なぜこの大事なときに島田君?と不可解に思われている方もいらっしゃるはず・・・。ええ、この記事は、突発的な予定が入った場合のことを考えて、事前にまとめておいたものです。4日の夕方に激しい飲み会がセッティングされ、GPフィンランド大会の男子フリーをレビューできる自信がないので、一日遅らせてください。
まず、以前もご紹介しましたが、彼の成長を大いに予感させてくれた今年の夏合宿の取材動画を再掲します。このインタで語られていない情報を「ファンブック」(62~65頁)で補足します。
――その後(2017年世界ジュニアの後)、ステファン先生のところへ行ったのですか?
最初は振り付けで行きました。全然、コーチになってもらおうという考えはなくて、ただ純粋に振り付けをしてもらいに行っただけなんです。ちょうどそのころ、長澤(琴枝)先生が岡山から滋賀に拠点を移されるということで、どうするべきかずっと悩んでいたんですけど、そんなところにステファンから「助けられるよ」という助言をいただいて。すごく悩んだんですけど、まずお試しで行ってみようということで、まったく考えがまとまらないままスイスに行ったんです。
――一度、振り付けに行ったときに環境を見て、魅力を感じていましたか?
そうですね、やっぱりスケーティング重視っていうのが、表現者を目指す僕にとって、すごくいいなと思いました。あと、これから身体づくりをやっていかなければという気持ちがあったんですけど、オフアイスのトレーニングも一緒にやらせてもらって、「これなら強くなれる」と実感できたので、その面でも「いいな」という印象がありました。
――陸上のトレーニングには別のコーチがつくのですか?
いえ、全部ステファンが見てくれます。ステファンが選手時代からお世話になっているトレーナーのマーラさんという方がカナダにいて、ステファン自身もトレーニング方法やケアの仕方を学んでいるそうです。なので、ステファンがすべてわかっていて、コーチ兼トレーナーとしてやっています。
――すごい!コーチ兼トレーナー兼コリオグラファーですね!
本当に毎日、多忙な生活を送っています。
雑誌の中では、スイス生活の詳しい話など、かなり盛り沢山な内容になっています。今季のJGPで彼のファンになった方は、ぜひ書店で全文チェックした方がいいと思います。しかし、ブライアンもそうだし、ラファもそうですが、一流のコーチの仕事に対する情熱は凄いな!と感心していたんですが、ランビさんも凄いですよね。彼の場合はプロスケーターとしてまだバリバリ世界中を飛び回っているだけに、身体を壊さないか心配になります。トレーニングをそれだけ丁寧に見てくれているのだから、「JGPのキスクラに来てくれよ!」と安易には言えないですね。
――(ショートは)どんな振り付けになりましたか?
ほんっとに難しいです(笑)。ひとことで言うと「難しい」。とてもきついプログラムなんですけど、カッコいい振り付けです。自分の殻を破るというか、新しい自分を生み出していくという振り付けで。3回飛び蹴りみたいにするところがあって、そこは壁をぶち破るイメージでやっています。すごくカッコいいんですけど、それもひとつのジャンプとして認定されないかなと思うくらいきついジャンプで。これを滑りきれたらすごくいいなというプログラムです。
上に貼ったのは、一戦目のJGPオーストリア大会の映像ですが、「飛び蹴り」の部分は、前半1本(1:30)、後半2本(2:44、2:47)という配置でした。これが2試合目のJGPスロベニア大会の方だと、後半の2本のみになっていました。やはり確実にジャンプを決めたい前半にこれを入れるのは、負担が大きすぎるということだったんでしょうか。
――そしてフリーが『ブエノスアイレスの冬ですね』。
これはステファンがすごく好きな曲で、彼が提案してくれました。もともと僕もカッコいい曲だなと思っていたし、これで振り付けたらどうなるのかなっていう興味もありました。最初は曲の日本語訳を知らなくて、本当にただただカッコいいなと。
これまで何度も言ってますが、個人的にはフリーの方が好みです。ただ、「あまりにランビさんっぽすぎる!」という意見はよく目にしていて、それもそのはず、ショートの方の選曲自体は島田君のアイデアだったんですが、こちらは選曲から振り付けまで完全にランビさん主導ということなんで、そうなるわな・・・と。でも、それを島田君に「託してくれた」ことに、日本人目線で言うと「胸熱」というか、単純に嬉しく思います。
最後にゆづファン的には嬉しい、こちらの発言をご紹介しましょう。
――ケガというと羽生結弦選手も素晴らしいカムバックを見せてくれましたね。
すごいですよね、あの状況から。オリンピックどころか選手生命に関わるかもしれないと本当に心配していました。でも、ケガをしたと聞いたとき、なんとなく、復帰してオリンピックで金メダルを勝ち取るストーリーがみんなの頭によぎったと思うんですよ。僕のなかにも「やってくれるんじゃないか」という気持ちがすごくありました。
実は、このような「予言」をしていた日本人スケーターがもうひとりいます(「Quadruple Axel 2018」80頁)。
――平昌オリンピックをご覧になった感想をいかがでしょう。
羽生(結弦)くんがNHK杯の練習でケガをしたとき、ちょうど僕も同じリンクで見ていたので驚いて。その後、全日本も欠場したので、すごく心配していたんですけど。でもなんとなく、全日本に出ないと聞いたときに、「あっ、これ、オリンピックで金メダルいくんじゃないかな」と思ったんです。羽生くんはそういうストーリーというか、感動できるドラマを描ける人だと思っていたので、「羽生くんなら、やっちゃうんじゃないかな」と思っていて。そうしたら、本当にやり抜いたので鳥肌が立ちましたね。
昨年のNHK杯に出場していた男子選手ということなんで、かなり絞られますが、佐藤洸彬君でした。
というわけで、ファイナルに出場する島田君とともに、今年もNHK杯に出場する佐藤君も、ガッツリ全力応援しましょうね!
では、また明日!
Jun
コメント
こんにちは
二日酔い等は大丈夫でしたか?
記事アップお疲れ様です。
フィンランド杯感想ゆっくり楽しみに待ってます。
島田くん身長のびてカッコ良くなりましたね。
演技も身長あるとダイナミックに見えますね。
しゃべりもしっかりした16才ですね。
私もフリーのプログラムのほうが好きです。
羽生くんについての佐藤くんのコメント覚えてます。
そうだよな〜羽生くんならやりそうって思ったりした事を思い出します。
ランビさんコーチ等兼務して大変ですね。
クリケットみたいにいろんな人がかかわるのとどっちがいいんでしょう?
マリィさま
急な形でのこの記事に、コメントをありがとうございます。必ずしも羽生君と無関係な内容ではないので、ぜひ島田君と佐藤君についても、覚えておいてもらいたいなと思います。
ランビさんのチームは、所属している選手の人数からレベルまで、クリケットとはまるで違うので、たくさんコーチを雇うことは無さそうです。ただ、デニス君や島田君の頑張りによっては、今後注目されるチームになるかもしれませんね。
この本、持っていないので興味深く読みました。ランビさんからの声掛けがあったなんてやはり元々光るものがあったんだなと思いました。
びっくりしたのはランビさんの能力の高さです。ショーをこなす一方でカナダまでトレーニング方法やケアの仕方を学びに行くなんて
本当にエネルギッシュですよね。そんなコーチに学べる高志郎くんは幸せだなぁと思いました。JGPファイナル、頑張ってほしいです!
junさん、「激しい飲み会」明けは羽生選手のEXの演技で癒されてください。
ととちゃん さま
ランビさんは毎年日本の代表合宿に来てくれて、FaOIも毎年皆勤賞ですから、彼ほど日本人を熟知しているスケーターはいないですよね。島田君のケースは、怪我を治すという所から関係ができてきたわけですけど、コーチングをお願いするという所から、スイスを目指す後輩が出てきてほしいなと思います。
まだ身体からアルコールが抜けきっていない感じがしますので、今大会の3プログラムを繰り返し見て、浄化しようと思います。