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69手目を広瀬八段が封じて、1日目が終了しました。形勢はAIの評価値も両者50%とまったくの互角。持ち時間の差は、広瀬さんの方が2時間多く残しているという状況です。
先手番の広瀬さんが、やはりとっておきの研究を準備して、これに藤井竜王が長考に沈む場面が目立ちました。一時期、3時間の差が開いていましたが、封じ手までに広瀬さんが80分以上費やしていたので、現局面は広瀬さんの事前研究の想定を外れたのかもしれません。
ところで、サッカー日本代表の森保ジャパンは、ドイツ戦の後半に「3バックに布陣変更」しましたが、試合後に選手たちから「ぶっつけ本番」というコメントが上がっていました。おそらく、ドイツ代表のスカウティングチームは想定していなかったはずで、逆転勝ちの一因となりました。もちろん「ぶっつけ」とは言っても、代表合宿での非公開練習では試しているはずですが。
今年の竜王戦七番勝負のここまで5局全てで、広瀬さんはまさにこの3バックのような「とっておきの秘策」をぶっつけで実戦投入していて、これに藤井竜王が1日目から持ち時間を大量消費する展開になっています。1局目こそ藤井竜王は完敗しましたが、2局目以降は竜王はその「秘策」への対応策をその場で発見して、逆転を手繰り寄せているわけです。
広瀬さんは、イングランドのアーセナルというチームのファンで、海外サッカーをよく観ている棋士なので、まさにその意味で、サッカーと共通するものを感じます。
というわけで、2時間のリードを背景に、広瀬さんがこのまま押し切るか。藤井竜王がひっくり返すか。2日目はそういう戦いになるでしょうね。とても楽しみです。
ところで、今回、記録係も和服姿だったのが印象的でした。かつて、竜王戦は記録係も和服を着ていたんですけど、いつからか、他のタイトル戦と同様にスーツでも可という形に落ち着いていました。で、今回担当の松下初段は「中学、高校時代に着付けを習い、現在は一人でサッと着付けができる」とのこと。プロ棋士でさえ和服を一人で着れない人が大半なのに、修行中の奨励会初段の若手で着付けができる人なんて、非常に珍しいです。ぜひ将棋の方も頑張って、四段昇段を果たしてもらいたいですね。
では、また明日!
Jun