ロシアナショナル(女子SP)感想

ロシアナショナル(女子SP)感想

リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。ショートのリザルトを見てビックリしたのが、70点までで9人いるという、恐るべき状況です。これだけレベルの高い選手がダンゴ状態だと、オフィシャルの方々も、忖度採点なんてしようと考えるだけでも面倒くさいはずで、ここにロシアと日本の差があるような気がします。

なぜ全日本の男子の採点であーいうことが起こるかというと、選手層の薄さに尽きますね。例えば、駿君のような4Tと3Aをガツガツ降りる中学生が4~5人いたとして、ジャンプでコケ・拔けだらけの年長者を優遇する採点をしようものなら、会場のお客さんもお茶の間の視聴者もドン引きですから、連盟側も「さすがにマズイでしょ・・・」となるはず。外野は余計な手出しをせずに、正々堂々としたガチンコ勝負を演出するほうが、エキサイティングなイベントになる。とくにいまの日本社会は、世の中偽装だらけですから、みんなが本物を求めているんです。だから、スケ連・フジ・USMはじめ、業界人は世の中の流れがまるで分かっていない。昭和の発想ですよ。どうせこの方々の界隈も、年寄りが牛耳っているんでしょうね。

でも、選手層ということになると、日本はリンクが少ないから、カネがかかるから、特に男子の競技人口を増やすのは無理、という話に行き着くわけです。ただ、希望はあります。14歳の駿君、15歳の鍵山君、今回全日本に進めなかった、13歳の三浦君が全日本の最終グループに残る頃には、状況が変わっていることを期待したいですね。3人ともに関東所属。「俺たちが日本のフィギュアを変えてやる!」と今まさに練習に励んでいることでしょう。

さて、脱線話はここまでにして、5人ピックアップして見ていきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=A6UUwmVauAU

ザギトワ。80.62の1位。身長が伸びたことで、今季はとくに、彼女のトレードマークの3Lz-3Loがキツイなという印象だったんですが、このショートのセカンドループは高さもあって余裕がありましたね。そうなると、他のジャンプはまず安心なので、当然のように80点を超えてくるわけです。

とはいえ、最近紀平さんで麻痺しているのか、ナショナルなのに意外と盛らなかったなと。スコアが出た瞬間にグレイヘンガウスが首をかしげていました。彼女のパフォーマンスとしてはほぼベストに近い出来なので、PCSも10点台を献上するジャッジがいてもおかしくないのですが・・・。やはり、ファイナルで紀平さんに負けたことで、ジャッジの心情的に「盛りきれない」というか、次世代に目が行っているのかな?と勝手に想像しています。ただ、ザギちゃんのショートの出来自体はすごく良かったですよ。

https://www.youtube.com/watch?v=Nyk-N3OBSbo

トゥルソワ。74.96の2位。まるでウォーミングアップのようにノーミスの演技で一汗かいた感じの危なげない動きですが、PCSが出ませんね・・・。32.17はちょっと辛いんじゃないかと。スピン・ステップすべてレベル4を揃えて、3Lz-3Loもザギちゃんとは違って後半に配置していて、3A無しの構成としては、MAXに近いものをパーフェクトに演じているにも関わらずです。

ちなみに、ザギちゃんのPCSが38.15、後述するコストルナヤはステップで転倒しながら34.71ですから、これは彼女のファンなら怒っていい不当な評価ですね。シニアも含めて、ジャンプの技術では世界のトップに立っていると思いますが、まさかジャンプを跳べているうちに、こういう壁にぶち当たるとは・・・。ロシアとしては、彼女を次世代エースとして推しきれないのですかね?なんと贅沢な話でしょうか。

https://www.youtube.com/watch?v=GaL40TdEOas

コストルナヤ。74.40の3位。まぁ、振付の方向性の違いがあるとはいえ、ザギトワ、トゥルソワを見た後に彼女の演技を見ると、スケーティングがよく伸びますね。

「転倒した」というニュースだけは事前に知っていたものの、いつも通りジャンプは相変わらず高くてキレもあって、どこで?と思っていたら、ジャッジの目の前でつまづいてしまいました。スローで2度流れていましたが、右足のトウが氷に引っ掛かった感じですね。ちなみに、34.71というPCSですが、JGPファイナルでは32.89だったので、約2点弱アップしています。一方、トゥルソワは、31.55→32.17ですから、上げ幅の違いが気になります。日本に比べれば微々たるものですけどね。

https://www.youtube.com/watch?v=if7zOI1z-OI

シェルバコワ。74.09の5位。JGPシリーズの2戦、そしてJGPファイナルの計3戦のうち、ショートの3Lz-3Loを2度失敗していたんですが、ここにきて、3Lz-3Tに変更しましたね。でも、バシっと決めて、GOE+1.94をゲットですから、セカンドをトウにして大正解ですよ。

彼女は、14歳の若さにして、つねに柔らかな笑みを浮かべながら演じる希少なスケーターなんですが、とはいえミスがあると、演技直後は表情が一瞬曇ってしまうんです。それを見るといつも悲しい気持ちになるので、ノーミスしてほしいなと願っていました。スコアが出ると、男性コーチ陣も手を叩いて喜んでいましたね。よくファイナルから立て直して、頑張ったと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=eW2mZaAa61w

メドベージェワ。62.24の14位。SPをミーシャ振付の「トスカ」に変更しました。もちろん衣装も変わりましたね。まず、プロトコルを見て、冒頭の3Fのコンボと、2Aもミスがあったという情報だけを頭に入れて、映像を見ました。

曲がかかる直前で声をかける観客に、おいおい!って感じですが、しかし、曲が流れた瞬間の彼女の表情を見て、「ミーシャはもう絶対に狙って作ったな・・・」と、彼女の従来のキャラクターにピッタリの選曲ですね。3Fのセカンドトウがシングルになり、フリップ自体も回転不足。そして、2Aで転倒。アクセルは軸がものすごく傾いてしまっていて、タノらない方がいいのでは?という気もしますが、この跳び方に慣れているから続けているんでしょうね。3Loは良かったと思います。

最後のステップの所なんか、大仰な曲に彼女の動きもマッチしていて、いきなり実戦投入した割にはよく合っていると思います。やはり、ジャンプを改造して、プログラムもショート・フリーともに新境地開拓というのは、いくら彼女ほどのスケーターであっても、高いハードルだったんだなと改めて感じます。プログラム変更の詳しい経緯を私はまだ把握していませんが、ブライアンがそれを受け入れたところも、彼らしいですね。

会場の大きな拍手から、ロシアのファンの温かさがよく分かります。やはり本人の垢に凸する連中なんて、そもそもフィギュアスケートをまともに見ているかどうかさえ怪しい層ですから、気にする必要はありません。こういう本物の応援を支えにして頑張ってもらいたいです。いまはとにかく我慢の時ですね。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. sennin より:

    グレイヘンガスはザギちゃんがフリーでリンクに出て行くときお祈りのようにブツブツやってました。ファイナルで捻挫したようですがみていると右膝はずっとテーピングだし、左の足首もなんかありそう。あれだけの練習してきたので身長だけではなく、メドちゃんの時のように怪我をしているのではと想像しています。ジュニアの子達との闘いや紀平さん騒動のマスコミなど考慮すると、この子は来季にはエテリ離れるかもしれませんね。
    前からメド、ザギちゃんのスケーティングが気になっていたんですが、点数をとるステップや身体能力などは備わっていますが、崩れ始めると難しくなる。実際メドちゃんがクリケにいってスケーティングを一からやって自分は何故こんなに出来ない?とコメントしてましたね。ロシアナショナルの公式練習でストーローキングを6分間していたらしい。ジャンプの矯正や振り付けなどもありますがこれが大きい気がします。だからメドちゃん膝で漕ぐようになり癖が随分とれてきたと思いました。私の素人の見方ではコストちゃんはその辺がもうクリヤーされてるので、PCSも高めにつくのかなあと思います。ロシアの女子選手については凄すぎて言葉がないですね。メドちゃんはトスカにして良かった?前も良かったけど。トスカはプルさんもやってたけど私はやっぱり須本君のプログラムがいいなあ(笑)
    ところで、紀平さんは年が明けたらコロラドで合宿、1800Mの高地でやるとのこと。お金もあるのね〜。(私は登山をしていましたがこのくらいの標高酸素薄いかなあ)先日の映像で低酸素でランニングマシンやってましたね。しっかりフィジカルトレーナー付いてたし。いくら身体能力あってもあんなトレーニングに耐えられる紀平さん凄いです。だからジャンプも安定し4分間滑りきれるのですね?。川畑さんも頑張れ!
    友野君セントラルがサポート契約してくれたようで良かったですね!バンザーイ!!

    • Jun より:

      senninさま

      メド&ザギが「崩れ始めると難しくなる」というのは、たしかにおっしゃる通りですね。ギチギチに詰め込みすぎていて、例えば、一つジャンプでミスをして、しかもリカバリーが必要になる状況になったとしたら、そのつなぎの多さが不安要素になって、ジャンプのミスをさらに誘発していく。まぁ、メドちゃんはともかく、ザギちゃんはコーチと振り付け師があのまんまだと、プログラムもあのまんまのような気がします。もっといろんなスタイルの彼女のスケートを見たいんですけどね。

      紀平さんは、マネジメントがエイベックスで、スポンサーがレッドブルだったでしょうか。資金面のアテはあるんだと思います。問題はCM契約ですよね。真凜ちゃんはあれによって知名度が全国区になった反面、注目度と実力とのギャップに悩まされました。いまの紀平さんは、オフにならないと撮影する時間が無いのかもしれませんが、もしかするとすべて断っている可能性もありそうです。まぁ、彼女はプレッシャーで跳べなくなるような子ではないと思いますが。

  2. Fakefur より:

    男子の競技人口の少なさは如何ともし難いですね。
    体操もそうですが、小柄で、身体が薄く(これ大事)、体重の軽い日本人に有利な、数少ないスポーツなので、国をあげて支援すべきなんですけどね。

    Junさんもおっしゃっていたとおり、フィギュアは橋本から独立して、独自の組織を作るべきだと思います。ドイツはスピードとフィギュアは別団体だったはず。フィギュアで得た資金はフィギュアの選手育成に使うべきです。荒川さんは事務所といい、スケ連といい、敢えて敵の懐に入ってるんだと思いたいけど・・・

    メドちゃん、得意な悲劇のヒロイン路線に戻っちゃいましたね。ジャズで新境地開拓、悪くなかったのになぁ。名声を確立して、プライドのある選手を作り変えるのって、いくらブライアンと言えど難しいですね。羽生選手は若いうちに移籍して正解でした。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      スピスケとフィギュアの分離というと、私は、中国スケ連が近年おこなったという報道を見た気がします(違うかもしれません)。おそらく他国でもそのように団体運営している事例はいくらでもあるんじゃないでしょうか。

      「敵は近くに置いておけ」というのは、例えば、羽生君が日経新聞や日刊スポーツを出入り禁止にしない所なんかは、まさにその考えが根っこにあるでしょうね(城田さんのアドバイスかもしれません)。出禁にしたら、逆上して何を書くか分からないですからね。荒川さんに関してはよく分かりません。橋本会長よりはもちろんマシですが、過度の期待は禁物ですね。

      今晩、女子フリーのレビューをアップしますが、メドちゃんはけっこう良かったので、ぜひ動画をチェックしていただけたらと思います。

      • Fakefur より:

        日経新聞はなぜああなのでしょうか。フジテレビやあの事務所とは関係なさそうですし、あの町田さんもテレ東の番組には出演しました。

        原真子記者が髙橋ファンなのはよく分かりますが、私設ブログならともかく、仮にも一流新聞が、いち記者の私情に任せた記事を載せているのは大いに疑問です。

        (ただ、原記者の失礼なツイッターにクレームを入れるのは良いのですが、ゆづ写真のアイコンは外して欲しいですね。デーオタと同じレベルのことはしてはいけません。)

        • Jun より:

          Fakefurさま

          一部の経済専門家に言わせれば「日経は経済記事以外は良い」らしいですが、スケオタから言わせれば、「日経のフィギュア記事は最悪」ですよね。

          ただ、大手新聞の運動部のデスククラスで、フィギュアのことを知ってる人なんていないんじゃないですか?プロ野球か相撲ぐらいしかまともに取材したことが無いおじさん上司なら、フィギュアの記事なんてどうせ部下に丸投げでしょう。だから、原某の悪質記事のことなんてよく知らないか、あるいは、もしかするとあまり関わりたくないと思ってるんじゃないかと。

          ヒステリックで悪名高い女性記者といえば、東京新聞の政治記者で望月という人がいますが、あれに近いものを個人的には感じます。

          • Fakefur より:

            所詮は経済新聞なので、スポーツ記事や記者のクオリティには重きを置いていないのでしょうね。

            この手の発信手段を持つアンチはやっかいですね。
            個人アカウントに抗議すれば、かえって選手が逆恨みされかねないし。
            所属する新聞社に、粛々と訂正すべき事項伝えていくのがスマートですね。
            いつか良心を持つデスクが事の重大さに気づいてくれるかも。

  3. Jun より:

    Fakefurさま

    大きな組織なので一枚岩ではないはずで、優秀な記者が集まる素地はあると思うんですよね。

    NHKは、あの醜悪なNHKスペシャルもあれば、素晴らしい仙台パレードの生中継もありました。朝日新聞も、後藤太輔記者がオリンピックにむけて奮闘している最中に、科学部の記者が中京大の湯浅という教授に取材して間違いだらけの企画記事を掲載したこともありました。

    署名記事であれば、基本は記者個人を見て判断するのが、間違いが無さそうです。