「NHK 羽生結弦 10年間の軌跡」(1)

「NHK 羽生結弦 10年間の軌跡」(1)

これはなかなか良い番組でしたね。間違いなく永久保存版です。演技をじっくり楽しめる内容で、当時の背景情報を過不足なく入れて、本人のインタを挟みながら、うまく編集されています。さすがプロの仕事です。

私が録画した3月31日の放送分では関東地方の地震のテロップがガッツリ表示されたままだったので、「再放送」も録画する予定です。録り逃がした方は、ぜひチェックしてみてください。

約2時間弱の内容でしたので、まず前半部分だけレビューします。

(1)2010年名古屋開催

当時15歳、まもなく16歳の羽生さんでしたが、特にSPのホワイトレジェンドは、動きの一つひとつが若い!スピンもまだスピードは無いし、ジャンプの着氷も不安定。あえて言いますけど、SP単体で見ると、いまの、駿君や鍵山君の方が、クオリティは高いかなと思います。

で、フリーのツィゴイネですが、4Tの成功は見事でした。最後の方は疲れましたけど、このフリーの方が、その後の進化を予感させるような「非凡なもの」が見られるかなと。10年前の映像ですけど、持病の喘息のことが気になって、心配して見ちゃいますね。

(2)2012年利府(宮城)開催

一昨日昨日で紹介した「Cutting Edge」のインタを読んだ後なので、2010年と2012年の演技の違いがはっきり分かります。羽生さんの体型は細身のままではあるんだけど、全体的にガッシリした印象。そして、とにかく、ジャンプの着氷後の安定感、スケーティングの際の滑らかな重心移動も含めて、安心して見ていられます。これがトレーシーのスケーティング・レッスンの成果なのか!と。

で、パリ散は、やっぱりジェフの作る振付がかっこいいですよ。細かい動きの一つひとつが「突然オシャレになった」と思います。もちろん、そのオシャレさもトレーニングの賜物だから素晴らしい。そう考えると、2010年のN杯レベルの演技をできる男子選手は、いわゆる「純国産」でも今後現れてくるとは思います。ただ、2年での化け方が凄いので、この成長の幅が、世界のトップで戦えるかどうかの差なのかもしれません。

スケーティングが安定しているから、「花になれ」を情感たっぷりに演じきる余裕がありますよね。羽生さん、やっぱクリケット行ってよかったわ・・・としみじみ感じたのでした。

(3)2014年大阪開催

こういう特番でもなければ、このN杯はわざわざ見ることのない演技です。それより、番組の中で中国杯での「出血」の写真が使われていましたが、「それ必要?」とここは不満でした。

バラ1で大きなミスがあり、オペラ座も冒頭のクワドでミスが出た後、よくがんばりましたよね!クワドのミスで心が折れるのではなく、そこでスイッチが入るのが羽生さんのアスリート魂だよな・・・と思いました。悪い時にどれだけ粘れるか。それが本当に強い人の証だと思っています。勝利への執念。執着心ですよ。

将棋でも、若い頃の羽生先生、今では藤井七段も、形勢が悪くて負けそうな局面でも、クソ粘りをして、「地雷」を撒きまくって、相手が間違った瞬間に、一気に仕留めて、逆転を引き寄せます。

まさに14年N杯の羽生さんも、しぶとく4位でGPFに進出し、結果的に優勝しました。ハラハラさせるからこそ、羽生結弦は世界中で愛されるスターなんですよ。その意味で、藤井七段の将棋も、ここ最近は格上のトップ棋士相手に際どい勝負が続いていて、「聡ちゃんファン」は寿命が縮まる思いで毎回見ています(笑)。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. おの より:

    いい番組でしたね
    羽生くんの成長がよく分かりました
    おこがましいですが上手くなったなぁと
    羽生くんのピークはいつなんだろと思います
    テロップですが、私のは再生すると消えてました
    何が違うのか分かりませんが…
    しかしレックは難しいプロでしたね
    やる事が沢山あって、こなして行くのは大変でしょうか?
    見る方としては楽しめるプロなんですが…
    さて来期のプロ
    どうなるのでしょうか
    競技そのものが開催されるのか心配ですね

    • Jun より:

      おのさま

      たしかに、クリケットに移籍してからの羽生さんのプロは、彼自身が技術の向上を求めていることもあって、特にレックレは「忙しすぎる」という部分はあるかもしれません。

      他方で、Otonalやバラ1は3Aの前後の部分は超絶難度を誇りますが、そこまで見ていて「忙しさ」を感じません。すでにあれだけのテクニックのある人なので、スピード感のある曲を選ばなくてもいいような気がします。そういう方向性は、FaOIのコラボプロで弾けてくれればいいなと、個人的には思います。

  2. るる より:

    JUN様こんばんは。
    ハラハラさせるから・・・
    ナルホド、そんなふうに考えた事ありませんでした。たしかに、北の湖(古っ)みたいにドカッと安定してたらまた違ったかもしれませんネ。
    不安定なのは常にギリギリ、高みを目指しているからこそ。
    そういう意味で、今安定を見せているネイサン、彼は今後何を目指すのか?彼が北京五輪で優勝しても面白くもなんともないよなー、と思う反面、あれで取れなかったらちょっとかわいそうかナ、とも思ったり。案外持ってないトコありますよね、彼。

    話がそれてしまいました。先日ご紹介いただいたCutting Edgeおもしろそうですね。中古で買っちゃおうかなー。

    • Jun より:

      るるさま

      比較的最近の例で言えば、エテリのチームにいた頃のメドちゃんは、「これ、試合する意味ある?」というぐらい「勝って当たり前」だったので、ハラハラからは程遠かったですよね。故障がなければ、平昌五輪でも勝っていたかもしれません。

      Cutting Edgeは、当たり前だけど羽生さん以外の男子選手もみんな若いんですよ。その若いことを良いことに、記者たちもかなり馴れ馴れしく質問しているので、当時と同じスタッフが関わっているはずの「Quadruple Axel」よりもくだけた作りになっています。低価格のものが出品されていれば、ぜひ入手を検討してみてください。

  3. ととちゃん より:

    そうなんですよね、ホワイトレジェンド。要素をひとつひとつ こなして行ってる感が、まだまだ伝わってきますよね。でも精一杯手の動きまで気を配っているのは分かるし、その「ひとつひとつ」感が、一生懸命生きようとする瀕死の白鳥を思わせて、なんだか涙が出そうになりました。

    チゴイネはもう、無邪気としか言いようがなく、この後経験する色々を知っている身には
    ただもう、可愛いの一言でした。N杯特集だから、ここからパリ散へ一気に飛ぶんですよね。そこだけは残念ですが、その分上達がはっきり分かりますよね。

    クリケットに行けば誰でも上手くなる訳ではなく、教わったことを余さず吸収しょうとする姿勢がスケーティングの上達に繋がったのでしょうね。本当によい番組でした。
    ところで、私のレコーダーは花になれでテロップを被せてきたので(涙)、再放送のお知らせ、ありがとうございます!

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      11-12シーズンの特にロミジュリは、羽生さんを語る上で外せないプロですが、逆に「N杯」という縛りがあったので、あまり回数を見れていない映像も見れて、新鮮でしたね。

      例えば、クリケットでのスケーティング練習に耐えられなくて、チームを離れたのがナム君でした。でも、氷上でのすべての動きに関わってくるスケーティング技術の重要性を、ジャンプの達人の羽生さんの「軌跡」を見ていても、本当にはっきり感じますよね。

      リンクでの練習のできない今、羽生さんは大丈夫だろうか?と心配ではありますが、「1秒たりとも無駄にしない」彼のこと、しっかり考えて身体を作って、イメトレを繰り返していると信じています。

  4. ひととき より:

    以前にお話したような気もしますが、私は2010年N杯White legendでファンになりました!冒頭の3Aに心奪われてしまって。

    そういう訳で、今回の番組は、羽生ファンとしての自分の、10年間の軌跡のようにも思いました!
    リアタイで、羽生君の進化を見届けられる幸せを改めて感じています♫

    • Jun より:

      ひとときさま

      たしかに、3Aは柔らかに決めましたよね!にも関わらず、その後のトリプルでミスが出たのが意外で・・・。

      あの年齢で、すでにそれだけ3Aに自信を持っていたからこそ、いまの彼があると言えるのかもしれません。あらゆる面において規格外のスケーター。とても良い番組だったと私も思います。