2024年10月15日発売。定価「880円」。
こちらの雑誌、おそらくこれまで買ったことは無いのですが、「美しい建築と窓。」というテーマを徹底的に深堀りして、硬派で良い企画だなぁ・・・と感じました。ネットのこたつ記事やら地上波のワイドショーらの軽薄なゴリ推しが目に余る昨今、ページをめくっているだけでも心洗われますよ。
羽生さんの企画は56~65頁の計10ページなんですが、最初、63頁で終わりかと思ってそのままめくっていたんですが、一冊すべてめくり終えた後に羽生さんの所に再び戻ると、1枚多くめくっていたことに気づき、そこでようやく64ページのインタビューを読み始めた次第です。
で、こちらのインタ、すごく斬新で良い出来です。特にトロント時代の住居が「ビルの高層階」だったというのは初出情報ではないでしょうか?お母様と二人暮らしということ以外、完全にベールに包まれていたわけで、いまだから明かせたということでしょう。ヨーロッパ遠征時の「飛行機から見た窓の景色」の話もとても興味深く、こういうエピソードは、ANAの「翼の王国」やP&Gの「マイレピ」でも見た記憶がありません。おそらく、「BRUTUS」の編集者から「企画」は事前に知らされていたのでしょうが、何を話すか事前に準備していたことは確実ですね。メンシプらじおでも話す内容をノートにまとめているってことでしたし、その辺りは抜かりのない人ですから。
そんな中、インタを読んでいて思わず身を乗り出したのが、以下の部分でした。
人間って自分も含めすごく自分勝手で面白いものだと思っていて、社会の一員でありたいと願うこともあれば、孤独に籠りたい時もあるんですよね。
例えば私の場合、「時間の使い方や読む本」について考えた時に、「べつにこれから人脈を広げたり、誰かと話題を共有しなきゃいけない歳でもないしなぁ」と、「あれはやめよう」「これはやめよう」と取捨選択することがあるんですよ。例えば、経済学に興味が出てきて、でもそれを勉強したところで、「誰とそれを語るの?」「そもそも偉い先生の学説に基づく政策がこの国で実行されるの?」「じゃあ無駄じゃん?」みたいな、まさにこれこそ私の場合の「孤独に籠りたいモード」に切り替わっている瞬間なんですよね。
じゃあ、小説でも読むか、しかもとびっきり孤独な男たちの・・・ってことで、木内一裕さんの作品を読んでいると、社会の裏街道で歯ぁ食いしばって命張ってる男たちの生き様を見せられて、少しは自分も頑張らないとな!誰かとこの感動を共有したいな!って「社会の一員モード」に切り替わってるんです。結局は、どっちも愛すべき自分の姿なので、どっちも受け入れるしか無いんですよね。
で、インタに話を戻すと、最後の最後に、チラっと「次なる展望」について質問する編集者さん、素晴らしいです。もちろん、Echoes of Lifeの話は一切出ないですが、充実した日々を過ごしていることを感じさせてくれました。
カードをコンプしようとするとアレですが、お写真の素晴らしさは言うまでもなく、インタビューの資料的価値も高いので、これは持っておいて損の無い一冊だと思います。
では、また明日!
Jun