命を削る覚悟で、本気でスケートに打ち込んで頑張ってきた人が、その努力を報われた瞬間というのは、こうい表情になるものですよ。
前回は、15年長野NHK杯のSPで、106.33という当時のSP世界記録を達成した所まででした。
この後、SEIMEIでもフリーの世界記録(216.07)を出して、合計「322.40」の異次元のスコアを叩き出して優勝します。まずは、演技の方を見ておきましょうか。
バラ1のPCSには8点台をつける不届きなジャッジもいたのですが、フリー・合計ともに世界記録を大幅に塗り替える可能性のある神演技だったから、「反省」したのでしょうか。このイイカゲンな所は相変わらずです。
冒頭の2本のクワドも、いまの好調時の着氷と遜色ないレベル。最後の3Lzを降りた後に、ガッツポーズしてましたね!
私は、この頃のマガジンは持っていないのですが、この時期の羽生さんの発言はわりと覚えていて、その理由は、ジュエルズのVol.1とVol.2の巻頭インタで読んでいたからだと思います。ジュエルズのインタは、ToshIさん愛読の『夢を生きる』でも読めますが、やっぱり田中宣明さんの素晴らしい写真とともに読みたいですから、私はジュエルズを本棚から引っ張り出すことが多いですね。
そして、本書に戻ると、なぜ目次にもあるように「やるなら、徹底的にやる」と開き直ることができたのか?65頁から、山口さんの「心境の変化」と「決断の過程」が明らかになっています。
少し前に触れたことですけど、「会場に足を運ぶフィギュアスケートファン」と「雑誌を購入するフィギュアスケートファン」は必ずしもイコールではない。母数がそもそも違いますが(もちろん後者の方が圧倒的に多い!)、自分の見たいもの・読みたいものにストレートなのは、もちろん後者の方々です。マガジンに限らず、他の写真重視系雑誌の内容が「ゆづに寄せて」いるのは、このような雑誌が、読者のことを考えてくれてるからなんですよね。
そういうのを気に入らない人は、WFSやLifeを買えばいい。で、山口さんもマガジンの編集スタッフも、フィギュアスケート業界に参入したばかりだったからこそ、先入観も無く、スピーディに決断できたんだと思いますよね。「老舗」と同じことをやっては意味がない。そして、自分自身を「読者の代表」と自認して、羽生結弦という歴史的なスケーターの発する言葉を「純度100%」のままに伝えるのが、自分の使命であると。そこで「完全収録」スタイルが生まれました。
食べ物の例で言えば、私の活動エリアの稲田堤の「六等星」のラーメンのように、豚骨と水だけでスープを作りました的な、強烈なインパクト。昨年11月にオープンして、まだ2回しか行けてませんが、私も実際にコレを食べて度肝を抜かれました。
えー、羽生さんの言葉がこってりとは言ってないですよ!編集者の余計な手が加わっていない状態の、彼の「生の言葉」をそのまま味わいたい。それが、この出版不況で電子書籍のシェアが増えている中、あえてフィギュアスケート雑誌を「紙」でほしい私たちゆづファンの、ニーズなんです。羽生結弦というスケーターには、それだけの魅力がありますからね。
この第2章の締めくくりに、「ニース落ち」「ソチ落ち」「ぴょん落ち」などという言葉が紹介されていますが、その点で言えば、マガジン(というか山口さん)は、「ビッグハット落ち」「長野落ち」だそうです。
「羽生さんと長野」というと、最近はH&Fですかね?これだけ歴史的なパフォーマンスを披露した場所なのに、その後、関わりが減っているのは少々残念な気がします。
では、また明日!
Jun
コメント
こんにちは 更新ありがとうございます
いきなり稲田堤が出てきてびっくりしました。
仲の良い元同級生が稲田堤のナシ園の娘ですので、よく行きます。ラーメン屋さんですか、でもこのあとめちゃ混みするんだろな。(経営者は?でしょうね)
マガジンの山口さんのよいところは羽生さんの言葉をそのまま伝えてくれるところです。
適当に切ったりつなぎ合わせたり、最初からライターの結論ありきでバイアスかけた文章にしない。
もうそういうのはうんざりしてます。
みつばちさま
けっこうあの辺りは緑を見かけますね。私は京王稲田堤をよく通りますが、南武線の稲田堤の方は川崎方面に出かける時など利用しています。
ちなみにこちらのラーメンは、好き・嫌いが真っ二つに分かれる超個性的な味なので、今でもそんなに混んでることは無いと思います。店主は20代の若いお兄ちゃんで、すべて一人で切り盛りしていて、応援したくなります。でも、この若さでこの味で独立しようと思った所が興味深い。万人受けするような「流行の味」とは真逆を行ってますからね。
こんばんは
更新ありがとうございます。
本人のそのままの言葉を聞きたい、正にその通りですね。
某女性誌、美○○を買ったんですけど、まぁ女性誌だから仕方ないのかも知れませんが、何?このポエムって思いました。
羽生くんの言葉をちょいちょい混ぜつつ、色んな人の台詞を混ぜるので本人が言った言葉と思って、またまたナルシストなどと勘違いする人が出てくるんじゃないかと心配になりました。
まぁ女性誌に羽生くんの正しいコメントを期待したわけではありませんが。
マリィさま
あー、なんか色々と出てますよね。以前だったら私も「収集」していたんですけど、いまは「まずは読むべきものを先に読もう!」と、山口さんの本に集中しています。
「入口」としては、そういう軽薄な作りでもいいかもしれません。何がきっかけで羽生さんの沼にハマるかは、人それぞれですからね。
今日の記事、色々考えさせられました。
冒頭の、
> 命を削る覚悟で、本気でスケートに打ち込んで頑張ってきた人が、その努力を報われた瞬間というのは、こうい表情になるものですよ。
という junさんの言葉に、今季GPF、キスクラのネイサンが浮かび、世界最高得点をまるで予定調和のように受け取る様子が不思議で、ドラマチックとはかけ離れていて…、そういったことを思い出しました。
マガジンに戻します笑。最近は報知等がインタの全文をネットに挙げてくれるようになりましたが、それでも「紙」で、しっかりと時系列を追って読みたいんですよね。一時期山口さんが離れ、マガジンが出版されなかった時期にその存在の大きさを痛感しました。本当に英断だったと思います。
余談ですが、昨日デイリーを買いました。店頭では明らかに一紙だけ売れていて、レジの方にも「あ、デイリー」と反応されました。
斜陽の紙媒体に羽生選手が救いの神であることは間違いありませんね。
ととちゃん さま
私の「意図」を読み取っていただき、ありがとうございます。感情表現に個人差があるとはいえ、ちょっとトリノのあれはね・・・と違和感を覚えました。
マガジンが「休刊」状態の時、報知の高木さんがウェブ記事で、トロントメディアデ―や試合での囲み会見での「完全収録」をしてくれていました。
ちなみに、時事通信の長谷部良太記者がまさにこの「全文記述のスタイル」について、Twitter上でアンケートを募っていました。この点に関心を持っている朝日新聞の大西史恭記者(11月2日のツイ参照)も要注目ですよ。
https://twitter.com/beeeryo/status/1190795071790211072