Number 1019(1)

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前回の記事」の続きです。今回は、羽生さんのプログラムに関わった、ジェフ、シェイ、矢野さんのインタについて、コメントします。

新プログラムの制作の経緯について、ようやく全体像が分かってきました。SPのLMEYは、この曲に決まる前の「ピアノ曲を探していた時期」が20年ワールド前で、実際に曲が決まってリモート振付を開始したのは7月から。

FSの天と地とは、羽生さんからシェイに振付の依頼が来たのが4月で、実際にリモート振付を始めたのは6月頃。選曲は羽生さん自身で決めていたとのこと。フリーの方が作業自体は早かったんですね。

興味深いのは、矢野さんに楽曲編集の依頼が来たタイミングが、両者ではっきり違う点ですよね。「天と地と」の方は、シェイとのリモート振付が始まる前の、5月とありました。LMEYの編曲依頼は10月で、すでに羽生さんの練習動画まで出来上がった状態でした。

ちょうどコロナ禍のなか、曲の持ち越しをする選手も多いシーズンオフでしたから、羽生選手から連絡が来た時に『しっかり前を向いているんだな』と嬉しくなりました。曲を聴いてみると『ああ、羽生結弦の演技する部分がいっぱい見える』というのが第一印象でした。

そういえば、昨年の4月15日に発売された「Ice Jewels Vol.12」の中で、羽生さんは「新しいプログラムにしたい」と語っていて、その取材の時点ですでにジェフと選曲について話し合いをしていた可能性があります。そして、おそらく、SOIやFaOIが延期になって、「両方新プロを作るぞ!」と、羽生さんの中で一気に創作意欲が湧いたのかなと。当時、まったく故障を抱えていなかったことも大きかったのだろうなと思います。

羽生さんと、ジェフ&シェイとの関わり方の違いが面白いですよね。ジェフがネットに不慣れで、ジェフは選曲面でイニシアティブを取って、模範振付動画を送った後、羽生さんに基本的にはお任せ。他方で、シェイは、選曲は羽生さんですが、その後、彼女自身も上杉謙信公について勉強して、その理解を羽生さんと共有するまでに至っている。正直、日本人の振付師だったとしても、謙信公の精神性についてそこまで一緒になって勉強してくれるかな?と思うし、彼女の勤勉さには感心させられます。彼女も今や売れっ子なので、プログラムの当たり外れはあるんですが、こういう仕事ぶりを見ると、やはり彼女は世界一の振付師だなと改めて思いました。

そして、矢野さんの貢献が本当に大きいですよね。もはや「チーム羽生」の一員として欠くことのできない存在で、このコロナ禍で存在感がより増しているように思います。羽生さんがプロに転向して、セルフコレオでショープロを作るとしても、彼の編曲が無ければ成立しないんじゃないかとさえ思えます。矢野さんのインタは、それこそ、LMEYと天と地との「ガイドブック」のような役割になっていて、楽曲に込めた「意図」を秒刻みで解説してくださっているので、これでまた全日本の映像を何度も見直す楽しみが増えました。

ジェフ&シェイのインタは田村明子さん、矢野さんへのインタは野口美惠さんと、老舗ライターの二人ですが、今回の彼女たちの仕事は認めないわけにはいきません。きわめて資料的価値の高い内容で、心より感謝したいと思います。

では、また明日!

Jun


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