リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。木曜日の公式練習では「3Aを6本成功」と絶好調のようです。日本女子スケート界の至宝がいよいよシニアGPに初参戦です。予習を兼ねて、雑誌のインタをご紹介します。
――自分で自分を見て、スケートに関しての性格は、どんな感じですか?
まあ、負けず嫌い?というよりは、家族や周りの皆様から応援していただいているのだから勝つしかないみたいな(笑)。それに、これだけ苦労して懸けてきたから、もうスケート一本でいくしかない、っていう感じです。
――そういう感覚は、いつから持っていますか?
結構前からです。こんなに時間をかけて、これに人生を懸けてきたからには、もうこの道は変えられないな、みたいな(笑)。
――前向きな気持ちでそう感じているんですよね?
はい。これで絶対頑張るぞ、って。嫌だっていうわけではないですし、これまでやってきたしこれからもやっていったら、羽生選手みたいなすごい嬉しさを味わえるんじゃないかなって思って、それを目指して頑張っています。
「フィギュアスケートLife Vol.15」53頁
ライフの梨花ちゃんのインタは、他の選手たちとは一味違います。見ているステージが違うし、日々の行動もやはり違う。シューズの調整に試行錯誤しつつ、体重計を持ち歩いている話、衣装を作る上でウエストの位置を下げている話(3Aの練習をやりすぎると肩幅が広くなってウエストの位置が上がってしまう)など、スケートの話しか出てきません。天才的な才能の持ち主がスケートに人生を捧げている日々を送っていることを聞いて、頼もしく感じますね。しつこく何度も言いますが、2002年7月21日生まれという梨花ちゃんの誕生日は、将棋界の若き宝、藤井聡太七段の誕生日の2日後です(笑)。
――今季のプログラム、ショートはどんなものですか?
デイビッド・ウィルソンさんに作っていただいた、ドビュッシーの「月の光」です。きれいで、やわらかい、少しかわいいようなところもあったりで、フリーとは反対のイメージに仕上げました。ショートの曲は私が提案した曲に決めました。濱田先生からも提案がありましたが、とても悩んだ結果、フリーとは感じが違った方がいいかなと思い、これにしました。
「フィギュアスケートLife Vol.15」51頁
「月の光」も昨シーズンのソツコワだけでなく、けっこう見かけます。ただ、穏やかな曲調ながら、彼女の場合は、3Aが入る超攻撃的な構成ですから、ジャッジや観客へのインパクトはまるで違いますよね。もちろん、彼女のもうひとつの魅力でもある柔らかな所作を存分に堪能できる優れたプログラムです。
――フリーは、ファンタジー・オン・アイスですでに披露していますよね。
はい、トム・ディクソンさんの「A Beautiful Storm」です。トム先生には、地球の誕生のイメージと伺いました。嵐の音とか雨の音が入っていて、地球ができあがっていくイメージでやっています。個性的な振付けがたくさんあります。たとえば、雷の音が鳴るところとか、静かな音なのに、波とか雨みたいな雰囲気が伝わったりするところとか、細かくて難しい振りで表現したりするところがあります。
「フィギュアスケートLife Vol.15」51~52頁
FaOIの後半から登場したプロですが、難しい曲だなぁ・・・と思いました。そして、歌モノではないし、定番のクラシックやオペラでもないので、本来なら、ジャンプが決まらないと、盛り上げるのはなかなか大変だと思います。しかし、下記にある通り、このフリーでは前半に3Aが2本入りますが、2本決まったら、まさに会場を嵐の渦に引き込んでくれることでしょう。FaOIから頑張って滑り込んできたプログラムですから、彼女のポテンシャルを考えれば、きっとやってくれると思います。
さて、ロシア勢や高難度ジャンプについての、彼女の見解も確認しておきましょう。
――これからもライバルになるであろう、ロシアの強豪についてはどう考えていますか?
4回転を跳ぶジュニアの選手がいたり、ロシアの選手は強いなと思います。少し前までは、私も4回転を入れていきたいと思っていたんですけど、いまはプログラムの完成度を高めるほうに重要性を感じています。今シーズンは大事な試合が多いので、4回転を入れる機会があるかどうかはまだわからないんですけど、無理にチャレンジしてミスをしてしまってはいけないので、すべての試合で波をつくらずにいい成績を保つことを意識していきたいと思っています。
――4回転トウループとサルコウを継続して練習されているんですね。
はい。オフはアイスショーで忙しいので、あまりできていないのですが、時間があるときに少しでも練習していけたらいいなと思います。
――感触はいかがですか?
最初はサルコウのほうがよかったんですけど、トウループを試行錯誤しているうちにトウループのほうがよくなってきたなと思っているところです(笑)。どちらも少しずつ精度を高めていきたいです。
――トリプルアクセルはどういう構成になる予定ですか?
ショートは1本、フリーは前半に2本入れる構成になっています。1本目のアクセルから2本目のアクセルまでの時間が短いので、昨シーズンよりも難しくなった気がしていますが、練習を重ねて1本目がどうであれ2本目のジャンプも「絶対に決める!」という気持ちで臨みたいです。
「フィギュアスケート日本代表ファンブック2018」84頁
まったくもって正しい現状認識です。いま無理してクワドに取り組む必要はまったくないですよね。来季シニアに上がってくるエテリ組のトゥルソワとシェルバコワがクワドジャンパーですが、そもそもクワドの確率を北京五輪まで維持できるのか?という話です。梨花ちゃんには、3Aを、それこそ羽生君にように徹底的に磨き上げていってほしいです。そして何より彼女は、3Aだけの選手ではなく、他のジャンプの精度も高く、スピンとステップもそれこそ先輩の知子ちゃんを猛追するほど質が高い。彼女のスケートの完成度がいったいどこまで上がっていくのか、実は私自身計り知れないところがあります。
このNHK杯はいいメンバーが揃いましたが、本当に彼女はやってくれるのか?と、私の中では不安とワクワク感に満ちています。順位はどうあれ、世界をアッと驚かせてほしいですよ。
では、また明日!
Jun
コメント
おはようございます
NHK杯は紀平さんを楽しみに見たいと思っています
落ち着いて挑めば行けると思ってますが、ジャッジがどう判断するかですね
紀平さんは羽生くんのように癖もなく体の柔らかさを持ってますね
演技が子供っぽくないのもいいです
かわいい表現も出来るし、オリンピックまで怪我なく育って欲しい選手です。
まだチェックしてませんが、ダンスやペアの放送もありますよね?
そちらも楽しみしたいと思います。
おのさま
紀平さんを語る上で、羽生君を引き合いに出すのは、べつに贔屓目でも何でもなく、弱点らしい弱点がなくて、しかも大技も跳べるので、本当に規格外の選手だと思います。
「月の光」は、曲調とは対照的に、実はけっこうつなぎが激しくて、スケーティングの軌道にも予想外の動きがあり、よくここまで詰め込んでいるなぁ・・・と。プログラムの難易度という部分では、宮原さんに負けてないと思います。
紀平さん、しっかりしてますね。今やるべきことは何かをちゃんとわきまえていて、感心します。
羽生選手のような「すごい嬉しさ」とは、もちろんオリンピックメダルを指しているはずで、静かに闘志を燃やして長いスパンで考えている様子が見られて頼もしいです。
いよいよSP、知子ちゃん、舞依ちゃん共々いい演技が出来ますように。
ととちゃん さま
SPの3Aは残念でしたが、演技後のインタを聞いていると、しっかり本人も原因を分析できているようで、「フリーは決めてやるぞ!」という意気込みを感じました。
SP直後の奥歯を噛み締めた表情に、彼女の意志の強さがにじみ出ていました。そうじゃなきゃ、この若さでここまでの演技はできないですよね。フリーに期待しましょう。
こんにちは
月の光美しい演技で魅入りました。
柔らかでいてメリハリがありますね。
フリーも素晴らしくて良かったです。
将来的にロシア勢に迫っていけそうな感じですね。
まずは3Aの精度を上げる事や色んな事を未来を見越して計画的に冷静に判断しつつ無理をせず頑張ってるんだなって感じられました。
頼もしいですね。
さあ、今日はゆったりとスケートを楽しみましょうね。
マリィさま
そうなんですよ!今日のSPの演技を見ていても、曲調に沿った「柔らかさ」だけでなく、まさに「メリハリ」という部分に、彼女の運動能力の高さを改めて感じました。
フリーも良いプログラムですが、本人はもう「やるしかない!」という感じで、ぶつかっていくんじゃないでしょうか。ノーミスしたら昨年の全日本以上の凄まじいスコアが出るかもしれませんね。