リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。ショートでピックアップした5人の選手を、フリーでも見ていきます。
メドベ。フリーは143.66の4位。合計205.90の7位。フリーのプログラムはそのままですが、衣装はダークな色合いに変えてきました。そして、「また」フリーの構成を変えてきました。今季の出場試合のプロトコルを貼っておきましょう。上から時系列で、「オータム」→「スケカナ」→「フランス杯」→「ロシアナショナル」です。
今回の構成で特筆すべきは、2本目のジャンプを、3S-3Loにしている部分です。私の記憶では、彼女は「チームエテリ」時代もセカンドループを跳んだことは無かったと思うのです。よくこのチャレンジングな構成で、ミスらしいミスを2A-3Tのセカンドの転倒&DGのみに留めたな・・・と驚いています。
ナショナルということもあり、PCSをかなりもらっているので、国際大会でどれぐらいのスコアが見込めるかは未知数です。ただ、今の彼女に必要なのは、ノーミスに近い演技を目指して、それを継続すること。そして、自信を取り戻すことです。たしかに相変わらずジャンプは重そうに見えますが、スケーティングの伸びは増していると思います。リベルタンゴをバックにステップに移って以降、ずっと鳴り止まない手拍子と拍手は感動的でした。
シェルバコワ。フリーは155.69の1位。合計229.78で優勝。タラソワさんも大興奮の、4LzのGOEに+4.44という加点が妥当かどうかは別にして、ボーヤンは除くとしても、男子並に質の高いジャンプだったと思います。これはお見事でした。
それ以外はスピンで若干の減点があった以外は、ほぼパーフェクトな出来。ただ、この超大技を成功させて、たっぷり加点をもらっても、トゥルソワ&コストルナヤとのスコアとは僅差なんですよ。だから、ショートでは3Lz-3Tの安全策を取って確実にスコアを出してから、フリーで勝負に出るという作戦が的中しましたね。この構成が彼女にとっての「最適解」であるとしたら、今後も安定して好成績を出せるようになると思います。
正直、JGPファイナルの彼女の出来を見て、もう1シーズンジュニアで修行かな・・・と思っていました。おそらく、世界ジュニアのロシア代表は今回の表彰台のメンバーがそのまま出てくると思いますが、二人の同僚と僅差の争いになるとしたら、シニア昇格もありそうです。日本女子にとっては大変なライバルですね。
ザギトワ。フリーは131.41の12位。合計212.03の5位。足首がコブのように腫れている画像を見たのですが、あの腫れは左足の内側辺りなんですよね。
冒頭の3Lzで転倒。めずらしく2Aでも転倒して、2本目の3Lzにセカンドがつけられないのを見て、右足の方が悪そうに見えたのですが、その後ケガの詳しい情報をキャッチできていないので、分かりません。まぁ、オリンピックで勝った後のシーズンはやっぱり大変です。羽生君だって、ソチの翌シーズンは、あの中国杯があって、お腹の手術もしました。ザギちゃんも、休まずに稼働したのは立派です。ユーロ出場は不明ですが、ワールドでは元気な姿を見せてほしいと思います。
コストルナヤ。フリーは152.14の3位。合計226.54で3位。記事の冒頭に貼ったリザルトの通り、スコアの内訳は、「TES:80.78のPCS:71.36」ですが、おなじノーミスのJGPファイナルでは、「TES:74.37のPCS:67.29(TSS:141.66)」でした。やはり、ナショナル特有のボーナスがついていますね。
このロミジュリの編曲についてはシーズン前のテストスケートから散々文句を言ってきたので繰り返しませんが、実は、彼女の伸びやかなスケーティングをじっくり見るにはいいプログラムだなと思えてきました。ジャンプももちろん良いんですけど、スケーティングの面で、トゥルソワ&シェルバコワより、個人的な贔屓目を度外視しても、優れていると思います。
トゥルソワ。フリーは154.75の2位。合計229.71の2位。ショートのPCSでは、シェルバコワを若干上回っていたのですが(トゥル32.17、シェル31:81)、フリーのPCSは、ついにシェルバコワにも抜かれてしまいましたね。
彼女も4Lzを着氷しましたが、シェルバコワに比べて若干グリ降り気味に見えました。それでもGOE+3.29がついています。4Tは転倒だけでなく、私の目視でもはっきり回転が足りてないと思ったのですが、きっちりURが取られています(これぐらい「足りてないクワド」でも、昨シーズンまでは当たり前のように認定されていた日本の某男子選手がいますが)。
その後はいつものようにノーミスの演技で、おそらく本人も優勝を確信していたと思いますが、スコアが発表されて「なんで私が負けてるの?」って感じの表情と手の動きをしていましたね。
うーん、これは私の想像ですけど、「降りられないならクワドにチャレンジするな!」って、ロシアスケ連からのメッセージなのかな・・・という気がします。しかし、これはファイナルのフリーのレビューでも書いたんですけど、クワドレスの構成にして、コストちゃんに匹敵するPCSをもらえるのかどうかって話なんですよね。ただ、勝ち負けという点では、ファイナルの借りを返したので、当面はクワドを2つ降りるという構成で行くんだと思います。
ネット上では「ポッと出のジュニアがいきなり表彰台独占」という論調ですが、いやいや、シェルバコワは今季苦労していましたし、トゥルソワもPCSが伸びずに昨シーズンのような楽勝はできなくなっているし、コストちゃんも今回はSPの転倒があって3位に甘んじてしまった。まぁ、勝った人も、負けた人も、悩みは深いです。ワールドおよびワールドジュニアでどれだけその悩みの元を解消できているか、期待しましょう。
では、また明日!
Jun
コメント
junさんこんにちわ。いつも貴重な情報&痒い所に手が届く感想をどうもありがとうございます!
勘が鈍い私ですが、今年の全日本は「高橋さんが2番で台乗りして代表に選ばれたのち辞退する」と予想して宣言もしていたので、家族に「珍しく当たった!」と言われましたが、それも束の間「でもそれって誰にでも当てられるよねぇ~~~!」と言われてしまいました。くぅぅ・・・
ついでにもう一つ予想を言えば今後、小塚さんはTVの露出が増えるのではないかと・・・
どんな話題だろうと名前が知られれば、いや寧ろ悪い話のほうが「人間的」とか言ってバラエティーで笑いのネタに使いやすいと見込まれそうで・・・
って、こんな予想当たらないほうが良いですね。
ふと桃さま
私は、2番は予想していましたが、辞退するというのは想定外でした。この辞退も「後輩を思っての美談」になっていますが、知っている人は知っている通り、単にミニマムを取りにいく根性がないから日和っただけという話ですね。チキンな性格は相変わらずです。
小塚さんは、自業自得な不注意かつ不用意な行動での「露出」は増えるかもしれないですが、その露出をプラス(?)に変えるようなコメント力(暴言力)があるとは思えません。滑舌悪くモゴモゴと何を言ってるのか分からない方ですから、ワイドショーや情報番組で取り上げられることも無くなると私は見ていますね。
フリーのステップ良かったですね!
以前より、胸や胴回りが大きくなったので、ジャンプは仕方ないかなと思います。
メドちゃんはこれまでの女優モードよりも、今季の闘う女モードが好きです。顔芸は、技術が上回っているときは効果的なんですが、技術面に不安ありの顔芸先行だと引いてしまいますので、今のスタンスで良いのでは。
しかし、背中のお灸の跡が痛々しい。なぜ肌襦袢あてないんだ・・・でもメドちゃんの格闘の跡が見えます。身体の軽い10代で終わらない息の長いスケーターになって欲しいですね。
Fakefurさま
2017年4月の国別対抗の現地会場(代々木)で、メドちゃんを見た時は、特に6連では、「一人だけ足にバネが付いてるんじゃないか?」ってぐらい、他の選手とは明らかに異質な動きをしていました。
あの頃と比べると、今は体型変化(というか食生活の改善)により、おそらく生で見ても印象は違ってくるのかなと思います。ただ、私はこのフリーを見ていて、「スケーティングの伸び」という部分に、彼女が今後進化するヒントがあるような気がしています。
エテリの教え子は、現状スケーティングで目を引くのはコストちゃんぐらいなので、メドちゃんが新しい武器を携えて、復活してくれたら最高ですね。
メドチャンの構成の変化には驚きました。実はウィルソンプロは滑りにくいという可能性は?逆にいうとそれだけの実力があるから構成変えても出来ることでショートも2週間で仕上げてきたわけですしそこは流石としか言えないです。フリーは確かにPCSサービススゴいと思いましたけど、ロシアのメドファンや関係者は待ってたんでしょうね?昨年まではロシア大会メドチャンだったわけだし。私達が結弦君恋しいのとおんなじかな?会場がホントに温かくてオーサーも挨拶させてましたね。ループののコンボは初めてみますね。Junさんよく研究されてて頭が下がります。
やはりザギチャンの怪我写真でみましたか?あれ骨折では?足首ではなくその上ですね。右足首も怪我してるのでは?膝は成長痛といってましたけど私も経験あるけどいつまでも続かない筈だから、怪我しても練習しているのが響いてないかと心配ですね。上手くやってほしい。ざぎちゃんみてるとこちらまで胸が痛くなります。ところが今日の情報で4Fの練習してると?映像もあるようですね。怪我を直す暇ないですね。
昨日のエブリー丁度TVでみました。神番組でしたね。転倒シーンはもうやめてほしいけど…。昨年の4ルッツ入れるオーサーは賛成してないけどこれをやらなかったら自分がスケートやってる意味ないといって私には衝撃的だった。全力応援しようと決断した日のことを思い出しましたが昨日のも大体は本人から聞いてはいましたが、ヤッパリ不安だったのか?ギリギリの演技だったのか?ジスランへの信頼よく伝わってきました。金メダルとった時も長くハグしてましたもんね。ジャンプはイメージで成功するんですかね?紀平さんからも最近聞きますね?。結弦君からはイメージ、感覚という言葉がよく出てきます。全部見終わったときにはホントに頑張ったんだなと泣いている私でした。それにしても、あれは24時間TVの時だと思うけどこんなに詳しい胸のうちを話すなんてスタッフを結弦君信頼してるんですね?今までもスタッフさんは漏らしませんでしたからね?こうなると来年も楽しみですね。
senninさま
ザギちゃんのハーネス付きの4Fの映像がTwitterで流れてきましたが、そんな練習やってていいの?と心配になりますね。
ただ、ザギちゃんに限らず、後輩たちの練習中のクワドもSNSで頻繁に発信する所は、このチームの戦略的な意図を感じます。だから、ケガが治ってるわけじゃないと思うんですよね・・・。その点も含めて、クリケットの「秘密主義」とは対照的で興味深いです。
今晩の記事は男子のフリーですが、明日エブリの感想をまとめる予定です。