではオリンピック以降これも1日で売り切れてしまいます。

    • Jun より:

      senninさま

      アナウンサーも解説者も、どうせ羽生君に直接取材することはほぼ不可能なのだから、こういう雑誌のインタビューをしっかり事前に読んで勉強しておいてほしいですよね。

      ただ、分析能力皆無の八木沼さん(age沼さん)がなぜいまだに各局またいで使われているのかを考えてみると、偉い人の意向に沿って「余計なことを言わない」という点が評価されているのだろうなと想像します。

      FIGURE SKATERSの表紙が出てきましたね。ただ、ニュースも応援ブックも、表紙が出て、しかも発売した後にあんなことになりましたから、予約していいものか決めかねています。

  5. マリィ より:

    こんにちは
    本のご紹介ありがとうございます。
    lifeはjunさんあまり触れてないので様子をみていましたが、本屋で見てみようと思います。
    ずっと並んでるのは見てたけど、まだあるかな?
    目に触れない好位置には笑っちゃいましたが、この2人のこの扱いが逆鱗に触れちゃったのかもしれませんね。
    だからと言ってゴリ押しは許せませんが。
    最近応援ブック2を古本屋で見つけて買ったんですが金メダルとった人は勿論大特集ですが、逃した人は当然この扱いですよね。

    羽生くんはスケートが大好きだからこそ色々やりたいこと、試したい事があって次はどんな事をやってくれるんだろうとワクワクするし、本人もワクワクしてるんだろうなと思います。
    会場では氷の音はすごく響くものなのかな?
    テレビでも時々マイクにはいりますよね。
    羽生くんのスケートはスポーツ以上に芸術ですね。
    また、その為の芸術点ですね。
    次の試合でジャンプ構成をどうしてくるのか楽しみです。
    当初のプログラムの前半ジャンプ固めで来るのか変えてくるのか?

  6. マリィ より:

    補足ですが、、
    しくじり先生に出演する人は昔はしくじったけど、今は盛り返した、もしくは盛り返しつつある人しか出ませんから高橋大輔は成功を手に入れないとしくじり出演はありませんよね(笑)
    失礼、ちょっと皮肉っちゃいました。

    • Jun より:

      マリィさま

      雑誌の紹介が遅れてしまって、すみません。前のブログがあんなことになったので、雑誌や書籍のレビューは、発売後しばらく様子を見てから行うようにしています。ただ、チェックすべき試合が毎週のようにあるので、雑誌を読んでいる暇が無いというのもあります。

      しくじり先生も、現状でもしょーもない亀田三兄弟なんかも出演しているので、出演できる「要件」は十分満たしていると思いますが、教壇に立ってプレゼンするようなあのスタイルは彼にはやっぱり無理かもしれません。

  7. ととちゃん より:

    Life、思ったより良かったです。
    junさんが仰るように、宇野選手の扱いが小さくてびっくりしましたが、その代わり高橋選手なのかな…と。

    確かに無視しようと思えば無視出来る場所にありましたね(笑)。← 受けました!
    ただ、高橋選手については、友野くんや刑事くんなどの特集で必ず言及してあって、ちょっとしたサブリミナル効果狙い?と感じたのですが、穿ち過ぎですか?(苦笑)

    一方でジェイソンのリアルな羽生賛歌も載せてあるので、個人的にはプラマイゼロでしたし、買って良かったです。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      スケアメ直前の予習替わりに、「Life Vol.15」と「日本代表ファンブック2018」を読んでいるんですが、両者を並べて「比べ読み」してみると一目瞭然なんですが、後者の「高橋推し」「宇野推し」はすごいですよ。

      逆にLifeは、そのような「動き」に対してかなり「抵抗」しているようにさえ見えるので、世の中のゆづファンの皆さんには、Lifeに対する見方を(このVol.15に関しては)ちょっと変えてほしいなと、個人的には思います。