「フィギュアスケート・マガジン 2022-2023 Vol.2」(1)

「フィギュアスケート・マガジン 2022-2023 Vol.2」(1)

ジュエルズ」と「マガジン」、どちらから読み始めようか?とちょっと悩んだんですが、やっぱり「マガジン」の、だったら、「記者座談会から行こう!」ということで、感想をつらつら残しておきます。

高木「正直に言うと、羽生選手に私から『こういう滑りをやってほしい』という希望はないんですよ。この1年、プロとして新しいものを見せてくれた。ここからさらに…というものが、ないといえばないんです。強いていえば、今回のファンタジーは囲み取材がなかったので、またお話が聞きたかったぐらいですかね

この座談会の前半部分で触れられていましたが、取材日の幕張初日公演には地震があって、公演が一時中断されましたよね。もしかしたら、余震の影響等を考慮して、取材が急遽中止になったということじゃないんですか?

で、高木さんの「『こういう滑りをやってほしい』という希望はないんですよ」というのは、決してネガティブな発言ではないですし、賛同できます。もちろん、私も細かい話をすれば、「ToshIさんとまたぜひ!」とか、「グッチさんとコラボを!」とか、「清塚さんとツアーして!」とか、「Continues 2をそろそろ!」とか、日常的に願望を語っています。でも、それは素人が思いつくレベルの話で、「誰も見たことの無いスケートの世界」ということだと、羽生さんの思いのままに・・・ということなのでしょう。高木さんのおっしゃりたいことはそれだと思います。

ただ、「GIFT」に関して言うと、私にとってはなかなか軽い気持ちで日常的に見られる「表現世界」じゃなかったんですよね。少なくとも、スマホで「流し見・ながら見」できるものではまったくない。「羽生結弦の苦悩と葛藤の歴史」が赤裸々に明かされている。当然そこから読み解けるものは、「世の中、理不尽なことばっかりじゃないか!あの羽生結弦でさえも!」と。羽生さんのスケートを心から愛し、応援を続けてこられた皆さんなら納得してくださると思いますが、彼が置かれてきた状況を深く知れば知るほど、辛くなる。特に、平昌五輪後は酷かった。もし自分が、「フィギュアの羽生くんの演技は、全日本と五輪をテレビで見るぐらい」みたいな、ライトなファンだったらどれだけ「幸せ」だったか?と思うこともありました。

でも、そんなファンの存在も認めて、すべて受け止めて、「みんなここにいる」と語りかけてくれたのが、あの「GIFT」だった気がします。座談会の中では「ロンカプ」の話が出ていましたけど、それも含めて、羽生さん自身にとっても、あの東京ドームという場所で「過去との決着」をつけられたんじゃないか。彼にとっても、我々にとっても「必要な場所」だったと思えてなりません。

藤原「GIFTを超えるものはなかなかないと思いますが、1人で、どこまでできるのかというのを見せてほしい。あとは、クワドアクセル(4回転半)を見たいです。去年の7月の決意表明会見でも、本人が言っているわけですから。羽生選手ほど美しいジャンプはないわけで、やはり見たいなとおもいますね」

この見解はやはりスポーツ記者さんならではという感じがします。私自身は、4Aをいま見たいとはまったく思いません。あれを1回成功させるために、深夜のアイリンで何日も何日もいったいどれだけの練習を積まなきゃいけないのか。他のあらゆるものを犠牲にして、大怪我のリスクと隣り合わせで、時間と労力を集中投下しなきゃいけない。おそらく、すでに重要なプロジェクトが進行しているはずで、プロスケーターだからこそ「怪我のリスク」を徹底的に回避することが、周囲からも求められているんじゃないでしょうか。

山口「フィギュアスケート・マガジンとして、『羽生結弦に力を届けたい。雑誌として正しいことをしたんだ』という自負もあった反面、彼の(役柄として)セリフに『疲れた』『もう動けない』と言ったあたりに、なんかこう、身につまされた感じがしたんですよね

小海途「写真を撮ることは彼を応援することだと思ってやっていましたから、苦しめているのかもと自問することはこれまでなかったのですが、応援、期待が時に重荷になることがあったのかもしれません

羽生さんのプロ転向後、「マガジン」がなかなか出版されなかったのは、山口さんの体調面によるものが大きいとはいえ、でも、これはさすがに考えすぎでは?という気もします。じゃあ、誰にも注目されず、取り上げられなかったら、羽生さんが己を奮い立たせてこんなに過酷なショーを実現できていたのかどうか。人間、「自分の代わりなんていくらでもいる」とか「自分がいなくなっても、誰一人として困らない」という発想にハマってしまうと物事を放り出したくなるもので、そこをいろんな「支え」の存在を感じながら、みんなギリギリの所で踏ん張っている。「支え」というのは、必ずしも家族やファンのような「他者」である必要はなく、自分自身の中での「拘り」であってもいい。

しかし、こんなプロの記者さんたちをも大いに悩まされるショーを、あの短期間で創造したのだから、やっぱり羽生結弦は凄いよなと。で、話は堂々巡りですが、次はどうするんでしょうね。コンセプトで攻めるか?スケールの大きさで攻めるか?いやはや、まったく予想できません。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. おの より:

    こんばんは
    ほんとに予測が出来ませんね
    いつも斜め上を行く人ですから、私達には想像も出来ない事があるんじゃないかな?って思います
    ワクワクドキドキですね
    GIFTは何回もやれませんよね?
    体力考えても厳しいと思いました
    同じ事はやらないかも知れませんが…

    今日は伊藤さんの衣装展を見てきました
    羽生さんのは2着でした
    他のスケーターさんの衣装もじっくり見てきましたよ
    いきなりグッズ売場に案内されました
    何故ならすぐに売り切れてしまうようで…
    私が午後行った時には既に何点か売り切れ…
    残っている物が少なかったです
    1人一枚になってました
    多分最初の頃の人達が沢山買っていったんだなぁと思います
    どうやらオンラインで販売されるようで、買えなかった人は喜びますね
    しかし毎日暑くて、早く涼しくなって欲しいです
    Jun様ご自愛下さいね

    • Jun より:

      おのさま

      GIFTのような規模になるかどうかは不明ですが、「羽生結弦ワンマンショー」のリクエストは確実にあると思いますよ。

      ショーやライブビューイングのチケット販売数だけでなく、CS放送やストリーミングサービスの契約数、グッズの売り上げ等々、あらゆるデータが揃っているはずで、おそらくSOIやFaOI辺りとは「はっきりと差が出ている」と思います。

      私の地元の映画館でのライブビューイングに限っても、プロローグやGIFTと比べると、FaOIは空席が目立ちましたからね。どの媒体が彼の「ワンマンショー」の配信を勝ち取るのか、争奪戦になるでしょうね。

      伊藤聡美さんは、腰痛が悪化して大変だそうですが、大勢のお客さんが足を運んでくれて良かったですね。「羽生さんの衣装が2着だけ」でそれだけ集客できるというのは、ビックリです。