四大陸選手権(女子フリー)感想

四大陸選手権(女子フリー)感想

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三原さん。フリーは141.97の2位。合計207.12の3位。よく頑張りましたね!ショートの演技自体も悪いとは思わなかったので、フリーは挽回してくれると思っていました。

冒頭の3Lz-3TのセカンドトウでURがつきましたが、ショート・フリーともに、ここが彼女の最大の課題なんですよね。フリーの場合は、ラストの3Sが抜けることがあったんですが、両手タノでこのジャンプを跳んでいたのを、普通の跳び方に変えてミスが無くなりました。

私は、舞依ちゃんのスケートを見るたびに「引き算の美学」という言葉が頭に浮かびます。無駄な力のかからないジャンプに、過剰な表現も無く、楽曲をとても自然な形でスケートの推進力へと変換しているように見えます。侘び寂びの世界というか、「日本庭園のような」と言うべきか、海外には「禅」の好きな人がけっこういるのだから、彼女のスケートの良さは分かると思うんですけどね。

ツルシンちゃん(7:25~)。フリーは139.37の3位。合計207.46の2位。果敢に挑んだ4Sは惜しくも転倒でしたが、認定されて良かったですね。

クリケット時代の彼女は回転不足やパンクに悩まされていた印象ですが、このフリーを見ていると、なんだかジャンプが高くなったように見えます。ジャンプにかなり余裕があるんですよね。元々細い子ですから、まさかさらに減量したということは無いでしょうが、指導がフィットして、コンディションも合わせてこれたのだと思います。

ロシアに戻ってピアソラというのも面白いですね。もちろん、コストちゃんもSPでやってましたが、エテリのチームでピアソラはそれほど使われていた記憶はなく、むしろ北米の振付師が大好きという印象だったので。

紀平さん。フリーは153.14で1位。合計221.99で優勝。強かったですね。濱田コーチがリンクサイドで「手や指をギュッと握るルーティンを自重」していたので、怪我は治っていないはずなんですが、あの亜脱臼はどうなった?というぐらい、パーフェクトな演技でした。

私もフリーは、3Aを2本跳ぶ必要は無いと思っていたので、よい判断だったと思います。少し前の全米選手権はアリサの3Aでフィーバーしていましたけど、紀平さんが「これが本当の3Aでしょ?」とアメリカの地でお手本を示してあげたのは痛快でした。

3連コンボの最後のループだけは、「回転大丈夫かな?」と心配でしたが、減点もなくて良かったです。このフリーのPCSは「70.40」で、GPFの「72.40」から2点キッカリ低いですが、まぁ、ファイナルのPCSが高すぎたので(ザギちゃんが「72.70」でしたからね)、そこまで抑えられたという印象はないです。

テネル(39:25~)。フリーは128.16の5位。合計202.07で4位。TESが速報値から10点ほど低かったので、ミスのあった3Lz-3Lo以外のジャンプで、どこか刺されたかな?と思っていると、プロトコルを見てビックリしました。

なんと、ジャンプ4本でUR判定。そりゃ、スコアが伸びるはずがありません。多少着氷が詰まり気味のジャンプは見かけましたが、そんなにあったっけ?とちょっと気の毒です。開催国のエースなのに容赦ないなぁ・・・とその点でもビックリでした。

坂本さん。フリーは133.43で4位。合計206.79で4位。まさかの結果でしたね・・・。

最初の3F-3Tで、いつもの彼女のジャンプと比べると着氷で流れている感じで、「どうしたのかな?」とは思っていました。1Aに抜けた所は、本来は2A-3T-2Tなので、基礎点だけで8点近く失った計算になります。ラストの3Loは、本来単発の所を2Tをつけてリカバリーしましたが、これでも基礎点で約1.5点しか挽回できないので、このミスは痛かったですね。

「全日本王者で四大陸連覇もかかる!」なんて煽られていましたし、本人も「スコアを計算してしまった」ようですが、そもそも全日本のフリーで坂本さんのPCSが「73.25」というのは出しすぎという感はありましたし、一度気持ちをリセットする良い機会だったんじゃないかと。

前夜「1時間ごとに目が覚めて、寝れなかった」ようですが、中野先生は「その言い訳は通らない。(ショートで)2位の選手の方が、8位の選手より寝られると思う」とピシャっと叱っているので、きっちり手綱を締めてくれることでしょう。

マスコミやライトな視聴者は、紀平さんがいつもこんなに凄いと思っているかもしれないですが、昨シーズンは不安定でしたし、FaOIでコケまくっている姿を何度も見ているだけに、この覚醒ぶりは個人的には感慨深いですね。いまの彼女のメンタルの強さを考えれば、何かアクシデントが無ければ、ワールドも勝てると思います。

ただ、スケオタ的には、来季こそ楽しみです。あの子たちがシニアに昇格してきますから、紀平さんは「ジュニア時代の借り」を返すことができるのか?今シーズンとは比較にならないほど、女子はハイレベルな戦いになること必至です。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. Fakefur より:

    私も舞依ちゃんの滑りは「和の世界」だと思ってました!氷を削らない、流れに逆らわない、盛り込みすぎないシンプルな美しさは唯一無二で、心が洗われますよね。悲しい顔はもう見たくないので、大逆転のFSでの表彰台は嬉しいです。
    我々は彼女の背景、謙虚な性格、全日本での立ち位置抜きにはもう観られなくなっているのですが、コンスタントに台乗りの実績を積んでいけば、天女の滑りへの海外ジャッジの認知度も上がって、コストナー的な立ち位置に登れる実力の持ち主だと応援しています。

    梨花ちゃん、シニアデビューイヤーに国際試合全制覇。もう全面的に信頼しているので、北京まで怪我なく無理なく続けてほしい、これだけです。濱田先生のオデコルーティンは梨花ちゃんにはもう不要ではないかと思います。国際舞台では印象が子供っぽくないですか。(知子ちゃんも、なんですけど)

    私も全日本の坂本さんのFSのPCSはインフレだったと思うので、今回は世選前に国際評価を見直す、よい機会だったと思います。
    キスクラで得点が出て、後ろに倒れこむ坂本さんそっちのけで、先生方が「あれ、舞依ちゃん登ってるやん」「え、舞依登った!」と姦しく盛り上がっていて、起き上がった坂本さんに「これがやっぱし勝負やな」みたい締めていて、申し訳ないんですが、コントみたいで面白かったです。関西弁だと深刻に聞こえなくていいなぁと。こんな事を言えるのも、先生方が坂本さんの性格と能力を熟知しているからでしょうし、我々ファンも坂本さんの実力は信頼しているので、埼玉ではとびっきりのガッツポーズを期待してます。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      ほとんど同じ意見です。この3選手だけでなく、樋口さん、宮原さんも含めて、みんなそれぞれ持ち味がありつつ、弱点もある。

      ただ、海外のジャッジがそこまで細かく特徴を捉えているかというとまったくそうではなくて、結局はミスの少ない選手が高く評価される。紀平さんの今季の強さは、3Aではなく、むしろ3A以外をほぼ完璧にミスなくこなす点にあると思います。それだけ技術があるということなんですが、本人ははっきりロシアのジュニア勢をターゲットにして、さらなる技術向上の歩みを緩めませんね。素晴らしいです!

      クレバーな彼女なので、シューズの問題や、指の怪我など、アクシデントに近いものでなければ、オーバーワークで怪我をするということも無いんじゃないか?と想像します。私が彼女に求めるのは(と言っても、彼女の一任で決められるわけじゃないですが)、そろそろ、シェイリーンのプロを滑ってほしいぞ!ということです。五輪シーズンはまだ先ですから、チャレンジするなら来季かなと思うのです。リショーさんは絶対に合わないのでやめてくださいね(笑)。

      • Fakefur より:

        確かに、カクカクしたリショーさんプロを滑る梨花ちゃんは見たくないですね!笑
        シャープな身のこなしが綺麗なので、フワフワ系よりカッコイイ系が似合うと思いますが、シェイリンのリズムネタをどう滑るのも観てみたいですね。シェイリンはドラマチック系も上手いので、色々チャレンジしてほしいですね。

        • Jun より:

          Fakefurさま

          リショープロは最近けっこう見かけるようになって、モダン・ダンスというか、奇抜な動きを意欲的に取り入れているなぁと感じます。

          ただ、「奇抜な動き」ということだと、トム・ディクソンの紀平さんのプロにもけっこう入っているんですが、彼女はスケーティングが抜群に巧いし、指先の柔らかな表現も相まって、ぶつ切りのロボットチックな動きには決してならない。とはいえ、リショープロが紀平さんに合うとは思えないし、リショーさんは編曲がなぁ・・・と、テネルのロミジュリを見て、そう感じた次第です。

  2. ごろ寝 より:

    三原さんの感想、なるほどです。海外の解説か記者さんか、かなり推していらっしゃる方がいますね。

    来季の楽しみ、まさにです。ザギトワのように大きな体型変化があるかもしれませんが、上手く成長してくれると良いですね。紀平さんの4S挑戦も見られるかもしれませんし、女子が俄然面白くなりました。

    フィギュアはスポーツと言うより芸術、それが楽しむポイントなのでしょうか。せっかく素人なりにルールも技も学んだはずなのにと、残念な思いは残りますが。

    テネルと言い、ヴィンスと言い、自国選手に厳しいのには思惑あり?と勘繰ります。
    ジャッジの見解はもういいと割り切っても、フリーレッグが氷を巻き上げても高いGOEが付くことには・・・複雑です。
    The Shoma must go on.
    Shoma me the money.
    Shoma me what you got.
    この呟き、意味深ですね。

       

    • Jun より:

      ごろ寝さま

      いろんな政治的思惑が露骨に採点結果に現れるのがフィギュアスケートの世界では普通のことで、だから羽生君は「圧倒的に勝つ」ために、技術的な進化の歩みを止めなかったわけですよね。

      ジャッジのさじ加減でどんなことでも起こりうるので、その程度では順位がひっくり返らないような実力をつけなきゃいけない。その思想を、紀平さんも受け継いでいるような気がします。

      洋の東西を問わず、ダジャレみたいのが好きな人はいますね。でも、宇野選手は英語ができない人だから、本人が知った所で「ぽかーん」って感じじゃないでしょうか。

  3. ととちゃん より:

    女子、見応えありましたね。

    中でも一番心が動かされたのは、やっぱり舞依ちゃんのオーボエで…。junさん、引き算の美学とは的を射た表現ですね。自然で肩の力が抜けていて、それだから心を打つんでしょうか。一方で こういうプロと真逆のものを演じ切れたら、もう一皮剥けるのかも知れませんね。

    花織ちゃんは絶対に今回の経験を生かせると思います。そう仕向けられるコーチも信頼できる方ですね。

    紀平さんはオールラウンドの強さがありますよね。3A1本で纏める決断は いつしたのか知りませんが、そういう臨機応変さが、羽生選手を思わせるのは確かです。ただ、彼女は彼女なので、あまり引き合いに出す必要はないでしょう。

    三人三様に今後がとても楽しみな日本選手達でした。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      舞依ちゃんのスケートについては、難病のこと、いつも謙虚で丁寧なマスコミ対応、厳格だけど優しい師匠、ある意味で「ゆづとハビ」の神戸版と言えるぐらいの友情で結ばれた花織ちゃんとの関係、すべてを含めて見てしまいますよね。

      それらのバックボーンを欠いて、彼女の「ミッション(ガブリエルのオーボエ)」を理解することはできないはず。しかも、ショートで苦しむことが多いので、フリーでより一層伸び伸びと自己を解放しているというか、見るたびにいろんな言葉で語りたくなります。私に言わせれば、「彼女の演技ほど感情を揺さぶられるものは無い」と思います。彼女の表現面に注文をつける人は、まぁ、はっきり言って勉強不足だと言わざるをえませんね。

  4. マリィ より:

    こんにちは
    来期の女子が楽しみなのは勿論ですが、今回の女子も良かったですね。
    それぞれ試練を乗り越えて得るものが多かったことでしょう。
    特に三原さんは最近は毎回のように台乗り出来なかったのでかわいそうでしたので。
    坂本さんは全日本女王と煽られて気の毒でしたが世選に向けてひとつ勉強になりましたね。
    三原さん私的には水の上を飛び跳ねる蝶の妖精のようなイメージでした。
    重力を感じさせない軽やかな動きですよね。
    ただそれを脱却するの大変かな?って感じます。
    紀平さんはjunさんの仰る頃からするとだいぶ成長したんですね。
    紀平さんの細かい分析力はすごいなと思います。
    6練の時に氷に馴染まないとかで3A一本に決めたって言ってましたね。
    3Aは減らしても優勝可能だと思っていたので良い判断でしたね。
    他の要素も綺麗でしたね。
    3Aすごく安定してきたように見えます。
    来期の4S羽生くんのジャンプを参考にするとかでジスランコーチにも指導して貰って楽しみですが安定しないようなら入れなくても良いような?
    どうなるかな〜
    テネルびっくりしますね。
    今の日本ではあり得ない⁉︎ですよね。

    • Jun より:

      マリィさま

      紀平さんにとってMAXの構成で行くなら、フリーは3Aを2本入れるべきなんですが、「2本入れなきゃ勝てない」ところまで追い込まれていないのが凄いですよね。

      これが来季になってくると、ロシアの3人娘が上がってくるのでもう少し接戦になると思いますが、それは本人も織り込み済みで、だからこそ4回転を練習しているんだと思います。
      4Sか4T、どちらが先に安定するか分からないですが、一種類でも実戦投入レベルまで確率が上がると、これは強いですよ!すでにPCSやGOEではザギトワに匹敵するような、女子で世界最高レベルの評価を得ていますし、もちろんジャンプ構成の選択肢も増えてきます。

      フィギュアスケート界は嫌なことだらけですが、男子シニアは羽生君だけをマジメに見て、女子はシニア、男子はジュニアと、エネルギーを傾ける対象を変えることで、まだまだ楽しく観戦できるはずだと信じています。