『羽生結弦の言葉』感想(3)

『羽生結弦の言葉』感想(3)

2020年10月26日発売。定価「1,540円」。

昨日」の続きです。後半の3つの章から、印象的だった言葉をピックアップしてみます。

・スケートは心の支え(240頁)

以前より、フィギュアスケートが、より心の支えになったなと思います。例えば生活していて、いろいろなことに苦しくなったり投げ出したくなったとしても、スケートで調子がよかったりすると「やっぱりこれが自分自身だな」と思える。好きなように表現できる、そういう場ってなかなかないですよね。そういう場所が僕にとってのフィギュアスケートというものだと思います。スケートを続けてよかったな。(2017年8月メディアデー。平昌五輪シーズンを前にして)

自粛期間のトレーニングで落ち込んでいた折、「春よ、来い」や「ロシアより愛を込めて」を滑って、「スケート好きだなって思った」と語っていましたね。それがリンクするように感じます。もちろん、この当時の発言と周囲の状況は違うわけですけど、結局、スケートの悩みはスケートで解決するしかない。理想を求めるがゆえに、今の「できない自分」を責めてしまいたくなる時こそ、「かつてできていた自分」に立ち返る。スケートとは無縁の生活を送る私にも、問題解決のためのヒントとして、とても参考になります。

・「努力の正解」(242頁)

努力はウソをつく。でも、無駄にはならない。「努力の正解」を見つけることが大切(2016年9月、テレビ番組で「未来へのヒーローへ贈るメッセージ」を尋ねられて)

フジテレビの「Mr.サンデー」という宮根さんの番組でしたね。加藤綾子さんがトロントメディアデーに取材に行った時の発言です。「努力はウソをつく」で画像検索すると、いろいろとヒットします。どうもこの発言は、私の中でも「努力はウソをつく」の部分ばかり強烈な印象が残っていたんですが、後半の「努力の正解を見つけること」の方が大事ですよね。結局、人に言われたことを真似しても、それが自分自身の中で苦痛だったら続かないし、嫌いになって止めてしまっては元も子もない。

よく、将棋の勉強法で、「将棋の終盤力をつけるために、詰将棋の勉強は必要」という説があります。それは、藤井二冠が詰将棋の解答力において「異次元の能力」を持っているから、「詰将棋をやってるから、あんなに勝てるのか!」となる。詰将棋というのは、王様を詰ますための問題集のようなものです。でも、藤井君が小学生の頃にスラスラ解いていた問題でさえ、私に言わせれば「一生かけても解けないような、見ただけで気持ち悪くなるような難しさ」なので、向き・不向きが絶対にあるんですよね。

ものすごい偉業を成し遂げた人の努力は「唯一の正解」ともてはやす風潮がありますが、やっぱり、自分で楽しめるもの、成長を感じられるものじゃないとダメだなと思います。

・大学進学の理由(198頁)

陸上や野球はすごく科学的にも証明されていることが多いのに対し、スケートは、これだけ人気になってもまだまだ解明されていない部分が多いように感じます。だからこそ、自分で考えなきゃいけないし、それゆえの面白さもある。スケーターとしての視点の幅を広げたいというのが、大学進学を決めたきっかけです。(2014年1月、ソチ五輪を間近に控えたインタビュー)

さすがにこの時点では、「AIによる自動採点」という部分は視野には入れてないはずで、純粋にジャンプに対する科学的視点からの分析という所が、主な関心だったと思います。しかし、ソチで勝ち、その後、不可解な採点を目撃することで、研究課題を少しずつ広げていったのでしょう。そういえば、全日本での会見では(コロナ禍により会見の環境・時間に制限があって)卒論についての質問はまったく出なかったのは残念でした。田中さんが長野で写真撮影できていたという話ですし、ジュエルズのインタで卒論について言及があるといいですね。・・・そういえば、ジュエルズのルール解説の企画の執筆者は、昨年末の全日本でレフェリーだった吉岡伸彦氏でしたね。もし、次号で例のシットスピンについての「言い訳」が垂れ流されていたら、この企画無くてもいいでしょ?と文句の一つもいいたくなりますね。

・世界王者に勝利して(156頁)

勝ち負けよりも、どれだけ成長できるか、どんな経験ができるかなので(2013年12月、福岡グランプリファイナルで勝利して、パトリック・チャンへの意識を問われて)

Pさんに勝てた喜びに浸っている場合じゃなく、「勝って兜の緒を締めよ」という意識が働いての発言だと思います。でも、過度に結果や数字ばかりを求めてしまうと、結局、他人のメソッドに頼ってしまって、それこそ自分にとっての「努力の正解」を見つけようという発想が生まれにくい。

もちろん、人一倍「勝ち負けに拘る」のが羽生さんではあるけど、時には自分自身の中で葛藤や矛盾がありながらも、進化・成長を求めて今もなお努力を続けている。私も学びたいと思いますね。

では、また明日!

Jun

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