『孤高の原動力』感想(1)

『孤高の原動力』感想(1)

2023年11月11日発売。定価「4,400円」。

今日は写真と全体的な印象の話に集中しようと思いますが、まずこちら、手に取ってみて、カバーを外して内側を確認したり、本体をパラパラめくってみると、「子どもの頃に家にあった図鑑」をふと思い出しました。そもそもこんなに大判でゴツいハードカバーの本って、他に買った記憶が無いんですよね。

で、巻頭から蜷川実花さん撮影の写真に迎えられますが、赤のローブ風衣装の写真はちょっとセピア調(?)というか、本来ホワイトである部分が薄いブラウンというかイエローがかった色調になっています。やれ4Kだ、8Kだなんて言われる時代に、「鮮明すぎるアプローチからあえて外れる」という所は興味深いです。正直好き嫌いは分かれるでしょうけど、これを来年もやるとも思えないので、これはこれで新たなチャレンジとしては面白いんじゃないでしょうか。

24頁からは青や紫を背景に、黒や白の衣装を身にまとうショットに切り替わります。こちらは昨年の『飛躍の原動力』の流れをくむ感じはしますが、でも、昨年の本も改めてめくってみると、「今年はやっぱり攻めてるわ!」ってなると思います。

で、去年の本をちゃんと読んだ記憶が無かったのはなぜだろう?と考えてみると、新聞記事の寄せ集め的な「報道記録集」の部分にかなり誌面を割いていて、蜷川さんのお写真は「スパイス」的な位置づけに留まっています。こりゃ、いくらハードカバーで立派でも、何度も読もうとは思わない・・・。それを、「AERA」での複数回のコラボを経て、今回は完全に「別物の本」に生まれ変わった感がします。その意味では、今年初めて買った人に、昨年の本を薦められるかというと、ちょっと微妙ですよね。

42頁から独占インタビューが始まるんですが(テキスト関係は明日以降触れていきます)、52頁からは黒の上下のダンサーのような衣装&ポージングのショットがまた新鮮で、64頁から再び「赤」の羽生さんに変身して(巻頭の赤ローブとはまったくの別物!)、78頁から「100問100答(Part 1)」、伊藤聡美さんのデザイン画、そして、伊藤さん、清塚信也さん、矢野桂一さんという「盟友」たちのインタが続き、なんと、90頁になってようやく「GIFT」のレポート関係が登場します。

この並びって、実はかなり「他誌」を研究していると思うんですよ。純粋な写真集系の出版物ではなく、テキスト込みの出版物の典型的なケースで言うと、巻頭数ページは写真を掲載して、そこから試合なりアイスショーなりのレポートが続いて、囲み取材のテキストがあって・・・って感じですよね。そことははっきり一線を画す考え方で、「もっと写真を見たいのに!」というニーズをよく理解しているなぁと思います。

ある程度のボリュームの写真を堪能した上で、「じゃあ読むか!」ってなった時に、既知のレポートではなく、「100問100答」や「関係者独占インタ」ような「初出のコンテンツ」から並んでいると、読んでみようか!って気にさせられる。少なくとも私はそうです。というわけで、非常によく考えられた一冊かと思います。

ところで、昨今ネット上では、「AERA dot.」との関連でいろいろ言われてますけど、蜷川さんとのコラボや、この本に注ぎ込まれた編集担当者の情熱は本物でしょう。むしろ、この本に携わった人たちこそ、あのしょーもないネット記事を苦々しく感じているんじゃないでしょうか?まぁ、デカい会社なので、残念ながらいろいろありますよ。

というわけで、明日も引き続き本書をレビューします。

メタルジョギング・チャレンジは176日目。PARADISE LOSTの『Draconian Times』(1995年6月)です。イギリス出身のメタルバンドで、「ゴシックメタル」なるジャンルを確立した重要な1枚です。学生時代、私もリアルタイムで本作を入手したんですが、「曲が速いわけでもなく、派手なテクニックがあるわけでもなく、野太いヴォーカルのガナリが気になる」という感じで、当時は何が良いのかまったく価値が分からなかったんですね。

もちろん、アルバム1曲目を飾る「Enchantment」の物哀しくも美しいピアノの旋律は当時もグッと来たのですが、いざメタリックな曲調に切り替わると、どうもピンと来なかったんですよ。実際、このようなミドルテンポの曲が大半なので、「スピード」という側面に注目すれば、やや平坦な作品ではあります。

ただ、中高年に片足突っ込んだおっさんになってから改めて聴いてみると、曲調は確かにミドルテンポで押しまくるんですが、4曲目の「Forever Failure」なんかは冒頭はたしかにガナってるんですけど、2:45以降の哀愁漂うギターワークに、ズドンズドンとタイトに主張するドラムとのコントラストがたまりません。ミドルテンポで重くて暗いメタルということで、偉大なる大先輩のBlack Sabbathの影響は間違いなくあるでしょうけど、この「独特の湿っぽさ」は、例えば北米のバンドには出せない味わいを感じます。ヴォーカルの歌唱は「男臭さ」があるものの、押しつけがましいマッチョ感は皆無。好きな人には確実にぶっ刺さる音楽です。現在はリマスター版がサブスクにも入っていて音質も素晴らしく、令和のいまでも十分に聴き込みに耐えうるクオリティですね。これはいい作品です。

では、また明日!

Jun


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