引き続き「カルチュラルブック」のレビューです。今日もマッシさんの「3本立て解説」から、「ショートプログラム解説」をご紹介します。
こちらの解説、見出しの部分に彼の主張が端的に集約されています。
不思議かつ理解できなかった判定
関係各所に忖度する必要はまったく無い方なので、これが常識的な見立てですよね。SPの採点で話題になった「シットスピン」について、マッシさんは「レベル2またはレベル3の評価が妥当」という見解を示しています。
マッシさんのジャッジへの疑義はこれだけではなく、SPの3AのGOEについて、厳しく批判しています。
一傍観者として、9人の内4人のジャッジが、なぜ3回転アクセルがGOE満点に値しないと判断したのか、その理由を知りたい。一体何が足りなくて+5ではなかったのか?
エレメントが音楽に合っていなかったのか?
踏み切りから着氷までの姿勢が正しくなかったのか?
ジャンプの前のステップがなかった、あるいは意表を突く入り方ではなかったのか?
この意味において、+5ではなく+4を与えたジャッジにとっては、必然的に前述の3項目中2項目を満たしていなかったことになるが、正直なところ、笑ってしまう一方で怒りも覚えている。
マッシさんに言わせれば、要するに、この4人はプロフェッショナルじゃないということなんですよね。そういう批判には、この方々は「ボランティアでやってるんだから!」と、どこかで聞いたような反論をするのでしょうか?
リザルトの「リンク」も貼っておきますが、「J1・J3・J8・J9」が該当します。ちなみに、SPでJ9に座っていた下出彩子氏はフリーではJ2に座って、「天と地と」の各エレメンツに対してGOE+2や+3を連発していますが、この点について、マッシさんは言及していません。まぁ、あまりに酷すぎて指摘する気すら起きなかったのでしょう。
小さな乱れや細かいミスはさておき、プログラムは選曲に顔をしかめた人々さえすぐに納得させた。羽生結弦は長い間、競技で使っていなかったリズムと音色を特徴とする音楽を完全に掌握し、曲と一体化していた。
当然のことながら、このプログラムはここから世界選手権までの間に進化の一途を辿るのみであり、最小目標は彼がこれまでに何度も叩き出した110点の大台を超えることである。
「Number」で本田武史さんがSPも高く評価していて、「110点を超える」と予想していました。ちなみに、現行の採点制度のバラ1で、18年の「平昌五輪」は「111.68」、20年の「4CC」で「111.82」でした。
以前もどこかで書きましたが、羽生さんにとっての全日本の採点は、サッカー日本代表にとっての「中東の笛」と同じ、完全なアウェー仕様です。ただ、ストックホルムのワールドで(全日本と同じ構成で)ノーミスしたとしても、うーん、111点台は厳しいような気もします。110点台が出れば十分じゃないでしょうか。
私自身は大好きなプログラムですから、海外のジャッジがどう評価するかはとても気になりますね。
「選曲に顔をしかめた人々」という点で言えば、たしかにロビーは、プリンスに比べるとネームバリューは落ちますし、特に日本では同名の楽曲があるクイーンの方がメジャーですから、ネット上ではそこまで熱い反応ではなかったと記憶しています。
私は、曲名だけが発表された時に、クイーンの曲とロビーの曲を同時に聴きましたが、クイーンの方はちょっとテンポが速すぎてキツイかな?と感じました。いま改めて聴いてみると、クイーンの方も曲自体はカッコイイので、この曲でなくても、いずれ羽生さんの滑るクイーンは見てみたいなぁ・・・とは思います。
では、また明日!
Jun