ABEMA将棋チャンネルでの放送は「こちら」。棋士編入試験の詳細については「こちら」。
将棋ファン大注目の1日。西山朋佳女流三冠は、この柵木幹太四段戦に勝てば、将棋の世界において歴史上初の女性プロ棋士となります。
まず、基本事項を確認しておくと、「プロ棋士(男女の区別なし)」と「女流棋士(女性のみ)」は違います。「女流棋士」というのは1974年にできた制度で、女性の将棋人口・競技人口を増やすために別枠で設けられました。というのも、プロ棋士になるための現行の制度はあまりにも過酷かつ狭き門で、「奨励会」というプロ棋士養成機関に所属し、その最高位の三段リーグを26歳までに突破しないといけません(*その後、奨励会退会後、プロ棋士相手に好成績を収めた人が「棋士編入試験」の受験資格を得ることができるようになりました)。これまで女性で三段リーグまで上がれた人がこれまで3名しかいません。福間香奈女流五冠、西山女流三冠、そして中七海女流三段です。福間さんは以前棋士編入試験を受験しましたが、0勝3敗で失敗。中さんはまさに26歳の年齢制限により昨年秋に奨励会を退会し、女流棋士に転向しました。すでに2戦2勝で、勝ちっぷりも見事で「このまま29連勝するのでは?」なんて囁かれているほどです。そして、現在奨励会に在籍している女性は竹内優月さん一人しかおらず、しかもまだ6級なので道のりは長いのです・・・。
そもそもの話、西山さんはかつて奨励会三段リーグで14勝4敗の好成績を上げながら惜しくもプロ入りが叶わなかったという、その時にプロになっていてもおかしくない実力者です。その4敗のうち3敗を喫した相手はプロ棋士になっていますし、あの藤井聡太さんも13勝5敗でプロ入りしていますから、不運としか言いようがなかったのです。ちなみに、西山さんと同じく14勝4敗ながら順位の差で四段に昇段したのが、先日の朝日杯で藤井七冠に快勝した服部慎一郎六段でした。
まぁ、過去の話はそれぐらいにしておいて、この勝負、西山さんに勝算があるのかどうか?まず、両者の対戦成績ですが、公式戦の対局はゼロ。ただ、三段リーグ時代は西山さんの0勝5敗と苦手としていたようです。
柵木四段の2024年度の成績は「11勝10敗」で、プロ入り後めちゃくちゃ勝ちまくっているわけでもないので、この関門はぜひ超えてほしいかなと思います。
先後はすでに決まっていて、先手は柵木四段で、後手は西山女流三冠。柵木さんは居飛車党で、西山さんは振り飛車党なので、居飛車対振り飛車の「対抗型」になることは確実。おそらく西山さんは得意の三間飛車を採用すると思いますが、後手番で不利になる戦型でもないので、この「相棒」とともに心中という所でしょう。
個人的に、もはや八冠を達成してしまった藤井聡太さんのどの対局と比べても、本局は「痺れる一局」になるかなと思います。人生懸かってますからね。西山さん頑張れ!
では、また明日!
Jun