Ice Time Podcast（ジェイソンインタ・その1）

「ユヅは鬼軍曹（drill sergeant）」という部分はけっこうネットで広まっていますが（19:30辺りに羽生君の話が出てきます。）、他にどんなことを話しているのかな？と興味があったので聞いてみました。個人的に面白かった部分をメモとして残しておきます。

・クリケットに移籍した理由について。4年後の北京五輪を考えたときに、自分には「新しい変化」が必要で、クワドも跳べるようになりたい（※4年で引退すると決めてはいないが、そうなる可能性もあると考えている様子）。 もともとクリケット一本というわけではなく、複数のクラブを調べていたが、「トレーシーとの相性の良さを感じた」とのこと。

・クリケットに1週間滑りに行った際、いわゆる「トライアル」ではなく、（少なくともクリケット側は）ジェイソンへの短期レッスンのような感じだった。で、ジェイソンがトレーシーにメールして「移籍したい」と伝えると、トレーシー主導で話が進んだとのこと。

・羽生君の練習態度の「描写」については、さすが毎日傍らで見ているだけあって、臨場感があります。「氷に入ったら2分でクワドを跳ぶ」とか、「クワドを跳んだら、15分ぐらい氷を離れてコーチと話し合って分析もする。それを何度も何度もやる」等々。現役選手でチームメイトのスケーターが、羽生君の練習の様子をこのように語るのは、もしかしたら初めてじゃないですかね？ものすごく貴重な内容だと思います。

・ジャックさんが「ユヅがいるからクリケットを選んだのか？」と質問しているんですが、「彼がクリケットに居続けるかどうか分からなかったから、それは違う」と答えていますね。考えてみると、ジェイソンは、昨年の全米選手権後の1月辺りからチームを探していたはずで、そもそも平昌五輪が始まる前ですし、ハビもいましたからね。ここでも「トレーシーとの相性」を力説していて、まずそこが大きかったようです。

・全体練習のスケジュール、しかも毎日必ずおこなうセッションの時刻（11:45～と、2:00～2:50）まで語ってくれて、いやぁ、リアルです。こういう話って、羽生君はしないですし、雑誌のインタでも明かされることがないので、これまで謎に包まれていました。

・「4Sは毎日着氷していて、安定してきている」。ただ、確率云々の話よりも、クワドを習得するための練習過程の話が面白いです。シーズン前は4Sと4Tを練習していたが、これまで跳べていた他のジャンプに悪影響が出てきたので、4Sのみに留めている。興味深いのは、ジェイソン自身はサルコウはあまり得意ではなく、それほどたくさん練習したジャンプではなかったが、「サルコウにクセがついていないから、彼ら（クリケットのコーチ）は『サルコウの技術を作りやすい』と考えて、練習させた」という部分です。「得意なジャンプから順番に4回転に取り組ませるわけじゃない」というのは目から鱗です。

いったん、ここで切りましょう。このジャックさんのシリーズは、日本のフィギュアスケート業界特有の「忖度」とは無縁なので、人選も内容も偏りがなくて、中身のある話を引き出せています。今後このタイプの情報発信が増えてくると、ますますフィギュアスケート専門誌の存在意義が無くなってくるなぁと感じます。

では、また明日！

Jun