羽生さんの4CCの写真と杉田秀男さんの「徹底解説」以外、ほとんど読んでいなかったので、ようやくまともにめくりました。
興味深い記述があったのは、巻末に掲載されているブノワ・リショーさんのインタ。羽生さんと直接関係する記述は無いですが、ご紹介したいと思います。
――いま、多くの日本選手の振り付けを手がけられていますが、きっかけはブノワさんご自身の希望だったそうですね。・・・スケート連盟にコンタクトを取ったときはどうでした?
彼らは、選手のサポートはしているが、振付師などの選考などには口をはさまない、ということでした。それは朗報でした。選手たちに自由な権限があるということですから。そのあと、何人かの指導者のコンタクトを得たなかで、カオリ(花織)のコーチ(中野園子コーチ)が私に興味をもってくれました。なので、ソノコが私に任せてくれた最初の日本人コーチですね。
――坂本花織選手の印象は?
彼女とやり始めて最初の20分で、私は「彼女は日本でナンバーワンになる」と確信しました。そして、すぐにそのことをコーチにも伝えました。その当時は、彼女が五輪代表になることを予想していた人はいませんでしたが、不思議と私にはそうなるだろうという確かな感覚がありました。私のその勘は間違っていなかった、ということになりますね。彼女には、特別なものがあると感じました。
――たとえば、どういった点で?
単純に「才能」という言葉は好まないので、あえて言うなら「アティテュード(物事に対する考え方や姿勢)」でしょうか。それから彼女から感じる人間性。彼女には、ほかの人にはないものを感じます。誰にも似ていない、彼女は彼女自身でしかない。唯一無二の存在ですね。
まず注目すべきは、スケ連との関係の部分ですね。「振付師などの選考には口をはさまない」というくだり。すでに海外の振付師とコネのあるようなチームは別にして、基本的にはコーチがスケ連に要望を出して、スケ連が海外の振付師を紹介する、ということなのでしょう。ブノワさんの発言を信じるなら、「この選手には、この振付師の方がいい」とか「このプロでは勝てないから、この振付師に作り直してもらいなさい」と、スケ連がコーチに口出しするということは無さそうですね。
ブノワさんと言えば、今季は佐藤駿君のSP・フリーの両プロを担当するので、実は個人的に大注目なんです。このインタの中で、ブノワさんは、自分が振り付けを担当した選手のジャンプやスケートなど、技術面の論評を意図的に避けているように感じます。坂本さんのような、高さと幅のあるダイナミックなジャンパーについても、その点に触れないのは、彼の中で深い考えがあるのだなと。
他にも、彼の独特な考え方がインタの中で随所に散りばめられているんですが、駿君のプロが映像として公開される時まで寝かせておこうと思います。
では、また明日!
Jun