JGPラトビア(男子フリー)感想

JGPラトビア(男子フリー)感想

リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。

三浦君。フリーは125.56の5位。合計185.50の8位。冒頭の4Sはパンク。しかし、つづく4Tの着氷姿勢の美しいこと!ショートの3Aもスパっと決めて、その身体能力の高さを証明してくれましたが、この4Tは、着氷姿勢だけを切り取れば、ハビとか羽生君とか、クリケットのレジェンドスケーターのような安定したポージングです(GOE+1.36)。単発の3Aは着氷でややこらえたものの、つぎの3A-2Tはアクセルがシングルに抜けます。この後のスピン2種がいずれもカウンターではレベル2で「またか・・・」という感じでしたが、いやいや、プロトコルではフライングキャメルスピンはレベル1になってます。ラストのコンビネーションスピンはレベル4を取れているので、スピンの修正は急務ですね。

日本の女子選手を見ていれば分かりますが、スピンはジャンプのセンスが無くても努力さえすればレベル4を取れるエレメンツなんだから、しっかり練習しなさい!

後半のジャンプは次々と軽やかに決めて、さすがのポテンシャルを見せています。ジャンプだけに限れば、鍵山君&駿君に負けていない、センスの塊のようなスケーター。その才能を腐らせないでほしいものです。

次戦は、第7戦「イタリア大会」にアサイン。スピンを修正するだけでもスコアは伸ばせると思います。成長した姿を楽しみに待っていますよ!

ジョセフ君。フリーは115.63の8位。合計189.72の6位。ベートーベンの「皇帝」ですね。YouTubeでも辻井さんの映像がすぐにヒットしますが、誰もが知っている超有名曲です。

冒頭の4T-2Tですが、たしかに4回転の着氷はこらえ気味でしたが、身体は高く浮いていただけに、これにURがつくのは若干厳しいような気がします。本来ジャンプの得意な選手(とくに3A)なんですが、ここから苦労しましたね。多くのジャンプで着氷時にことごとく足が滑っているように見えました。 スピンもレベルを落としたり、フリップにはエラーがついています。

クリケットに移籍して2年目。18歳ですが、ジュニア残留を選んだ彼。しかし、なかなか厳しい。カナダの男子シングルスケーターは、あのゴゴレフ君ですら苦労しているし、シニアもナム君があんな感じで、いちばん戦えているのはベテランのキーガンというのが・・・。環境は整っているんですけどね。

サムソノフ。フリーは139.34の3位。合計211.62の3位。冒頭からの、3A、4Lzともに転倒。ルッツには当然ながら回転不足。まだまだ、国際大会の場で確実に高難度ジャンプを決めきるような実力はないようです。

しかし、女子の「ザ・BGMプロ」の繰り返しになりますけど、楽曲無視プロの極みですね。ジョシュ・グローバンの力強い大人の男のヴォーカルをバックに、3Lz-3Loをピョコピョコ跳ばせますかね?何がいいのかさっぱり謎の「なんちゃってイナバウワー」も入れるなよ!と。ジョシュ・グローバンといえば、須本君の「ミ・マンケライ」(奈々美先生振付)とか、山本君の「アンセム」(明子さん振付)とか、いま思い出すだけでも胸に迫るような素晴らしいプログラムを知っているだけに、これはもう楽曲に対する冒涜ですよ。

これまでのエテリ組のプロって、いわゆる「暗い系」の映画音楽を多様していて、「もうお腹いっぱい」という感じだったんですが、あ・の・ね、曲だけ入れ替えればいいってわけじゃないですから!もう、スケオタとしてちょっと看過できないレベルになっています。

韓国のイ・シヒョン。フリーは141.01の2位。合計218.31で2位。4回転は入れてないですが、2位になっちゃいましたよ!ISUのバイオを見ると、185cmと表記されています。シニア含めても、男子でもっとも長身のシングルスケーターではないですか?

今年12月で19歳になるのでジュニア生活の長い選手ですが、タケノコ付きのジャンプでも回転が速くてよくコントロールされています。一つひとつのエレメンツを丁寧にこなして、実直でマジメなスケートをするなぁと感心しました。韓国の男子はジュンファン君の「一人旅状態」ですから、ぜひ彼にも世界の戦いに加われるように頑張ってもらいたいです。

モザリョフ。フリーは145.30の1位。合計223.72で優勝。今大会の優勝の本命と見ていましたが、ミスがある中でもしっかり勝ちきりましたね。

4Tを2本、3Aを2本組み込んだプロですが、いいジャンプもあるんだけど、ピリっとしません。それでもPCS(73.92)は駿君(70.02)よりも高く出ています。ちなみに、鍵山君は「75.58」でした。

ロシアの男子ジュニアには、小柄で技術の高い選手が固まっているんですが、モザリョフは、すべてを器用にこなすダニエリャンとも、中性的な所作のグメンニクとも似ておらず、独特のねっとりした動きで個性を見せてくれるなぁと感じます。

さて、こちらで触れておきますが、フィギュアスケートTVを見ていて、先に関西の「げんさんサマーカップ」、その後に関東の「サマートロフィー」が紹介されていました。関西のシニアの先輩たちが4回転や3Aで苦労している一方で、関東の鍵山君&駿君は「成功して当たり前」という感じで降りてましたね。

もしかりに、鍵山君&駿君が、今季JGPファイナル&世界ジュニアで台乗りに近い成績を残したら、来季シニアに昇格してもいいと思うんですよね。上の先輩たちを一気にゴボウ抜きする可能性だってあります。もちろん、全日本は「採点の壁」がありますが、GPシリーズで結果を出せばいいわけで、本当に楽しみな二人です。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ごろ寝 より:

    世界レベルでも男子選手の競技人口は少ないのでしょうか?または減少に歯止めがかからないのか、目を惹く選手が見当たらない。
    スケートファンは、純粋にスケート鑑賞自体が好きなのでしょうか。

    二人ブライアンの頃から、ヤグプルを見て、羽生さん登場でルールや技をそれなりに勉強した熱意が消えかけています。「村」の薄汚さが影響しているのかもしれません。JUNさんの動画を見させていただいて思うのは、現地で映像で見たいという刺激が感じられない自分の虚脱感。スポーツであり、美にも触れることができる、選手が出てくるでしょうか。
    JUNさん激賞の演技の登場を、緩~く待っています。

    • Jun より:

      ごろ寝さま

      駿君と鍵山君は見てあげてください。彼らと羽生君の間にいる先輩たちを一気に抜くポテンシャルがあるので、冗談でも何でもなく、この3人が北京五輪の代表になるかもしれないですよ。

      それよりも女子が深刻ですね。紀平さん以外は、ジャンプ構成は頭打ち状態で、いまの力を維持するだけで精一杯。それこそ、北京は紀平さんしかメダル争いに絡めなくなる予感があります。

  2. ととちゃん より:

    佳生くん、クワド1本決められましたね。冒頭のサルコーは力が入り過ぎたんでしょうか。スピンが相変わらずなので、よほど苦手なのかと。佐藤コーチにしっかり指導を仰いで欲しいですね。私が気になったのは、上半身、特に腕から先の動きです。まだ滑り込めていないせいもあるのでしょうが、ここではこう腕を伸ばして、と確認しながらポージングしているように見えるので、もう少し自然に出来ればな、と思いました。

    動画を見られない環境のため、他の選手は未視聴なのですが、junさんの解説が歯に衣着せず、ますます面白く(特にサムソノフくんの項)なってきているので、早く見たい気持ちでいっぱいです。

    ところで、駿くん4Lz成功させましたね。その後3Lzに苦戦し出したのがご愛嬌ですが、
    彼、クリケットに来ないかなと、願望込みで見ています。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      三浦君は、SPと比べると、まだフリーは「手探り感」があるなぁという印象でした。フリーは衣装が「かわいらしい」デザインなので、個人的に、そこも若干「子どもっぽさ」を感じた部分ではありました。ただ、振付担当の佐籐操先生の指導によって、ブラッシュアップされると思います。

      駿君、鍵山君、三浦君と、操先生が振付しているんですが、選曲も振付もまったく似た感じにならないのは、ロシアの某チームがあんな感じなのを見ると、さすがの手腕だなぁと感心しきりです。

  3. sennin より:

    先ずは三浦くんですが最後のスピンレベル4取りました。よく頑張った!フィギュアスケートTVや現地の公開練習の4回転みてもやっぱりジャンプがすべて綺麗ですね?試合では4S失敗でしたが決まると素晴らしいです。こじんまりしていないところが良いですね。
    三浦くんは良い雰囲気をノービスの頃から感じると思っていて雰囲気としか表現出来なかったのですが、練習風景を繰り返しみていて腕や指を動かす時に追う視線が綺麗なんだと発見しました。これはノービスからなんか違っていたのだからこの選手の才能でしょうか?日本のジュニア男子では珍しいです。スピンは本人も鍛えないとと言ってますね。信夫先生も指導するでしょうね。次戦はイタリアだと思っていたんですが三浦くんのツイでは次は関東ブロックと言ってますがどうなるんでしょうか?

    ヘ.シヒョンは芸術的でSPも綺麗でしたね〜。演技終了後も感極まった感じでこちらもグッときました。

    練習では駿くんは4種類の4回転、鍵山くん、三浦くんも前進しています。怪我をしていて演技が見れないですが壷井君が4回転成功すると高得点出るでしょう。みんな怪我なく順調にいったら世界ジュニアの前に全日本で二人が台乗りだってあるかも?二人ともSPに4回転入れてくるでしょうから。来年はそりゃあシニア昇格ですよね〜。これ妄想ではないかも知れません。

    • Jun より:

      senninさま

      ここまでの3試合を見てきて、鍵山君&駿君と比べると、三浦君は大きく差をつけられましたが、ここで「練習したくて仕方ない!」という羽生さんのようなギラギラした闘争心を持ち合わせているかどうか。せっかくいいライバルがいるので、ここで奮起できるかどうかですね。

      FSTVを見ていて感じましたが、これはもう、シニア勢もうかうかしてられませんよね。特に、友野君、山本君、島田君、「自分たちの方が格上」と思っていると、一気に全日本でやられかねませんよ。GPシリーズでしっかり結果を残して、ぜひアピールしてほしいです。

  4. Fakefur より:

    確かに、佳生君を見ていると、野球やサッカーなどのメジャースポーツでもそこそこ成功しそうな優れた身体能力を感じますね。

    骨格同様にジャンプセンスは天賦のもので、努力だけでは手に入れられない才能に彼は恵まれているので、努力で身につく(と言われている)スピンは是非頑張って欲しい。

    彼の持つ野生味や闘争心は、鍵山君や駿君のものとは違うので(それこそジュベさんやアダムに通じるものがある)、個性をのびのび伸ばして開花して欲しいと思います。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      鍵山君、駿君、三浦君、見事にキャラが立っていて、スケートのスタイルもけっこう違うので、見ていて微笑ましいですよね。

      しかし、3人の振付を佐藤操先生が一手に引き受けているにも関わらず、そういう違った印象を残すのだから、先生はスケーターの個性を引き出すのが本当に上手なんだと思います。

      スピンを特訓して、成長した三浦君を次戦で見られるのを楽しみにしています。