いまウチは朝日を取っているのですが、土曜版の「be」にフィギュアスケートの特集が組まれていました。
見出しには「紀平が起爆剤 来るか4回転時代」とあって、「ああ、いつものロシアのジュニア勢の4回転脅威論か」と思って読んでみると、紹介されている専門家の見解をオカズに、皆さんと色々と語ることができそうなので、ご紹介します。
桐蔭横浜大の桜井智野風教授(スポーツ科学)は、紀平やロシアのジュニア選手について、「少し体を前に倒して跳び、股関節の曲げ伸ばしをうまく使っている。羽生選手の跳び方と似ている」と分析する。手本が、先達の女子選手から現役の男子選手になっているという指摘だ。
ルール改正も後押しした。今季大幅に変更され、完成度が重視されるようになった。国際大会の審判も務めている吉岡伸彦・千葉大学教授(スポーツ・バイオメカニクス)は「難度の高いジャンプにはお得なルールになっている」と説明する。難度の高いジャンプを跳べば多くの加点となる。「紀平選手は加点がつく3Aを跳べる上、表現力もあるので高得点が出る」。表現力で劣る選手が勝負するには、ジャンプの難度を上げざるをえない。「ロシア選手は4回転を跳ぶしかなくなっている」と、紀平が4回転時代への起爆剤になっていると吉岡教授はみる。
エテリ組の女の子たちが羽生君のクワドを参考にしているかどうかは知らないですが、紀平さんはブリちゃんの指導を受けているわけで、その部分は記事をまとめた記者がアップデートしてほしかったですね。
そして、吉岡さんが知らないはずはないですが、昨シーズンのJGPシリーズで、紀平さんはロシア勢に勝てなかったので、「紀平が4回転時代への起爆剤」というのは不正確でしょう。今季の紀平さんの躍進は、3Aの確率の高さもそうですが、他のジャンプでミスがきわめて少ないこと、そしてファイナル優勝の原動力は、五輪チャンピオンのザギトワ並みのPCSが出たことがやっぱり大きいです。
その他では、「ロシア選手は4回転を跳ぶしかなくなっている」のではなく、「(現段階で)トゥルソワやシェルバコワは(コストルナヤに勝つためには)4回転を跳ぶしかなくなっている」というのが、より正確な記述でしょう。エテリ組の3人娘が来季シニアに上がって通用するかどうかについては、「彼女たちにどんなPCSが出るのか?」と、「そもそも来季も今季のようにジャンプを跳べているのか?」という2つが焦点になると思います。
そもそも、ザギちゃんやメドちゃんが3Aやクワドを跳べれば間違いなく最強なんですが、今となっては厳しいか?・・・とふと考えてみると、リーザみたいな人がいますからね。ちなみに、リーザのwikiを見てみると、「2015年の世界選手権(上海)のSPで3Aを初めて成功」とありますね。じゃ、18歳で3A初成功じゃないですか!
ただ彼女も、いきなり2015年にできたわけじゃなくて、2010年頃からコツコツ粘り強く続けていて、そして、この18-19シーズンに驚異の成功率を誇っているのだから、このスポーツはまだまだ分からないことがありますね。
まぁ、こういう記事を読むだけじゃなくて、やはり、動画でもいいので、ちゃんと演技を自分の目で見るのが一番ですね。
では、また明日!
Jun
コメント
朝日の記事、平昌前に比べるとバイアスが無くなってきているように見えます。ジャンプのお手本として羽生選手に言及していますし。でも、やはり所々突っ込みどころがあるんですね。
紀平さんがオールラウンダーなのは分かりますが、初めに紀平さんありきで、ロシアが対抗手段を取っているような論調には ?マークですね。絶対 junさんの方が正確な記事を書けますよ。
余談ですが、ロシアンジュニアについてもう少し。モスクワカップのカミラ ワリエワの演技を初めて見ました。所作が綺麗で、興味がわいて彼女の陸上ダンスレッスン動画も見たのですが、凄かったです。
FSは見れてないんですが、個人的にはトゥルソワより好みなので、来季が楽しみです。
ととちゃんさま
一般紙の、しかも限られたスペースの企画ですから、内容が大雑把になるのは仕方ない部分はあります。
たしかに紀平さんは優秀なスケーターではあるけど、そこまで圧倒的に勝ちまくってきたわけじゃないので、マスコミの手のひら返しが容易に想像できますね。もちろん、それに打ち勝つぐらいじゃなければ、オリンピックで金メダルなんて夢のまた夢ですし、本人も分かっていると思います。
ロシアジュニア情報をありがとうございます。時間を見つけて調べてみようと思います。ちなみに、今晩の記事では韓国選手権を取り上げる予定です。