すごいボリュームと密度だけど。「別冊 フィギュアスケートファン通信 グランプリファイナル2016」(リライト企画)

すごいボリュームと密度だけど。「別冊 フィギュアスケートファン通信 グランプリファイナル2016」(リライト企画)

2016年12月17日発売。本体「1,000円」+税。

読者の方からリクエストのあった、16年のマルセイユ・グランプリファイナル特集号のリライト企画です。アマゾンの中古品価格は最安で4,580円となっています。で、本書の内容とややかぶっているのが、「FIGURE SKATERS Vol.3」なので、「そちらを入手されてみては?」と書こうとしたら、そっちも最安価格が4,100円という状況で、なんだか恐ろしいことになっていますね。

で、通信にしても、FIGURE SKATERSにしても言えることなんですが、まだ発売して2~3年しか経過していないので、書店に新品が置いてある可能性はあると思います。大型書店でもいいですし、穴場的な地域の小規模な書店も、マメにチェックしてみると良いかもしれません。

(1)前日公式練習(6~23頁)

バスを降りて会場入りするところから始まります。その後、SP滑走順抽選と公式練習の写真で構成。「フィギュアスケートマガジン」の山口真一記者が「文字テロ」と自称していましたけど、本書はまさに「写真テロ」と言っていい密着ぶり。個人的な「発見」もありました。滑走順抽選の部屋には、出場選手だけでなくブライアンもパイプ椅子に座っていて、ニンマリしながらゆづの抽選を見守っています。後方の立ち見エリアには、小林強化部長、竹内洋輔さんら日本スケ連関係者、そして菊地先生の姿も。とにかく写真の枚数が半端ないので、意外な人も写り込んでいるのが面白いですね。

(2)当日公式練習&SP(24~51頁)

マルセイユでのLet’s Go Crazyは、レックレの中で最高傑作なだけでなく、個人的に、羽生結弦史上の全演技の中でも、3本の指に入る頻度で見返すことが多いです。あの冒頭の4Loの「着氷の乱れ」がまさにロックスターのライブそのもので、もし完璧なノーミス演技で世界記録を塗り替えたとしても、羽生君の演技があれだけワイルドになっていたか?会場があそこまで一体化していたか?あそこまでかっ飛んだスピードが出ていたか?というと、ちょっと違うかなと。パーフェクトなプログラムというのは、やはりバラ1こそふさわしい。

もちろん本書でも、そのワイルドさはバッチリ収まっていますが、演技後にキスクラでブライアンとVTRを見ながら二人で大笑いしているショットが、また微笑ましいです。

(3)前日公式練習(52~55頁)

ここはわずか4ページですが、ブライアン、トレーシー、そして菊地先生とゆづが談笑する姿が印象的。片手にスマホのゆづに、満面の笑みの菊池先生、ブライアンが二人に何やら声をかけています。

(4)当日公式練習&FS(56~77頁)

演じるプログラムが違うと表情も変わってくるものですね。そしてその所作も、ギラギラとオーラを発するものから、静かな水面のように一変。ページをめくっているだけでもわかります。ただ、やはりこの試合はSPが主役だというのは編集者も感じていたようで、写真の比率的にもホプレガはやや少なめ(※でもホプレガはヘルシンキが至高ですからね)。フリーのキスクラは、次にハビが控えていたこともあって、プーさんと二人きりです。

(5)表彰式(78~85頁)

どうしても目が行ってしまうのが、このマルセイユ産の金メダルですね。羽生結弦展で実物を目にしましたけど、ペラペラに薄くて、表面はゴーフレットのようなデザイン。一方、4枚並んでいたファイナルのメダルで、一番豪華だったのは福岡でした(※福岡のメダルは『YUZURU』74頁参照)。

(6)EX(86~103頁)

ゆづ・さっとん・宇野選手の3人での「PPAP」の写真が入っていますが、あの曲はそんな前だったのか・・・と時の流れを感じます。当時話題になった写真がいくつか収録されていますね。東京喰種のタンブラーを持ってのメドちゃんとのショット。ルマンドを片手に持った一枚。スワンの写真は、「ノッテ・ステラータ」本編のショットも、荒々しさを感じさせるものが集められています。

(7)宇野昌磨、ネイサン・チェン、ハビエル・フェルナンデス、パトリック・チャン、アダム・リッポン(104~113頁)

こちらは各選手見開き2ページずつで構成。いいメンバーが揃っていたなぁ・・・と改めて感じます。

以上、目次に沿ってざっと見てきましたが、冒頭から103頁までノンストップゆづ尽くしなのは衝撃です。

本書の特徴は、マルセイユのグランプリファイナルだけで一冊作ってしまう「一試合一冊主義」という点なんですが、この「一試合一冊主義」というのは、この号が初めての試みではないのです。例えば、9号はボストンワールド特集ですし、15号はオータム特集、16号がスケカナ特集として発売されました。ただ、9号ではハビをはじめとした他の選手の写真が78頁から始まるので、いかに本書が大ボリュームなのかが分かります。

しかし、値段が値段なので、「買え!」とは言えないですねぇ・・・。類書としては、「SEASON PHOTOBOOK 2016-2017」「Ice Jewels Vol.05」「フィギュアスケートマガジン 2016-2017 グランプリスペシャル」「FIGURE SKATERS Vol.3」あたりで、お手持ちの物があれば、再度チェックしつつ、それでも物足りなければ・・・という感じですか。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. 名無しの猫 より:

    こんばんは。

    ファン通信別冊、早速のご紹介ありがとうございますm(_ _)m

    このピンクの表紙、インパクトあります。
    そして裏表紙のペラペラのメダル(笑)を持つ羽生くん、良いですね〜!
    表紙が羽生くんでも、裏表紙は違う選手、という本もありますから、
    この徹底ぶりは嬉しいですね。

    100頁以上のボリュームで¥1000て、コスパよすぎです。
    ああ、何故買い損ねたのでしょう(泣)

    欠けている通信求めて、本屋さん巡りしてみましたが、残念ながら収穫なしでした。

    なんだか珍妙な本は発見しましたが。
    羽生くん表紙の、英和出版社 We♡イケメンアスリートなる、お宝なのか黒歴史なのか
    わからない本が、ちゃんとしたスケート本のバックナンバーの中に紛れてました。

    マガジン、ジュエルズあたりもほぼ揃っているので、それでよしとして、高額のものには
    手を出さないこととします。ほぼ、というのが私の詰めの甘いところですが・・・

    古本屋さんとかにひょっこり持ってないフィギュア本があって、安く入手できることも
    まれにあるので、気長に探してみます。

    丁寧に紹介してくださって、ありがとうございました。

    • Jun より:

      名無しの猫さま

      マガジン、ジュエルズ、あるいはFIGURE SKATERSにも良い写真はあるので、どの雑誌にどの写真が掲載されているかが頭に入っていると、通信に頼る必要もなくなるんですよね。ただ、横着な私は、何か気になることがあると、つい通信を開いてしまいがちです。

      英和出版は「プリンス」が看板雑誌ですけど、そんな本を出していたのですね。まったくのノーマークでした(笑)。

      もう一冊のレビューを今晩アップしますので、お楽しみに!

  2. sennin より:

    GPFシリーズは表紙が気にいってAmazonで購入したらなんと3冊きてしまいチョットユヅ好きの友人にあげたんですが、そんなに高いんですか?プリンスは確かにGPFが一番良かったですね〜。私も時々観ます。もうやってくれないのか?と思っているくらい。私はあの難しいステップを軽々と音楽に乗って滑っているとこが気に入ってます。惚れ惚れしますよ。
    メダルは本当に福岡が豪華でしたね!マルセイユはメダルだけでなく紐もオモチャみたいですよね?
    通信はどこよりも発行が早くてお手頃の値段で、ユヅ愛があって良かった。黒で小さく結弦くんのシルエットをみるのも楽しみで…。通信が恋しいです。

    • Jun より:

      senninさま

      通信はいい雑誌でしたね。ネットですぐに最新情報や画像が拡散・共有されるようになるこの時代にあって、雑誌メディアでありながらも、速報性で我々を満足させる稀有な存在でした。

      老舗フィギュアスケート雑誌なんて、言っちゃ悪いけどチンタラ作ることが許される生ぬるい世界で、10月や11月になっても「トロントメディアデー」の記事を掲載する鈍感さに辟易していました(※ジュエルズのように独占インタを収録する場合は例外ですが)。

      写真系雑誌では、当面はFIGURE SKATERSに頑張ってもらうしかないですね。次点でKISS & CRY。大会が始まればMemorialも発売されるでしょう。

  3. ととちゃん より:

    懐かしく見返しました。
    仰る通り他の号より厚みがあり、すぐに探し当てることができました。この価格にして、羽生選手率の高いこと!今更ながらびっくりしています。

    そう言えば、GPFのレックレが、ダントツの観客アピールでしたね。4CCが、そこまで感じなかったのは、会場の作りも関係しているのかな、と思いました。五輪用にレックレを選ばなかった理由の一つかなと、個人的に思っています。
    それにしても、 junさんがリピートする頻度がそんなに高いとは…。差し支えなければ、他の2つも知りたいです。

    因みに、(訊かれてませんが 笑)私は、世選と
    4CCのホプレガをよく見ていましたが、今ではオリンピックの演技に抜かれました(笑)。

    ネット環境が悪化し、動画が見れずコメントし辛い日々が続いています。西山くんの演技
    早く見たいです。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      平昌五輪以前だと、バルセロナのファイナル(15年)のバラ1はよく見ていましたよ。ファイナルのSEIMEIの方はあまり見なかったですね。

      昨シーズンのヘヴィローテということだと、他の選手でよければ、コストルナヤのSP、ザギトワのブラック・スワン、ジェイソンのSP。平昌五輪後だと、平昌バラ1、それからFaOIのWings of Wordsと春よ来いになりますね。

      逆に、平昌SEIMEIやヘルシンキホプレガは、見ていて緊張感が蘇るので、あまり気軽には見られません。

      実はウチもネットの接続が止まりがちなんです。都内の気温が35度を超えてくる日中は、ルーターの熱暴走でそうなっているようです。扇風機を直撃させたりするとマシになるらしいですが、面倒くさいのでやっていませんね。

  4. マリィ より:

    こんばんは
    毎日暑くてバテそうですね。
    クーラーの苦手なjunさんもクーラーで涼んでくださいね。
    リライト企画で我が家にある羽生本を改めて整理してみました。
    ファン通信、ちょうどこGPF号から買ってました。
    前はjunさんのブログを知らなかったので色々暴走した本も多数(苦笑)ありました。
    ファン通信は6号から前のは持ってないので見てみたいです。
    Jewelsは創刊号と3号が抜けていました。
    機会がありましたお願いします。
    次はキスクラというお話ですので楽しみです。
    これも何冊か持ってないので。
    マガジンとFIGURE SKATERSも良本でしたか?
    これはマガジン平昌五輪号で初めて買いました。
    プリンスが4冊で。
    Lifeはご紹介ないなぁと、見てみたらゆづ成分はだいぶ少なめですね。
    こうしてみると暴走本を除くと良い本も購入してたんだなって思いました。

    • Jun より:

      マリィさま

      クーラーをかけずにお昼寝や仮眠をすると、むしろ体力を削られるような感覚があります。夜は色々と調節できるんですが、休日こそ気をつけなきゃいけませんね。

      通信は、特にリクエストがなければ、また古い方から順番にやりますので、6号まで比較的早くたどり着けると思います。ジュエルズの1号と3号も了解しました。

      アジアンオープンが昨日から開催されているので、しばらく試合のレビューが中心になりますが、機会を見て「リライト企画」も再開できたらと思います。