「キスクラ」のレビューの続きです。
今日はテキスト部分をご紹介しますが、3,500円もする本なので、「ネタバレしすぎない」ことを念頭に置いて、印象的だった部分をピックアップします。
・山田真実先生(4歳から小学2年生までの時期の羽生さんを指導)
「(幼少期の結弦は)“一生懸命に努力する”とか、そういうところは当時は微塵もなかったですね…口では『やる』と言うのだけど(苦笑)。そういうところは、子どもらしかったですよ。だから厳しく教えました」
「『能力があるにもかかわらず、ものすごく努力をする。できるまで練習する。彼は世界一になって当たり前』と阿部先生が言っていたんです。その変化は、私の後のコーチである都築章一郎先生によるものではないでしょうか。都築先生がうまく引き上げてくれて、結弦は努力することの大切さを知ったのだと思います」
以前のNumberのインタ等で、山田先生は「怖い」「厳しい」「だから羽生さんとは合わなかった」という先入観を私は持っていたんです。ただ、今回のインタを読んで、認識が変わりました。おそらく、羽生さんが努力するようになった「スイッチ」を押すきっかけは、指導者の人柄・手腕だけではなく、羽生さん自身の中での「スケートの位置づけ」が変わったからだと個人的には思います。そのような意識改革に至った背景は分かりません。山田先生がおっしゃるように、都築先生の指導かもしれませんし、羽生さんのお父様・お母様の教育かもしれませんし、羽生さん自身が自発的に変わったのかもしれません。
人が努力するようになるきっかけを、コレ!と特定するのって難しいと個人的には思います。特に幼少期の頃ならなおさらです。「俺、なんにもしてないのに、なんで人よりできるの?」「だったら、もっとがんばろっかな?」と急に思い立つことはあって、周りで(自分と別のジャンルだとしても)頑張っている人を見かけたり、ドラゴンボールのような漫画やアニメのキャラに影響を受けて、「じゃあ、おれも強くなってやる!」と思ったり、いろいろだと思います。ここは、キスクラの編集担当者さんが羽生選手自身に質問してみてほしいですね。
・ANA CX推進室業務推進部 田澤舞さん
「(羽生選手のプロ転向は)所属選手ですので恐らく企業としてはいちばん早くご報告いただいたかと思います。ちょうど仙台に行く機会があり、その時にご本人から直接お話を聞きました」
「お話を聞いてから記者会見を開くまであまり時間がありませんでしたし、羽生選手の『自分の言葉で皆さまに気持ちを伝えたい』という意向もあって最小限の人員で動きましたので、準備はなかなか大変でした。羽生選手ほどの選手ですと注目度も高く、たくさんの問い合わせが想定されましたので、情報統制しつつ社内の体制を整えるのも大変でした」
いつも変わらず羽生さんを支えてくれたのが、ANAさんでしたよね。この会見に関しても、尽力いただき、ファンの一人としてどんなに感謝してもしきれません。今後、羽生さん&ANAさんで「様々なコラボ企画」を構想しているとのこと。楽しみにしています。
・コーセー 宣伝部 山内鞠那さん
「(『みやびやかなひと刻』は)弊社のSNSの中でも最もエンゲージメントが高くなっています。特に9月に配信した“美の追求”というテーマの第八夜はすごかったですね。羽生選手の『“美”だと感じるプログラムは何ですか?』の問いかけに、1400件を超える回答が集まりました。テンポが速いショート動画が好まれる傾向にありますが、『みやびやかなひと刻』はあえて6~7分の長尺で、ゆったりとした気持ちで楽しんでいただけるものを目指しています。それが成り立つのも、ひとえに羽生選手の柔らかな声と語り口によるものだと考えております」
「羽生選手とのつながりは弊社が日本スケート連盟のオフィシャルスポンサーになった’16年からになりますね。新たなスタートを切られた羽生選手が、これまでになかった新しいフィギュアスケーター像を築き上げることを楽しみにしています。そして、その挑戦を我々はこれからも応援させていただきます」
『みやびやかなひと刻』を全編聴けるのはインスタのみというのがポイントですよね。インスタは特に女子率の高いSNSですし、インスタで雪肌精を詳しく知ってもらうことに意義がある。もし、TwitterやYouTubeでもマルチポストしてしまうと、結局、「自分の使っているSNS」でしか見てくれないので、インスタのアカウントをフォローしてもらえないんですよね。そして、あえて「トレンドとは距離を置いた長尺」で、動画・画像がメインのインスタで「音声中心のコンテンツ」というのも、インパクトはあるのかなと思います。
このインタの企画の中では、もちろん「GIFT」の話はまだ出ていません。この宣伝部の方が「GIFT」についてどこまで承知していたか不明ですが、でも、「これまでになかった新しいフィギュアスケーター像」「その挑戦を応援させていただきます」というコメントにはピタっと合致していますね。
この他に、仙台ローカル局の「ミヤギテレビ」と「東日本放送」の関係者のインタからも「初出の情報」が飛び出してきます。ただ、こちらに関しては実際に購入して読んでみてください。生出演に至るやり取りが明らかになっています。
メタルジョギング・チャレンジは111日目。SAXONの『Denim And Leather』(1981年10月)です。ここまでの10枚の作品のバンドと比べると、今回のSAXONは知名度で言うとガクっと落ちるので、実は私もまったく音を聴いたことが無いバンドでした。70年代後半からイギリスで発生したNWOBHM(ニューウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)というブームの際に注目されて、当時そのブームの中で語られていたIRON MAIDENやDEF LEPPARDが大ブレークしたのとは対照的に、ブリティッシュメタル愛好家の間でカルト的な人気を誇っています。
まぁ、こういった小難しいお話を置いといて、実際にその音を聴いてみると、思ったよりも普通だなと。MOTORHEADのような荒々しいサウンドでもないし、上述のIRON MAIDENのように高い演奏技術&練り込まれた楽曲展開という特徴もない。なんというか、とんがった個性が無いんですよね。
・・・とここまでは、ジムで走りながら音だけを聴いてみた感想なんですが、ライブはめっちゃ盛り上がってるし、メンバーのビジュアルも濃い!ドラムの人の黒ハチマキは「サクソン」ってカタカナ表記ですが、会場は日本じゃないようですね。
でも、「デニムにレザー」というアルバムタイトルを冠する、9曲目の「Demin And Leather」は、映像無しでもカッコイイ曲だなと感じました。やや重さに比重を置いた、ズシっとした質感のリズムが繰り返されながら、ザクザク刻むギターがカッコイイ。この曲はそんなに古さを感じません。お客さんたちが「デニム!アン!レザァ!」を拳を握りしめてシャウトしている姿は微笑ましいです。
では、また明日!
Jun