「カルチュラルブック 2020-2021」(2)

「カルチュラルブック 2020-2021」(2)

カルチュラルブック」のレビューシリーズ。今日はマッシさんによる「3本立ての解説記事」から、「ジャーナリスト詳細解説」という部分をご紹介します。

ここでは、コロナ禍で2020-2021シーズンが「開幕」してからの動向を踏まえつつ、羽生さんのGPシリーズ欠場という決断、全日本の長野の地に現れた羽生さんの公式練習、そしてコーチ・振付師不在で羽生さんがプログラム作りと調整を行った意味について語られています。

数ヵ月前、二度のオリンピックチャンピオンは、彼ならではの冷静さと確固たる意志によってグランプリ大会から合法的に辞退した。決断の理由には説得力があり、パンデミックによって引き起こされた非常に困難な事態に十分な注意を払うように、という警告のように聞こえた。

・・・そして彼の判断は正しかった。スポーツ以前により重要なことがあり、純粋にスポーツという観点から考慮しても、今シーズンのグランプリ大会はほとんど意味のないものになったからだ。

今季のGPシリーズは、スケカナ、フランス杯、そしてファイナルも中止。スケアメ、中国杯、ロステレ杯、N杯の4大会のみの開催で、しかも事実上の「国内選手のための練習試合」と言っていいかと思います。各国の感染対策はバラバラで、アメリカは「バブル方式」が徹底されて選手はキスクラも表彰式もずっとマスクでしたが、ロシアは緩みっぱなしのスカスカで、日本の大阪開催のN杯はその中間って所でしょうか。それでも、観客席の密集具合や、須本君の欠場の件など、こんな運営で全日本できるの?羽生さんは出ちゃダメでしょ?と、私自身も不安に思っていました。

最初の公式練習(12月24日)から羽生結弦が極めて順調に進んでいる印象を受けた。4回転サルコウ、4回転トウループ、3回転アクセルはいとも簡単に自然に実施され、その身体表現から彼が非常に冷静で、自信があることがうかがえた。

全日本は取材記者・カメラマンの数が制限されていて、だからこそ、各紙のペン記者の頑張りが凄かったですよね。公式練習をスタンドで取材した記者の大半はTwitterの個人アカウントから、マガジンばりに分刻みでジャンプの一本一本の状態を詳しく伝えてくれました。

従来はここまでの詳報は、大会が終わり、マガジンが発売されてから我々が知ることになったわけですが、報知の高木さんがTwitterで情報発信してくださったことが口火となり、スポニチや日刊、朝日新聞の記者さんも続き、いまや、カメラマンさんまでTwitterで羽生さんの素晴らしさを語る時代となりました。羽生さんのファンはみんながみんなすぐにマガジンを買えるわけではないので、世界中のゆづファンに向けて日本の記者さんが本当に頑張ってくださっているなと。感謝の気持ちでいっぱいです。

身近に師範がいないことは、(羽生さんが)その時々のニーズに対応し、完全に自立して全ての決断を下すために、長い年月の中で学んだことを最大限に実践する機会だった。

・・・この状況は、彼を更に成長させ、豊かにする絶好の機会であり、財産になったと私は確信している。彼の責任感とモチベーションを一層高める状況であり、競技人生においてあらゆるタイトルを勝ち取った者は、いかなる種類の挑戦にも決して屈することはないのだ。

先日、テレ朝チャンネル2で「GPシリーズ直前スペシャル」が再放送されていて、羽生さんの部分だけ見たんですが、例えば、19-20シーズンのスケカナOriginは、Originの中でもベストに近い内容なんですけど、全日本の「天と地と」と比べると、着氷でこらえた4Loだけでなく、後半のジャンプもけっこう危なく感じました。

羽生さんは、全日本の記者会見で「一人で調整していた時期の苦悩」についてはっきり語っていましたが、どちらの演技が優っていたか?を映像だけで見比べて言うと、仙台での調整が必ずしもマイナスになっていないと感じます。だからと言って、「クリケットに戻らない方がいい」と言うつもりはなくて、自信を持ってワールドに向けて調整してほしいと思っています。

では、また明日!

Jun


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