「フィギュアスケート・マガジン 2019-2020 Vol.6 四大陸選手権特集号」(1)

「フィギュアスケート・マガジン 2019-2020 Vol.6 四大陸選手権特集号」(1)

2020年2月18日発売。1,320円。Music with Wingsの方で忙しくて、購入が遅れていたら、近所の書店には「最後の一冊」だけ残っていて、ラッキーでした。

この雑誌を買うと、まず「座談会」から読むようにしているので、軽く感想をまとめておきます。

(1)バラ1とSEIMEIに戻したことで、そして羽生さんが自信を持って滑りきった姿を見て、座談会の4人みんなが「ホッと安堵」というトーンで一致しており、これにはニンマリしました。プログラムを「戻した」ことで採点がどうなる、とかそんな話は一切なし。

(2)そういえば、今日は「こんな記事」を見かけましたけど、「フィギュアスケートは、舞台芸術とは、表現力・完成度・芸術性では、初めから勝負にならない」と断じたという「あるベテランの国際ジャッジ」もコソコソしてないで、実名で発言すればいい。しかし、フィギュアスケートに関わる人間なのに「勝負にならない」とは情けない。この方、どうせ全日本のジャッジ席に座っていた誰かだと思いますが、こういう志の低い方々だから、そりゃ羽生さんの演技に正確な判定ができずに「村社会」の論理でsage採点をするわけですよ。

(3)話を座談会に戻して、今回、小海途神の、一見素朴なようでいて鋭い一言が冴えていると感じました。

・演技をしている間、ずっと「いい表情」だった印象があります。「気合」と「落ち着き」のバランスがとれていて、必要以上に入りすぎていなかった。だから「いい顔」が多かったですし、データを整理してみて、紙面で使えそうな写真が多かったです。冒頭の4回転ルッツで手をつきましたが、焦りみたいなものも感じられませんでしたね。引きずった様子もなかったですし。

演技後は、それほど疲れているふうには見えませんでした。それだけ体になじんでいるプログラムなんでしょうね。だからこそ疲労度も違うんじゃないのかなと。今季ここまで、「Origin」の時はすべて出しきっている感じがありましたから。

・僕はジャンプについては専門的なことは正直、わからないのですが、撮影していて、「今からルッツ跳ぶぞ」という雰囲気は以前よりも感じなくなりました。

・韓国に到着した日(2月4日)に仁川空港で撮影したのですが、バックパックを背負っていました。しかも、キャリーバックを引いていなかった。僕にとってはまずそれが新鮮で、最初は違う人が来たと思ったくらいです。それと、練習の時に着けていたアクセサリー。初日の練習(2月5日)ではエッジカバーの色も従来とは違っていたんですよ。持ち物も変えて心機一転という印象を受けました。

毎試合、膨大な枚数の羽生さんの写真を撮影して、そのデータを整理しているので(神の写真のクオリティによってスポニチの売り上げが左右されますから、真剣度が違う!)、観察の視点が独特ですよね。羽生さんの言葉を「うーんと」のレベルにまで耳を傾け、スポーツジャーナリズムの視点から分析をおこなうペン記者たちとは一味違った「気づき」がある。この3人はベストな人選だなぁと改めて感じます。

(5)おそらく、神の「持ち物も変えて心機一転」という言葉が呼び水になって、山口さんの「プログラムを『戻す』のではなく、『変える』『変わる』意味合いが強く、だから身の周りのものも変えたかったのかもしれませんね」という指摘を引き出して、「戻るのではなく、新しくするというフレッシュな感覚に近いと思います」という神の「まとめ」がまた素晴らしい!この部分には拍手を送りたいと思いました。

もし、OtonalとOriginを挟まずに、平昌五輪から間髪入れずに、18-19シーズンから、バラ1とSEIMEIを持ち越していたらどうなっていたか?「たられば」の話は建設的ではないとはいえ、当時の羽生さんは4Aに固執していましたし、いまのジャンプ構成とは違っていたでしょうし、SEIMEIで短縮された部分もまた違っていたはず。

決して回り道ではなかった。羽生さんの4CCでの表情を見て、私はそう感じた次第です。明日もマガジンのレビューを続けます。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. マリィ より:

    こんにちはレビューありがとうございます。私も買ってない!買わなきゃ笑
    私が4CCの直後、楽しそうに滑っていたと感じたのは座談会のお話の通りだろうと思います。
    平昌五輪の時は怪我があったから決死感が前面に出てましたからね。
    衣装のグリーンも心弾む色で羽生くんの心うちが現れているようです。
    私もこの両プログラムの再演はホッとしました。
    羽生結弦の原点に戻ったな、でも実りある回り道でしたよね。
    また新しい羽生結弦の演技の進化を見る事が出来ると嬉しくなりました。
    あるベテラン国際ジャッジの言葉は勝負にならないの台詞にモヤモヤしたんですけど、そうですよねこのジャッジのレベルが低すぎるからこんな台詞が出てくるんですね。
    羽生くんが見据えるフィギュアスケートの理想のほうが高いのでしょう。
    でもこのジャッジは羽生くんの言いたい事を考え違いしているように思えます。

    • Jun より:

      マリィさま

      まぁ、天才の価値は凡人には分からないというのを、私たちは現在進行形でまざまざと実体験してますよね。

      ただ、画家や音楽家のように、死後何百年後に再評価されるのではなく、「評価したがらないのは一部勢力のみ」というのが、決定的な違いです。

      羽生さんの現役時代に立ち会えてよかった・・・と、そんな幸運に感謝しなきゃいけないなと、改めて思います。

  2. ととちゃん より:

    マガジン、変わらず良かったですね。
    このメンバーの座談会はいつも安心して読めます。私も、特に今回は小海途さんの視点が際立っていると感じました。

    レンズを通してですが、試合ごとに 羽生選手に接写している訳ですから、微妙な違いまで感じるのかも知れませんね。小海途さんに限らず カメラマンの皆さんのレポやコラムに いわゆるスポーツライターにない温かさを感じるのも、視点の違いから来るのでしょうか。

    ところで、某ジャッジは羽生選手の発言をしっかり理解していませんよね。羽生選手は、フィギュアスケート=伝統芸術と言っている訳ではなく、例えとして、そのように連綿と受け継がれるに足るプログラムがあってもいいのでは、と語っていると思うのです。実際バラ1は もう芸術の域に達しているのに、この方には判断出来ないのでしょうね。
    で、実名を伏せている時点で、矢面に立つ自信もなく、陰でブツブツ言ってるだけの印象を、私も受けました。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      ですよねー、小海途さんの指摘が本当に冴えていると感じました。

      この某ジャッジさんは、同じ発言を、某先輩や某後輩がしたら、こんな論評をしたでしょうか?ぜったいにしないだろうと断言できますね。

      結局、「羽生の言うことは、ぜったいに認めない」という偏見・先入観があるんですよ。オリンピック連覇とフィギュアスケートの限界を引き上げたレジェンドによく言うわ・・・と。

      匿名掲示板のアンチのレベルと大差ない人間が国際ジャッジをしているという現状は、本当に嘆かわしい限りです。