美麗カバーと都築先生に救われました。「Number PLUS 銀盤の不死鳥」(1)

美麗カバーと都築先生に救われました。「Number PLUS 銀盤の不死鳥」(1)

2019年4月4日発売。税込み価格「1,620円」。

まぁ、予想していたことではあるんですが、一言でいって「薄い」です。年に一冊発売される「Number PLUS」のフィギュアスケート号ですが、写真はかっこいいけど、テキストは正直微妙だし、都築先生のインタが無ければどうなっていたのか?と思います。

羽生君の部分のみ確認しましょう。まず、ブックカバーです。上記画像にあるように、表紙はOriginで、裏表紙はOtonal。表紙の折返しの所は紀平さん、裏表紙の折返しがネイサン。そして、カバーの裏面全体を使って、春よ来いです。買うとしたら、これが目的でなければどうするの?という、ここだけ異様に気合いが入っていますね。

本体はモノクロで、表紙に日の丸を掲げるOrigin、裏表紙もOrigin。羽生君関連は、目次(3頁)をめくって、春よ来いの見開き(4~5頁)を挟んで、巻頭の3つの企画で6~27頁。Originの見開き(6~7頁)、Otonalが2枚(8~9頁)、OriginとOtonalが1枚ずつ(10~11頁)、Otonalの見開き(12~13頁)、Originの見開き(14~15頁)。ここまでが羽生君のグラビアです。

松原孝臣さんの羽生君レポ(16~21頁)が掲載されていますが、そこに挿入されている写真は、トロントメディアデー(2枚)、ヘルシンキGPのEXフィナーレ(1枚)、ロステレ松葉杖(1枚)、さいたまOtonal(1枚)、さいたまワールド表彰式(2枚)。まぁ、微妙です。

「魂を込めた激動の7日間」は羽田到着から最終日のEXまでの発言と行動のまとめです。まぁ、あっても無くてもいい企画という感じで、写真も小さいものの寄せ集めですね。

そして、最後に都築先生の「インタ」(26~27頁)で締められています。マイレピのレビューで羽生君の「スポ根的」「昭和的」なメンタルの話をしましたが、そんな羽生君の、最初の、かつ最大の理解者は都築先生なんだなと再認識しました。

フィギュアスケートでは勝負や成績云々よりも「自分の演技をしたい」という趣旨の抱負を語る選手が少なくありません。でも私は、それは詭弁だと思います。どんな選手だって一定のレベルになればチャンピオンになりたい思うものだし、勝ちたいという気持ちを抱きます。フィギュアスケートもスポーツですから、当然、勝ち負けを争う競技であるわけです。なのに、そこにこだわらないかのように見せる、話をするのは、弱い心を示しているように感じます。それに対して、結弦ははっきり、勝利への欲求、負ける悔しさを口にしますよね。そこにも鋼のような心を感じます。

どの方面に向かって言ってるのか、一目瞭然ですね。都築先生が佐野さんを指導していた頃なんて、まぁ、日本人なんてまったく相手にされなかった時代ですから、ジャンプをガンガン跳んで、好成績を挙げなきゃ、そもそも競技を続けることさえできなかったわけです。結局、そーいうトロいことを言ってられるのは、「恵まれているから」にほかならない。だから、都築先生は、「結弦には日本のフィギュアスケートの環境を変えてほしい」とエールを送り続けているんですね。

そういえば、「新ルールが生んだ選手の滑りの変化」という解説記事を鈴木明子さんが書いているのですが、以下の部分が気になりました。

また男子フリーの演技時間が4分30秒から4分へと30秒短くなりました。それも演技に変化をもたらしたと感じています。ジャンプを跳ぶ前の助走に時間を費やせなくなったことで、ステップから跳ぶ工夫がなされるようになったからです。結果的に、ルールが変わったことで演技の質が上がったように感じられます。

最初、何を言ってるのか意味が分からなかったのですが、「ジャンプの前に助走たっぷりだった選手が、助走を短くしてステップを入れるようになった」というのが、彼女の見解のようです。本当にそう思ってる?助走の長かった選手は相変わらず長いままだし、むしろ「ステップを入れなくていい」と開き直る理由を与えてないかい?と私は思いますね。実際、クワドを跳んで降りさえすれば、並の選手でもGOEは簡単に+3前後出ますからね。

Number PLUSにキレにある論評を求めるのがもはや無理なんだと思いますが、ネームバリューがそれなりにある人が、大手メディアを通じて発信する情報を有り難がる時代は、いよいよ終わったな・・・と感じますね。

明日は、「モニュメント」の方が間に合わなければ、本書のレビューの続きを先にアップしたいと思います。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ごろ寝 より:

    >ネームバリューがそれなりにある人が、大手メディアを通じて発信する情報を有り難がる時代は、いよいよ終わったな

    そういうことですね。この1年ぐらいで、OBOG等の発言に反応することの愚かしさをやっと悟りました。自らの価値観に拘泥しているのか、体制への迎合なのか、彼らの傾向を知るという以外に価値はないと思います。

    仰っるように高須さん撮影のカバーと都築インタのみ保存します。

    • Jun より:

      ごろ寝さま

      フィギュアスケートに限らず、地上波のコメンテーターであれネットのコラムであれ、ちょっとおかしな事を言ったら、すぐにバレちゃいますし、拡散されますからね。

      今回レビューの中ではご紹介しなかったですが、宇野選手の記事にある「山田満知子コーチの教え」が、都築先生のインタと実に対照的な内容で面白いです。教育って大事だなぁとしみじみ感じます。

  2. ととちゃん より:

    Numberの内容、詳しくありがとうございました。都築先生は いつも本質を突いた意見を述べて下さっていますね。日本フィギュア界の良心とでも言いますか、やはり羽生選手を育てただけの方だと思います。

    一方で 鈴木さん、一体 どうしたんでしょうね。男子の演技、本当に 見てるんでしょうか。見ていても言えないなら、いっそ こういう仕事を引き受けない方がいいのでは。評判落とすばかりですよね。

    それにしても こうして見ると、表紙は つくづく素晴らしい。高須氏の写真集が欲しいです。

    今日は朝からモニュメントで幸せな気持ちになれました。仙台はいいですね。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      明子さんの記事は、一瞬何を言っているのか本当に分からなかったです。2~3度読み直して、ようやく、あーそういうことねと。

      お小遣い稼ぎで「忖度発言」をしても専門家としての信用を無くすだけなので、五輪に2度も出ているスケーターなんだから、しっかりしてもらいたいですよ。