こちらのレイアウトからも分かるように、12年ニースワールド、18年平昌五輪、20年全日本を、毎日新聞の当時のフィギュア担当記者が振り返るという内容です。五輪と全日本は、私自身知っている情報が大半だったんですけど、芳賀竜也記者が執筆したニースの方は、興味深いエピソードが紹介されていました。以下、取り上げてみます。
(羽生は)15歳で出場した10年世界ジュニア選手権(オランダ・ハーグ)を制し、女子で優勝した村上佳菜子さんとともに次代のホープと目された。だが、シニア1年目からグランプリ(GP)ファイナルで3位と活躍した村上さんに比べ、羽生のシニアデビューは華やかなものとは言えなかった。当時、フリーの演技時間はジュニアより30秒長く、演技後半のスタミナ不足は明らかだった。そうした事情もあり、羽生に対するフィギュア担当記者の注目度は決して高いとは言えなかった。
ある日、複数の選手が同じ部屋に招かれ、制限時間内であればどの選手にも自由に話を聞くことができる取材機会があった。記者は当然、当時のトップ選手の元へ集まり、私もその輪に加わった。ふと視線をずらすと、羽生がひとりぼっちで座っていた。私はトップ選手を囲む輪を離れ、羽生と1対1で話したが、残念なことに内容をほとんど覚えていない。恐らく世間話だったと思う。今ならかなり貴重な取材機会だっただろう。
こんな話、初めて知りました。確かに、かつての「Cutting Edge」や「フィギュアスケートDays」のバックナンバーを読んでみると、「羽生さんをこんなに長時間独占して、ずいぶん馴れ馴れしい質問もしとるねぇ~?」とビックリするんですが、当時の取材状況を想像するに、まだ表情にあどけなさの残る時代の羽生さんのそんな様子もイメージできそうです。
だが、羽生の将来性を的確に見抜いていた記者が、身近にいた。伊藤みどりさんが女子で世界初のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させた頃からフィギュアスケートを取材していた毎日新聞の専門編集委員だった富重圭以子さんだ。ある日、富重さんから「ソチ五輪では誰が金メダルを取ると思う?」と質問された。06年トリノ五輪では荒川静香さんが金メダルに輝いたものの、10年バンクーバー五輪では男女とも金メダルはなかった、という話の中で出た問いかけだった。
私は男女トップ選手の名前を挙げたが、富重さんは「私は羽生しかいないと思う。あの体形や技術、性格を持っていれば、必ず伸びる。ちゃんと取材しときなさいよ」と話した。実際、その通りになった。富重さんは18年2月に亡くなった。今でも天国で、羽生の活躍に心を躍らせていることだろう。
18年2月・・・。ここで特に言及が無いということは、富重さんは羽生さんの連覇を見られなかったのかもしれないですね。たしかに、ニースで3番に入ってからクリケットに移籍して、12-13シーズンから羽生さんはSPの記録を塗り替えたり、世界のトップ争いをしていたのは事実です。でも、「金メダル」というのは、福岡のファイナルでパトリックに勝ってからじゃないと、なかなか断言はできないと思うんですよね。でも、前述の問答は福岡よりも前に交わされたような気がします。
こんな素敵なエピソードを取り上げるなら、生前の富重さんの取材記を「復刻」してほしいですね。おそらく彼女は羽生さんを取材していると思うんですよ。身体や技術だけでなく、性格に触れているのは、直接会っているからこそじゃないですか?ググってみると彼女のコラムはいくつかヒットするんですが、有料記事なんでね・・・。毎日さん、ぜひぜひお願いします。
では、また明日!
Jun
コメント
富重さんのことは初めて知りました。イタリアのマッシさんもそうですが、早くから羽生さんを注目していた、先見の明のある方ですね。
私のオリンピックメダル予想は2連敗中です。ソチは、Pチャン金、羽生銀。羽生選手がショートで1位だけど、フリーでミスが出てチャン選手金予想。だいたい展開は合っていたんですが、まさかチャン選手がそれを上回るミスをするとは思いませんでした。
平昌は何と言ってもあの怪我の深刻さから考えて、羽生選手はメダルを取れたら凄い!と思っていたので、あの演技は衝撃でした。(あれが出来るスケーターって羽生さんかプルさんくらいじゃなかろうか)まさにぴょん落ちで、ほぼ全員応援系から今ではほぼオンリーファン。
私はネットでスケート関係を見るようになったのは平昌以降なので、それ以前を知らないんですが、スケオタさんたちの予想はどうだったんでしょう?
Junさんはどうでしたか?
雪女さま
私が、いまのWordpressの前身のlivedoorでブログを開設したのが2016年5月なんです。本格的に情報発信するようになったのはその頃からですが、うーんソチについては、羽生さんか町田さん、どっちかがメダル獲るんじゃない?という感じで私は見ていたかもしれません。
平昌については、出たら勝つだろうけど、11月の大怪我以降、情報が全く上がってこなかったので、欠場の可能性を心配していました。それでも府中の森の全日本は4日連続で行きましたが。