スイス合宿の話など「Quadruple Axel 2019」(2)

スイス合宿の話など「Quadruple Axel 2019」(2)

全日本に出場する男子選手の記事をチェックしていると、中村優君と島田高志郎君のインタでスイス合宿の件が語られていて、そこがまず目を引きました。その部分からご紹介したいと思います。

――・・・まずはオフシーズンの様子をお聞かせください。

スイスのステファン・ランビエール先生のところに行って、スケーティングやジャンプの練習をさせてもらいました。濱田(美栄)先生チームのみんなで合宿をしたんですけど、そこにジスラン(・ブリアン)先生も来てくださって、ジャンプを見ていただけました。すごく充実したオフだったかなと思います。

――カナダのクリケット・クラブで指導されているジスランコーチですか?

はい。6月ごろに一度、関大(関西大学)で見ていただいて感触がよかったんです。スイスのほうにも来ていただけて、みんな一緒に見てもらいました。

――感触のよさは、具体的にどんな点で感じましたか?

そうですね。感覚的に僕には合っているな、と。それで、4回転のサルコウとルッツも何度か降りることができました。

――ルッツも成功したのですか?

はい。いまは全然ダメですけど、スイス合宿のときは降りました。試合に入れる予定はないのですが、感触は悪くなかったです。

――・・・スイスへはどれくらい行っていたのですか?

3週間くらいで、予想以上にきつかったです。そのなかでも、最後まで滑りきれたな、練習をやりきれたなという実感はあるので、本当にためになった合宿だったと思います。

――・・・何か楽しいことはありました?

うーん……楽しいことはあったかな?ひたすらその日の練習が憂鬱というか(笑)。「今日、無理!」って100回以上言ってましたね。そう言いながら結局(練習を)やりきって、「頑張ったじゃん」みたいな(笑)。

――練習メニューがかなりハードだったのですね。

練習もそうですし、トレーニングだったり、バレエだったり、ダンスだったり、いろいろ組み込まれていて、非常にいい経験はできましたけど、あのときはきつかったです。

ブリちゃんが関大に一度来ていたことがあって、そこからの、スイス合宿という流れだったわけですね。少し前までの濱田チームに対する印象って、「こんなに有力選手をたくさん抱えていて、指導できるの?」というもので、しかも「女子のチーム」というイメージでしたが、男子選手でもこれだけ充実した合宿に参加できるなら、若手の男子スケーターにとっても魅力的なチームですよね。

ただ、この合宿に白岩さんも参加していますが、あのケチなスケ連から援助が出ているはずがないので、自費だろうな・・・と。宮原さんや紀平さんのようにスポンサーがついていないと、カネがかかることには変わらないですね。

引用はしなかったですが、オフシーズンにヴィンセント・ジョウ君が関大の練習に参加していたそうです。中村君は、そこから刺激を受けてスイスで4Lzの練習もトライしたのだとか。

そもそも、去年のコロラド合宿でヴィンセント君に濱田先生がレッスンをしたことがきっかけのようです。濱田先生が彼のジャンプの指導をしたかどうかは不明ですが、いまや彼はその最大の武器で苦しんでいるだけに、なかなか上手くいかないものですね。

つぎに、島田君のインタからも合宿話を引用してみます。

――(濱田チームとのスイス合宿では)クリケット・クラブのジスラン・ブリアンコーチも一緒に来られたそうですね。

はい、僕もちょうどそのときにいて、ジャンプや基礎的なことを教えてもらいました。ジスランコーチは、ときどきスイスに来てくださるんですよ。すごくいい練習ができて、ジャンプに意識を持ちながらやっています。ステファンもときどき夏にクリケット・クラブに行くので、ふたりはすごく仲がいいんです。それで、スイスに来ていただいているという感じです。

――ジスランコーチのメソッドも島田選手のなかに生きているということですね。

羽生くんはジャンプの踏み切りをこういうふうに改善しているとか、そういった話も聞くことができるので、とてもためになります。

「日本代表2018ファンブック」では、樋口さんのインタでクリケットでブリちゃんの指導を受けたことが語られていましたが、宮原さんも同様にクリケットに行ってました。日本で、カナダで、スイスでと、このオフの彼は、日本のトップ選手のジャンプ指導に絶大な影響を与えていますね。野口さん、ちゃんと取材してくださいよ!と。

最後に、須本君のインタから、長野H&Fについてのエピソードをご紹介します。

――憧れの羽生選手と一緒になりましたね。

はい、初めてなんです。僕は、いままでアイスショーにあまり出られなかったので、やっと。羽生選手と一緒に氷に立てたというのがすごく嬉しかったです。以前、何回か国別対抗戦を観に行って、エキシビションの練習を見学したことはあったんですけど、話をする機会はなかったんです。長野では、少しお話しすることができて感激しました。

――羽生選手の演技を間近で観たり練習を観て感じたことはありますか?

練習で一本一本にかけるジャンプの集中力がすごいなと思いました。何本も跳ぶのではなく、一本一本を集中して決められるというのがすごいです。観ていて、「うまいっ!」っていう言葉しか出てこなくて。ほかの言葉で表現するのは難しいですね。羽生選手は憧れの選手なので、すごく勉強になりました。

臨スポの改修(4~9月)があって、練習場所を確保するのに苦労していたはずですが、その辺りの困難もポジティブにとらえて、トレーニングを積んでいたことが語られています。全日本で彼の演技を観られないのは本当に残念ですが、まだまだ若いですから、北京目指してさらなる進化を遂げることを期待しています。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ととちゃん より:

    引き続き記事のご紹介、ありがとうございます!

    こうして見ると、ジスランのフィギュア界に与える影響は本当に大きいですね。
    国や派閥(?)を越えて 指導してくれている訳で、逆に彼が何らかの理由で退職したら、正しいジャンプを誰が指導出来るのか、と不安になるほどです。

    この中でも、須本くんの羽生選手に学ぼうとする気持ちは際立っていますね。長野では 草太くんも非常に影響を受けたようですし、そうした意味でも 全日本に羽生選手が出場出来ないことは大きな損失だと思いました。

    須本くんは残念ですが、若手はいつ頃放送されるのでしょうか。BSの時間帯だと、渦中の人の解説のようで、拒否反応が…。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      最初の2グループをBSフジとフジONEで放送して、夜7時から(SPは3グループ、フリーは2グループ)をフジテレビで放送するようです。いちおう、シングル競技は全員チェックできるんじゃないかと思います。

      渦中の人はどうするんでしょうね・・・。スポンサー的には排除してほしいでしょうが、個人的にはどっちでもいいです。まぁ、テレビでの仕事を控えているなら、責任ある行動をとってほしいものですね。いろんなところに迷惑がかかり、たくさんの人が頭を下げることになります。

  2. sennin より:

    表紙で手にすることもない雑誌でしたが、書店で少しみてきました。日本現役選手の記事と写真も沢山あって興味深く感じました。
    濱田コーチは力がありますね。羨ましいチームですがこれで、真凜ちゃんがクリケットにはいかないのもわかりました。中村君の合宿が楽しいものはなかったのも正直でいいですね。
    ブリアンが結弦君のジャンプお手本動画を使うのはいいですが、羽生選手がジャンプの入りを改善しているということなどは喋って大丈夫なのかと気になります。本人がインタビューで話してはいましたけど具体的なことは言ってないですから。とちょっと感じました。
    須本君が長野でやっとお話しできたのね、よかったですね。あの時はリハビリ中でしたからジャンプの練習も制限していたかもですね。
    それにもかかわらず最終日に4T3Tのコンボをそりゃあ世界最高の美しいジャンプをみせてくれたのですから須本君たち興奮しますよね!私達もでしたが…。あの光景今でもわすれなく瞼に焼き付いている私です。

    • Jun より:

      senninさま

      ご指摘を受けて、真凜ちゃんの件を理解できました。なるほど・・・たしかにクリケットと関係を構築できるわけがない。

      中村君にとって「キツイ」練習だったのは、やっぱり要求するものがそれだけ高いからでしょうね。正直、「彼がそんな合宿に参加できるの?」とビックリしましたもん。

      私は島田君の発言に違和感は感じなかったですが、そういえば、羽生君は、ジャンプに関して、クリケットでどういう指導を受けて、具体的にどういう練習をしているというのは、最近はほとんど語らなくなった気がします。おそらく、トロントに行った直後のCutting Edgeあたりを読み直すと出てきそうですが、私の想像では「人それぞれに適した方法がある」と分かって、発言を控えているのかもしれません。でも、西山君のインタを読むと、チーム内ではアドバイスしているようですね。

  3. マリィ より:

    こんにちは
    昨日と今日、買わない本の(笑)ご紹介ありがとうございます。
    日頃選手達の練習頑張ってきます!等のコメは聞きますが具体的な練習風景が垣間見れますね。
    中村くんのコメですか?「今日、無理!」とか正直な台詞がそれでも頑張ってるんだなぁと感じました。
    バレエとかダンスとかサンボにも負けない練習を行なっているんですね。
    ジスラン大忙しでオーサーみたいに健康を損ねないようにしてほしいですね。
    太めですから。
    全日本は若手と紀平さんを楽しみに見ようかな。

    • Jun より:

      マリィさま

      島田君の雑誌のインタだと思いますが、スイスでは氷上練習の時間はそんなに長くなくて、むしろ陸トレがみっちりあるという話がありました。「陸トレ」というのは筋トレやランニングだけでなく、バレエやダンスのレッスンなども含まれるから、それだけ「みっちり」やるんだと思います。

      ブリちゃんはあの体型ですから、少し体重落とさないと、ブライアンみたいにいきなり入院なんてこともありえます。ちゃんと健康診断を受けて、身体を大事にしてほしいですね。いまや世界が必要としている存在ですからね。