「Ice Jewels Vol.13」(3)

「Ice Jewels Vol.13」(3)

引き続き、ジュエルズ最新刊のレビューです。都築先生のインタから、4Aについての見解を取り上げてみます。

2年くらい前に練習でやったと聞いてビデオで見たのですが、回っている、というところまで行っていましたから、かなり完成の度合いは高いと思うんですよね。ただ、難しい点もありまして、4回転半の回転をすることによって、どうしても、3回転アクセルの軸や感覚が変わってしまうということがあるんです。

昨シーズンのいくつかの試合で3回転アクセルに失敗することが見受けられたのは、4回転アクセルを練習したからだと思いますね4回転半を練習することによって、同じアクセルの回転がわからなくなるだけではなく、ほかの4回転のバランスも崩れてきます。そうしたこともありますから、競技会で4回転アクセルを入れるには、そうしたものすべてのコントロールができるという相当な技術的な自信がないと、難しいですね。

なぜこれを昨日のレビューと切り離して取り上げたかと言うと、4Aの影響について、都築先生と正反対の考えの専門家もいるからです。それは、本田武史さんです。「Number 1019」からご紹介します。

一番変わったのは、ジャンプの空中姿勢での肘ですね。昨季まではちょっと肘が上がった状態でしたが、今季は脇を締めているんです。本人に「軸が細くなったね」という話をしたら、「独りで練習しているからそういう所(外から見た姿勢)は分からない部分だった」と納得した様子でした。軸が細くなった分、回転に余裕ができている印象でした。

4回転アクセルの練習をしていくうち、軸を細く、脇を締め続けるフォームが自然と身についたのかも知れません。僕自身も現役時代、4回転になるとどんどん脇を締めていけば、軸が細くなり回転が速まる、ということは実感していました。

本田さんのこの見解は、上に埋め込んだ「フリー振り返り」でのやり取り(2:45~)が元になっていますね。ちなみに、本田さんと共通した意見なのが、ガンディさんですが、彼はSPの分析の中で「それにしても、特に3Aの脇の締め方が4CC2020のときとは別人みたいなんですけど」と驚いていました。

そもそも、羽生さんが19-20シーズンで3Aをミスしたのは、トリノファイナルと全日本のオリジンですから、「これって完全に過密日程の疲労によるものでしょ?」と、私なんかは思います。その前後の試合では問題なく跳んでますからね。

まぁ、いろんな意見があっていいと思います。実際に羽生さんが4Aを入れるとしたらフリーの冒頭でしょうが、今月のワールドや北京五輪ではまず跳ばないだろうし、来季のGPシリーズかB級試合か・・・。いや、その次のシーズンになるのか。羽生さん自身にも明確なプランはまだ無いような気がしますね。

では、また明日!

Jun


にほんブログ村

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル(大)

コメント

  1. 雪女 より:

    以前何かの雑誌で(かなり前の話かもしれません)、本田さんが、羽生選手の3Aの跳び方は、脇をあまり締めない体勢でバランスをとって跳んでいる、と言っていた記憶があります。なので、佐野先生が4Aを跳ぶには、脇をもっと締めると良いと仰っても、それって可能なのかな?と思っていました。でも、今回本田さんもガンディさんも変わったと思われたのですね。
    私は、全日本フリーの3Aではあまり違いがわからなかったのですが、確かにSPでは以前と脇の締め方が違うように見えます。
    4Aの練習によって軸が細くなって、他のジャンプにも良い影響がある、って思いたいです。

    • Jun より:

      雪女さま

      そもそも、全日本までの間、4Aの練習をどれぐらいの優先順位でやっていたのか、不明ですよね。

      今の構成でノーミスできれば間違いなく勝てますから、体力強化も含めて、本人はそちらを重点的に取り組んでいるような気がします。

      しかし、スウェーデンのロックダウンの情報が出てきて、もしかすると、中止もあるかもしれないですね。