今月23日のスケ連理事会で「本決まり」らしいですが、まず覆ることは無いでしょう。というわけで、2018-2019シーズンの羽生君の初戦も、オータム・クラシック(9月20日~22日)となりそうです。
新プロについては、SP・フリーともに全く情報が出てきていませんし、せっかくなので、これまでの羽生君のオータムでの演技をすばやく振り返ってみようと思います。
まずは、2015年から。バラ1の初年度は14-15シーズンでしたが、14年は(12年・13年に続いて)フィンランディア杯にエントリーしていたものの腰痛のために欠場。あの中国杯が初戦でした。で、この2015年から、移動の負担を軽減するために、オータムを初戦にしたわけですね。
後述する17-18バージョン「バラ1」の記憶と照らし合わせるようにして見てみると、この時は、序盤はかなりゆったりとした進行だということが分かりました。3Aを降りた後、スピンに入ってようやくエンジンがかかり始める感がありますね。後半の4Tこそ着氷が乱れてURを取られていますが、ステップ・スピンすべてレベル4を取れてますし、かなり良かったのでは?と思います。
ところが、『チーム・ブライアン 300点伝説』(118頁)を見ると、日本の記者から「ミスは技術的なものか?精神的なものか?」と粘着されたとか。ブライアンは、このあたりの部分で、例の「パンケーキ」の話をしていますけど、今見てみると、ジャンプの質自体は悪くないし、「1枚目にしちゃ、相当おいしく焼けてるでしょ!」と感じます。
今見てみてどうです?初戦で、しかもSEIMEIは新プロでしたし、ここまで全体としてまとめられていたら、かなり好調なスタートに見えました。4回転をそんな初戦からビシバシとノーミスで降りまくる方がおかしいわけで、むしろ、2本目の3Aで多少乱れた部分の方が、羽生君にしては意外だなと。プロトコルを見てみて、なぜステップがレベル2なのか私には分かりません。
『300点伝説』には、この試合後、羽生君は後半のクワドの練習に「固執し、没頭していた」(120頁)と記述されています。さらに、次戦のスケカナでパトリックに負けて、SPにクワドを2本組み込むために「血の滲むような練習」に励むわけです。
この2015年というのは、300点を超えたNHK杯とファイナルのことばかり語られがちですが、今の視点でこのオータムの演技を見てみると、すでに初戦からけっこういいじゃん!というのが新たな発見でした。正直いって、今年のオータムでの羽生君は、新プロでここまでできるかどうか・・・。いや、求めちゃだめでしょ?と思います。
https://www.youtube.com/watch?v=I69JeIyij6U
2016年です。15年と比べて音量がかなり大きいのでご注意ください。さすがに、4Loの成功に会場はどよめいていましたが、4Sのシングルへの抜けは、いま見ても、ズコッ・・・と苦笑。
稔先生は「(4Lo成功の)喜びのあまり、つい1回転に・・・」とフォローしていましたが、あれだけの歓声が沸くと、興奮を引きずって乱れてしまうのも仕方ないのかなと。スピンでレベルの取りこぼしがあるのと、マルセイユのファイナル辺りと比べると、まだスピードが若干足りないようにも見えます。ちなみに、この7点台をつけている「J1」はオーストラリアです。ドサクサに紛れて・・・チッと思わず舌打ち。
なぜか、ブリアンとブライアンが距離を空けて見守っていましたね(笑)。当時の私は、まったく無関係の二人と思っていました。しかし、前半の4Loと4Sをバシっと降りて、SPから修正できてるんだなぁ・・・と感心していると、珍しく3Fから乱れていたんですね。
ケガのリハビリ空けで調整が遅れていたわけですし、明らかに終盤はガス欠気味で、これはしょうがないですよね。正直言って、今年のオータムの羽生君の仕上がりは、これぐらいのレベルになるんじゃないかな?と思っています。だから、4Lzも4Loも入れずに、クワドはできれば3本に留めて、しっかりフリーを滑り切ることを目標に、シーズン中に徐々に上げていけば十分ではないかと。
https://www.youtube.com/watch?v=l8UGfdZTSB4
そして、2017年です。しかし、いま見ても、驚異的な完成度ですね。まさかこの試合とロステレのみで、五輪を迎えることになるとは、当時私もまったく予想していなかったですけど、やっぱり、ここまでの「貯金」あってこそですね。
こうなると、これ以上のショートプログラムというものを、いったいどうやって作り上げていくのか。個人的には、新ルールのもとで、何をどう評価されるか不透明ですから、ジャンプを含めた技術的な部分は「据え置き」状態にして、選曲で「冒険」するんじゃないかな?と。ジェフと羽生君とで、必ず面白いアイデアを温めているはず・・・。楽しみに待ちましょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=uYx2WzIXvZ8
膝の不調が伝えられていて、この試合のフリーは、冒頭の2本(4Lz、4Lo)を3回転にして、後半で3本のクワドを跳ぶ予定を立てていました。後半最初の4S+3Tはうまく決まったのに、そこから完全に崩れてしまいました。ここまで4Tが抜けるのは、おそらく最初で最後のはず。3Aも転倒しましたが、ガス欠という感じではなくて、気持ちが切れてますね。
でも、五輪連覇から遡っての「結果論」ですけど、シーズン初戦で「最高と最低」の「両方」を経験しておいたことは大きいですよね。SPもフリーもノーミスだったら、「どのような状況になると崩れるか」を学べる機会がなくて、すなわちリスク管理ができない。逆に、両プロともにミスだらけだと「不安だけを抱えて」本番を迎えることになる。これでよかったんだなぁ・・・としみじみ感じます。
何度も見ている映像だと思っていたら、いろいろと発見があるものですね。羽生結弦のビクトリーロードは決して順風満帆じゃない。ここ3シーズンの初戦のオータム・クラシックだけを取り上げても、それがはっきり分かりました。面白かったです。
では、また明日!
Jun
コメント
2015のオータムは初めて観ました。動画でもみてなかった自分に驚きですが仰るようにかなりしあがってますね。テレビ放映のあったスケートカナダで目にした時にあまりに複雑なプログラムで、これからこんな大変なプログラムをどうやって行くんだろうか?と素人ながらにため息をついた日の事を思い出しました。ついでと言ってはなんですがスケートカナダもみましたらもう振り付け変えてるんですね。3ルッツは転倒していますけどスピードも出てかなりの仕上がりでした。能のような仕草のステップ(名前がわからない)オータムでバックやってました。本人が始めはバックを入れてたけど合わないからやめた、と練習風景ではみてますが試合に入ってたんだーと感動でした。
ブリアンは私も知らなくて、結弦君から花を貰ってるまーるい顔の叔父さんは誰?と(笑)
今シーズンはどんなプロを持ってくるのか?もう少しの我慢かな?本当にまた「え!」というようなものがありそうですね〜。
senninさま
SEIMEIは、技術的に高度なものを詰め込んでいるだけでなく、そもそも曲調が従来のフィギュアスケートには無いタイプで、伝統的な所作を重んじつつも、あくまでもフィギュアスケートのプログラムとしてジャッジやファンに理解してもらわないといけない。本当に難しい課題に取り組んだものだなぁ・・・と感嘆します。
SEIMEIがそもそも「ぶっ飛んだ楽曲」だったことを考えると、そんなに奇抜な音楽って本当にあるのかな?という気もします。でも、おそらく今季もフリーはシェイでしょうから、CiONTUでも自身のショーナンバーに面白い曲を採用していましたし、彼女なら何か発掘してくるはずだ!と、期待を込めて待ちたいと思います。
オータムシリーズ、懐かしく振り返れました。
オータムならではのドキドキ感が蘇りますね。シーズンのその後の道筋を決める試金石になる試合ですから、点数より手ごたえが大切なのでしょうね。
特に今シーズンは、点数の出方など、押さえるべきポイントが多くなりますね。
ジュニアで既にGOE+5が出たという噂ですが、せっかくの11段階、上手く活用して欲しいものです。
ところで、SEIMEI初披露を久しぶりに見て、バックストロークがこの試合でリストラされたのは実に勿体ないと改めて思いました。滑り込んだ状態になって実施したら、それこそ、他陣営の大好きな「色気」を伴った「表現力」を堪能出来ていたのでは、と、惜しまれます。
とにかく今は、久々の新しい競技プロへの期待感でいっぱいです。junさんの仰るように
過度に期待をせず、プログラムそのものを楽しみたいです。
ととちゃん さま
GOE+5の話は、TwitterのTLで流れてきていたんですが、どこの誰のどんな演技なのか、私はまだ把握できていません。この11段階制導入により、ジャッジの裁量権が増して、結果的に「不正ジャッジの温床」になることだけは避けてほしいものです。
羽生君の新プロについては、選曲の期待値はかなり上げています。でも、技術的には無理しないでほしいですね。ルッツとループはトリプルまで。クワドの本数も抑えながらシーズン序盤は戦ってほしいなと。
ブライアンはもちろん、羽生君も分かっているとは思いますが、4Aはまだダメですよ!
はじめまして
非公開でコメントを送ることはできますでしょうか。
tonton10さま
はじめまして。コメントありがとうございます。
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