バラ1とSEIMEIだって?

バラ1とSEIMEIだって?

羽生さんの「ISUのbio」を見ると、たしかに突如こんなことになっていて、ハッキングでも受けたのか?とか、壮大な釣りか?とか、いろいろ考えてしまいました。「デイリースポーツ」が土曜夜にいち早く反応していましたね。

「プログラムを戻す」という話は、かつて、16-17シーズンで4CC~ワールドにかけて出ていたことが思い出されます。ジュエルズのVol.06(22頁)にその話がチョロっと出ていますが、でもあの時は、「ホプレガ→SEIMEI」だけの話だったんですよね。それが今回は両方ですか・・・。

まぁ、「Otonal→バラ1」ということで言うと、両プロともに4回転はサルコウとトウループのみで、17-18シーズンのバラ1では後半の4T-3Tを問題なく降りていたことを考えると、「スコアを出すということで言えば、バラ1でノーミスした方が確実に高得点を出せる」と言えるんですよね。そして、全日本のSP後のインタでも、羽生さんは4T-3Tを後半で跳ぶことに並々ならぬ拘りを語っていて、あのジャンプの配置転換は「必要悪」という印象を受けました。

そう考えると、全日本の後、おそらく年明けにチームで相談して「バラ1にしたら?」という話になり、実際にランスルーをしたら上手く行った、という可能性はありそうです。ノーミスしたらOtonalでもバラ1並みのスコアは出せると思うんですが、「4S 3A/4T-3T」をノーミスできる確率では、バラ1の方が安定してるのかもしれません。

そして、SEIMEIです。17-18シーズンは、オータム、ロステレ、平昌五輪の3試合に出場していて、オータムは足の状態が万全ではなく構成を落とし、ロステレでは冒頭に4Lzを入れて成功していました。N杯での怪我を乗り越えて平昌五輪に間に合わせたものの、フリーの構成は、当初予定していたMAXの構成ではなく、サルコウとトウループのみでした。

昨季・今季とOriginを滑って、そこに来て、昨年12月のトリノGPFでの4Lzと4Loの成功。「クワド4種構成を、SEIMEIでランスルーしたら上手くいった」ということでしょうか?

しかし、とは言え、羽生さん自身は、ジョニーとプルさんへのリスペクトを語った上で両プロを持ち越ししたので、「バラ1とSEIMEI再び」というアイデアが、羽生さんから出てくるとは、ちょっと考えにくい。こういうことを思いつくのは、戦略家のブライアンのような気がするんですよね・・・。

あえてこの言葉を使いますけど、「勝つためには手段を選ばず」とか「毒をもって毒を制す」じゃないですが、ISUが「内容スカスカのプロでもクワドを降りれば高得点を出す」というスタンスなら、こっちは「内容は濃密なままで、確実にノーミスできる滑り慣れたプロで勝負するよ!」と。

OtonalやOriginだからISUのジャッジもやりたい放題のsage採点をやってましたが、バラ1とSEIMEIなら、平昌五輪の採点を基準にせざるをえない。平昌五輪よりも構成を上げて、しかもノーミスできる自信があるから、「sage採点できるもんなら、やってみろよ!」とISUに問う戦略に討って出たのかもしれません。

まぁ、実際の所は分かりません。そして、数日後にはその意図する所も判明します。あくまでも、この「たった一枚の紙」と日本国内の報道を見た上での、私の個人的な印象です。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. おの より:

    ジャッジへの宣戦布告なんでしょうか?
    羽生くんへの数々の不当な点数出し
    メンタルを潰すような感じにも取れるやり方に、チーム羽生も何か思ってますよね
    正直びっくりしました
    origin Otonal 普通なら勝てるプロですよね、それを変えると言う事は、余程の事じゃないかな?
    傷ついてますよね
    でも、彼は前を向いてますから、四大陸では素晴らし演技を見せてくれると思います
    ワクワクしてきました

    • Jun より:

      おのさま

      「チーム羽生」の面々が本日現地に到着しましたが、「余程の事」が何なのか、いずれ明らかになることでしょう。

      まずは、バラ1とSEIMEIがどのようにブラッシュアップされたのか注目ですね。特にSEIMEIは30秒短くなりましたから。衣装も急遽「微調整」しているような気がしています。

  2. Fakefur より:

    早速の分析をありがとうございます。

    昨日からTwitterで激しい議論が交わされていて、ISUバイオのミスかもと思って一晩寝ても変わっていない・・・不安で不安で、Twitterでさらに不確定な情報を追いかけて回していましたので、データに基づいた見解を読んで、気持ちが落ち着いてきました。

    「旧採点で最高得点をたたきだした両プログラムをノーミスで滑ったら、貴方たちはどういう得点を出しますか?」という羽生さんのISUとジャッジへの問いかけというのがファンの見解の主流でした。他方、JUNさんが書かれているとおり、ジョニーとプルさんへのリスペクトゆえの持ち越し作品を、羽生さんが自分から簡単に下ろすとは思えないですよね。ブライアンの戦略では?という見解に膝を打ちました。

    験担ぎが好きな羽生さんですから、平昌五輪会場というロケーションも決断に影響があったのかなと思います。

    トリノでの練習を見ると、4Aを実戦投入するにはまだ早いと思いました。ゆえに来シーズンも羽生さんの競技プロが観れるとワクワクしていたのですが、今度のワールドの結果次第で何かが起きるかもしれない、とぼんやりした不安が襲ってきます。

    4Lzと4Loが入ったSEIMEIは、すごく楽しみです。
    しかし10年ぶりのSOIといい、伏線が多すぎて、早く羽生さん本人の口から聞きたいですね。(戦略上、ワールドの後になるとは思うのですが。)いや、聞きたくないかも。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      ISUのBioの件は、羽生さん本人も驚いていましたね。「ちょっとはえーよ!」的な心境だったのでしょうか。

      今回のフリーに4Loは入らないようですが、予定構成表において、前半に単発の3Aがある所がやはり注目です。ジャンプとしては3本目ですが、もし4Aを入れるとしてもあの3本目の位置ということなんでしょうか?その辺り、記者は絶対に質問してほしいですね。

  3. みつばち より:

    こんにちは 更新ありがとうございます

    Jun様のおっしゃることもっともです。

    ISUもまさか五輪二連覇のあと、引退も休息もせずに試合に出続ける、それも高いレベルで、という選手がいままでいなかったからどう対応したらよいのかわからなくて悪手ばかりになったんでしょう。特別扱いしてくれ、といってるわけじゃないんです。ただ普通に採点してくれと言ってるのに、それができない不思議・・・・

    なんちゃらアワードはうさんくさいけど、「羽生選手には現役を出来る限り続けてほしい」というグレイヘンガウス氏は勝手だけど正直ですね。

    この羽生さんとチームクリケットの投げつけた手袋にISUがどう答えるか楽しみです。
    体調万全なら誰にも負けない、そもそもISUの手札は下駄はかせ過ぎなんですよ、残念ながら。
    みえみえのバックヤードがお粗末すぎると人気も後退します。

    • Jun より:

      みつばちさま

      世の中にはおかしなスポーツ団体っていろいろあって、世界戦で体重超過を繰り返すネリというメキシコのボクサーを世界ランキングに復活させたWBAとか、ダメダメな監督を続投させている日本サッカー協会とか・・・。

      フィギュアスケート界がマシとは思わないけど、とにもかくにも、我々ファンのできることは、真面目に頑張っている選手を応援することかなと思っています(もちろん全員応援系の方々の言う「応援」とは違う意味ですが)。