『奇跡なんて、起きない。』(2)

『奇跡なんて、起きない。』(2)

さて、第2章です。目次にもあるように、15年長野・N杯の「322.40」の衝撃が、本章での中心となります。この大会、優勝は羽生さん、2位・ボーヤン、3位・無良君という順位でした。

第2章をあらかじめ前の日に読んでおいて、翌日の夜に、動画を見ながら記事を書こうと思ったんですが、この「バラ1」をいま改めて見てみて、いろんな「気づき」があったので、本の詳しい内容と「SEIMEI」は明日にまわしたいと思います。

いま、このSPを見ると、実に興味深いです。「106.33」のスコアが出ているんですが、いまの羽生さんの4Sに比べて、高さは出てないし着氷もけっこう危なかったんですね。GOE+1.00です。そして、4Sの次のジャンプは、4T-3T。そうです、昨年末の全日本の「新Otonal」のジャンプ順と同じことに気づきました。もちろん、バルセロナのファイナルのバラ1(110.95)もこの順番です。

ご存じのように、平昌五輪のシーズンでは「4S 3A/4T-3T」と、3Aと4T-3Tを入れ替えます。これを、昨シーズンのOtonalでも踏襲するんですが、それを全日本では「戻す」形になりました。

全日本のOtonalで4T-3Tを前半に配置したことは、「妥協」というか「後ろ向き」に語られることも多いんですが、いやいや、当時の前人未到の世界記録を打ち立てた15-16シーズンのSPに「原点回帰」したという意見が出てもいいんじゃないかと。

さて、スコアアシートをご覧になると分かるように、このシーズンではジャッジの「匿名性」が維持されていました。右端から2つ目の「sage採点」はアメリカかカナダかと思いますが、今このクオリティの演技に8点台を3つも並べようものなら、ジャッジの顔写真がTwitterやYouTubeで世界中に拡散されまくることでしょう。その意味では、悪質ジャッジの蛮行が白日の下に晒されることになったのは、「微々たる進歩」と言えるのかもしれません。

なぜNHKのインタビューを入れたかというと、本書では、「※ミックスゾーンに登場した羽生はまずペン記者のエリアに向かったが、慣例ではテレビ向けの会見が先。それに気づくと、羽生は照れ笑いを浮かべながらテレビ用のエリアに移動する」と注釈が入っていて、実は、このインタビューは本書の中で文字化されていないのです。一部、文字起こししてみました。

――あの、前のグループで、中国の金選手が95点台、高い得点を出しましたけれども、その辺の意識はありました?

いや、もう、あの、普通は「意識するな」と言われるところなんですけれども。あの、まあ、第1グループの最終滑走(*ボーヤン6番滑走、羽生さん12番滑走)だったんで、まあ、必然的に見えましたし。「もう絶対抜かしてやるぞ!」「見てろよ!」って思いながらやってました。

このインタビューをご紹介できたのは「フィギュアスケートYouTube動画Blog」さんのお陰です。ありがとうございました。

もちろん、この後のペン記者による取材の中でも、ボーヤンのスコアの件を再度質問されていて、羽生さんも答えてはいるんですが、もう少しマイルドな内容になっています。でも、演技直後の高揚した状態でのテレビ報道用のインタも、羽生結弦を語る上で欠かせないよなあ・・・と、これまた今回の発見でした。とはいえ、もちろん、山口さんの仕事に対しては、心よりリスペクトいたします。

ここ最近は男子も女子も、しょーもないルッツばかり見させられている中、本当に爽快感のあるジャンプです。「4Lz-3T 3A/4T」という構成ですが、いまや、サマリンとかエイモズに96~98点出しているわけで、いまこの構成をノーミスする選手がいたら、100点以上出さないと、ネットで大騒ぎになっていますよ。ボーヤンに対する採点もあまりに不当と言わなければいけません。

やはり、男子のレベルが一番高かったのは、「羽生さん、ハビ、Pさんが男子を引っ張って、ボーヤンが出てきた、15-16シーズン、16-17シーズン」辺りだなぁと、改めて感じました。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. 雪女 より:

    こんにちは! 2度目のコメントです。

    懐かしいですね。2015年、カナダ杯でSPのジャンプにミスがでて・・・なのにNHK杯では4回転を2本入れてくる、と報道があったのでびっくり。マイナス思考の私は「え~無謀!」とヤキモキしてました。
    ボーヤンが高得点を出したのを知って、にやりとしたんですよね。いかにも「見てろよ!」って顔で。今でも時々当時の映像を見ます。バックで、吸入器?を使ってるシーンとかもありました。大分カットしてしまったけど、ボーヤン、無良さん、羽生さんの演技は残してあります。無良さんの演技では「黒い瞳」が一番好きでした。
    「奇跡なんて、起きない」の第2章で気になったのは、ジャンプの構成を変えた時、「ブライアン、トレーシーと相談して、その前に家族とも相談してる」という箇所です。家族、つまりお母さまでしょうか。こういうスケートの技術的な事も相談されるんですね。去年のGPファイナルの公開練習の時も、客席のお母さまに向かって、これから4回転ルッツをやるって合図してる動画がありましたし、お母さまはマネージャーでもありコーチ(というより相談者?)でもあるんですね。

    ところで、こちらにお邪魔するきっかけになった「通信」ですが、13だけ高値安定で買えません。何故これだけばか高いのでしょうか?

    • Jun より:

      雪女さま

      私よりもはるかに深い考察をされていて、感心しきりです。

      15-16シーズンといえば、スケカナでPさんに負けた後の「血の滲むようなトレーニング」によって、N杯とファイナルでの大記録に至るわけですが、そもそも、そのスケカナの前からリスフラン関節を痛めていた(ジュエルズVol.4)というのが後々明らかになっているので、だからこそ「家族との相談」という言葉が含まれていたのかな?と。記者相手に怪我の詳細は隠せますけど、だからこそ、その時期はお母さんの存在が支えになっていたのではないか?と。あくまでも、私の想像です。

      通信13号をアマゾンで見ていますが、たしかにすごい値段になっていますね。ソチ五輪で金メダルを獲って以降、国内での各種イベントでの様子から、中国杯(頭に包帯を巻いた写真アリ)を経て、15年4月の代々木国別まで含まれています。93ページまでは羽生さんの写真ですが、94~113頁はザ・アイスとPIWなので、羽生さんはまったく登場しません。なぜここまで高額になっているのか理解できないですね。

  2. ととちゃん より:

    そう、良かったですよね、「羽生、ハビ、パトさん」の時代…。プログラムを表現する中でジャンプを跳んでいて、作品として見応えがありました。スケーティングに難ありが多数を占める今では懐かしささえ覚えます。

    また、逸脱したジャッジが、今ほど俎上に上がらなかったのは、数が少なく、影響も余りなかったからでしょうか。観客が納得出来る得点で、勝敗をストレスなく受け止められるジャッジングが如何に大切か、を改めて思います。

    ボーヤンのルッツは当時から素晴らしいですね。あの頃よりSSもTRも改善されている現在、今シーズン後半戦こそ、是非頑張って貰いたいです。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      15-16シーズンの頃は、みんながそこまで細かくプロトコルを見る習慣はなく、動画編集ソフトやアップロード手段も整っていなかったので、今ほど誤審が共有されることは無かったのかなという気がします。

      おっしゃるように、ボーヤンはスケーティングは今の方がはるかに良くなっていますから、ジャンプの安定感が戻ってくれば、メダル争いに確実に食い込むはず。奮起を期待したいものです。