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こちらの番組は、講師の先生が一通り講義を行って(MIKIKO先生の場合はダンスの実演有り。しかもピンヒールの靴を履きながら!)、その後、いわゆるZoom形式で一般の方から質疑応答も受けるという構成になっています。基本的に、前編・後編の2部構成のようです。前編を見た限りでは、羽生さんの「GIFT」が題材として取り上げられるのは9月27日(水)午後10時(Eテレ)放送の後編のようです。
前編が「振付編」、後編が「演出編」という主旨のようなんですが、羽生さんが題材として扱われていない前編からすでに、非常に面白かったです。まず、PerfumeのMVを2曲(「Dream Fighter」と「ポリゴンウェイヴ」)取り上げて、MIKIKO先生がダンスの振付の意味を解説していくんですが、楽曲を徹底的に聴き込んで、歌詞の世界に細部まで入り込んだ上で、それをダンスとして「言語化」していく。「ダンスとして言語化」というのは、MIKIKO先生がおっしゃっていたのではなく、私が勝手に思いついた表現ですが、彼女は一つひとつの振付の動きを完璧に言葉で説明していたので、つまり全ての動きに意味があるんですね。当たり前ですが、ダンスの素人の女子がTikTokやインスタにアップするような曲に合わせてテキトーに手脚を動かしてるのとは、まったくもって次元が違います。
しかも、振付によって歌詞だけを表現しているのではなく、細かい効果音のようなものも振付に加えているんですね。だから、先生が説明してくれたから「なるほどー」と分かった所があって、先生の説明の前に流れた映像を見た私の印象は、「Perfumeの振付って、意外と運動量少ないんだなぁ・・・」と、ボケっとしながら見てましたけどね。
この辺りを見ただけでも、羽生さんと彼女が共鳴するのも分かるなぁと。羽生さんが他のスケーターと明確に違うのは、曲を徹底的に聴き込んだ上で、振付の意味を深く正確に理解し、それを徹底した反復練習で「自然な動き」に見える点だと思っています。
その後、ELEVENPLAYの方々が登場して、ダンスを実演していきます。しかしその実演は曲に合わせるのではなく、詞の一節を「踊りで即興で表現する」という「練習メニュー」の一環で、これを見ていて思ったのは、舞台劇というか、モダンダンス?コンテンポラリーダンス?というか・・・。彼女たちのようなダンスの達人は、曲や歌詞や、何かしらの具体的なストーリーが無くても踊りで即興で表現できるという、改めてすごい人たちなんだなぁ・・・と感心しましたね。
視聴者からの質問で、「どうしたらオリジナリティーのあるダンスを作れたり踊れたりしますか?」というものがあって、これに対するMIKIKO先生の応答が、なるほど!と唸らされるものでした。ちょっと長いですが、ご紹介します。
自分で自分の癖とか、「自分ぽいでしょ?」ということを探すのは良くないと思っている。
だけど、「自分のこの体でしか表現できないことって何だろう?」ってことにとにかく集中して耳を傾けて、短所を長所に変えられるように。長所を自分でひけらかさずに、どんどん磨いていけるように頑張ろうってやってたら、周りの人が「MIKIKOさんっぽいね」って言い始めた。だから、私が作ったオリジナリティーじゃなくて、私はただ単に自分を磨いただけなんだけど、周りがそうやって言ってくれるようになった。
個性的になりたいなとか、オリジナリティーのある動きをつくりたいなじゃなくて、自分しかできないものは何か?、そこを100%がんばれてるかな?、この体型に生まれたからこそできる動きって何かな?、それが例えば人と比べて(腕が)短くても長くても、それを嫌いにならないで、自分で愛してあげたらヒントが出てくるから。そういう考え方で進んでいくと、きっとオリジナルの動きだねって周りが言ってくれるようになるかなって思います。
録画した番組を何度も止めながら、彼女の発言をスマホのメモ帳に打ち込んでいって、彼女の言わんとしていることの意味を考えていたんですけど、「自分の良い所って何だろう?」というのは、「他人」についつい聞けちゃうことかもな?って思うんですよね。そういうことを聞ける「他人」というのは家族とか友人ですから、自分のことが好きで、自分を比較的高く評価してくれる人だから、良いことや無難なことしか言ってくれない。そもそもの話、自分で長所と思っていることって、人から言われたことを長所と思い込んでいることの方が多いのではないかと。となると、ダンスの表現も人並みにこじんまりとしてしまうのかもしれません。つまり、オリジナリティーを追求するのは短期的には他人から評価されにくい技術を探求することですから、相当な「茨の道」であり、もっと言うと「修羅の道」と感じたのは、私の拡大解釈でしょうか?
この質問をした人は、小学校高学年~中学生ぐらい女子だったんですけど、先生のメッセージの意味を理解して、ダンスを頑張ってくれているといいですね。
前述の通り、後編の「演出編」で「GIFT」のお話が聞けそうです。楽しみにしています。
では、また明日!
Jun