引き続き、「PROFESSIONAL Season 2」から、今回は田中刑事君と山本草太君のインタをご紹介します。まず二人の羽生さんに対するコメントで共通しているのが、「羽生さんの集中力の凄さ」ということでした。特にFaOIについて言えば、今年の羽生さんはAツアーのみの参加で、しかも2プロでしたから、例年以上に並々ならぬ思いで妥協なく取り組んでいたんだと思います。
刑事「(ゆづから学べる部分は)アイスショーへの集中の仕方だったり、どれだけ一回の演技に本気で挑んでいるのかだったり。もちろんみんな本気で挑んでいます。その中でも集中の深さだったり、神経をしっかり使って、精神を削って披露するという姿勢だったり。彼は公演を通してずっと集中しているので、疲れて動けなくなるんだろうなというところでもしっかり最後まで集中しきって。なんか、命燃やしている感じがするので。やっぱりスケートにかける思い、姿というのはみんな見てほしいなぁって思います」
もちろんアマチュア時代も、ここぞという所で結果を出せる人だから五輪を連覇できたわけですけど、プロに転向して「ワンマンショー」をやるようになって、あらゆる面で羽生さんはさらにストイックさが増しているように見えるんですよ。例えば、アマチュア時代の試合でミスがあって納得が行かなかったりすると、囲み取材で「はやく練習したいです!」って言ってたことあるじゃないですか。でも、プロ転向後に、彼がそのようなコメントを発していた記憶がないんですよ。
そもそも、「怪我を我慢して演技をする」ということがほぼ無くなって、「故障しない身体・2時間滑りきる体力」をIce Storyが開幕した時に出来上がってることをイメージして、そこから逆算して日々の生活・トレーニングを積んでいるように見受けられます。言っちゃアレですけど、他のスケーターとは「別次元の生活」を送っているはずで、そこが「違い」を生み出しているんだと思います。羽生さんが体現する「プロフェッショナル」ってそういうことなのでしょう。
草太「(羽生くんのオーラは)やっぱり、今に真剣。その一瞬に対しての熱量っていうのがすさまじいというか。ファンタジーのオープニングでも最初それぞれワントリックをしていって、トリで羽生くんが4回転トウループを跳んでいるんですけど、ファンの方々からしたら羽生くんの4Tっていうのは当たり前のジャンプというか。(4回転)サルコウとかループとかも跳んでいるので、トウループも当たり前のジャンプのように見られがちかもしれないですけど、まったく氷に乗っていない状況で、しかも耳が割れそうなくらいの歓声の中で跳ぶ4Tっていうのはすごいプレッシャーだと思います。ただ本番で4Tをやるんじゃなくて、オープニングが始まる直前までバックヤードで本気で最終調整している姿は、いろんなものを抱えてやっているんだなと間近で見て強く感じますし、すごいプレッシャーでもあると思うんですけど、それを乗り越えていつでも120%を出し切るという姿勢はすごく憧れるので、見習いたいなぁって。そういったところが勝手に(オーラとして)出ているんじゃないかなって思います」
だからFaOIのオープニングで4回転を跳ぶのって彼だけなんでしょうね。試合用のプログラムなら、普段から曲かけ練習を何度も繰り返して、ジャンプを跳ぶ位置も決まっています。でも、FaOIの場合、何日も氷上でリハーサルなんてできないし、オープニングの4Tのために現地会場のリンクを独占して練習できるわけもなく(彼の性格からしてそんなことするはずがない!)、幕張では毎年開催されるものの、他の会場は流動的ですから、普段の練習と直前の入念なウォームアップ&イメトレがあの4Tに結実しているのでしょう。あの4Tにはもっと感謝しないといけませんね!
羽生さんが本誌の「独占インタビュー」の中で、「単独公演(プロローグ・GIFT・RE_PRAY)を知っている人にほぼ同額のチケットでFaOIに来てもらっているのに、1プロだけってわけにはいかない」という発言をしていて、たしかにRE_PRAYのチケットを取れなかった人がFaOIに「再チャレンジ」していることを彼は承知しての配慮ですよね。一方で、価格を下げても席が埋まらないショーがある中、「羽生結弦かそれ以外か」で明確に格差が生まれてしまったのが、彼のプロ転向後この2年のスケート業界と言えるかもしれません。
そういえば、前回ご紹介した「ヤグディンのグラディエーター」ですけど、あれは00-01シーズン開催の代々木GPファイナルなんですよね。動画を見た方はお気づきかもしれませんが、2階席までガッツリとお客さんが入っていました。日本人選手が誰もファイナルに残っていないのに、すごくないですか?羽生さんのアマチュア時代に現地観戦していた方々が、羽生さんのショーにそのまま移行するのは分かるんですが、この頃のファンってまだスケートを観ているんですかね?そこはちょっと気になる所でした。
では、また明日!
Jun